― △月□日、いつもの様に人の気配のない土曜の放課後
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教師は生徒を縛る。 生徒は教師に縛られる。
縛りながらも考える、彼女の事、自分の事。 縛られながらも考える、
先生の事、自分の事。
ここは崖際の硝子細工の様に今にも割れそうな2人の気持ちが、 そしてその2人を結び付ける縄とが交錯する日常のすぐ隣の世界。
旧校舎そば、廃品等を置いている旧体育倉庫。
「ここじゃちょっと・・・」
彼女はそう言って恥ずかしがる。でも僕はそんな言葉には耳を貸さない様なふりをして
彼女を縛った。いつもよりもきつく。
こんな事を彼女にしはじめて1ヶ月、彼女は僕のする事を受け止めていてくれる。
何故なんだろう?端から見ればこんな酷い事をしているというのに。
そして今、僕は自分の不安や不満を彼女にぶつけている、本当に自分勝手な男だ、ダメ人間。
そんなことを考えながらも彼女を縛ってしまう自分がなんだか解らない。
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