私が縄を解こうともがきはじめて…どれ位たったんだろう、時間も何も分からずただただ解こうと無心になっている私はハッと気付いた。一心不乱ってこの事なんだろうか?そしてもがいている私の所に住職さんがやってきました。

「どう?ただひとつの事に集中する感覚、わかったかな。それによく『頑張れば出来ない事はない』って事も言うけど君、その縄解けなかったろう、出来ない事も知るのもまた重要なんだ。でも無常とはまた違って、どこかで誰かが助けてくれる。信じていれば救われる。その事も知って欲しいんだ」

  住職さんはそういうと私の猿轡をはずします。ほっと一息つく私。
「猿轡を外されると話せるということは本当に重要だということが解るでしょう。今じゃ声を発しなくても生きて行けそうな時代だけど、こうなってみるととっても言葉って重要だと思うでしょう」
なんか分った様な分からない様な不思議な感覚、今はただ何か不思議な開放感に浸っている。「またこの修行を受けてみたい」そんな感覚にさせてくれる。
「うん、君は勉強熱心だけあってなかなかの探究心と素質を持っている。またいらっしゃい、色々と体験させてあげるよ。だけど秘事は秘事なのであくまでも内密にね」

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