ニセアカシア (ハリエンジュ) Robinia pseudo-acacia

ニセアカシア(.長居植物園(2004.4.29))

ニセアカシア (長居植物園(2004.4.29))

マメ科* ハリエンジュ属 【*APGⅢ:マメ科】

Robin:人名 pseudo:偽りの、疑似の+acacia:アカシア

ニセアカシアは北アメリカ原産の樹木で、日本には明治の始めに導入されました。 成長が大変早く花も美しいので、公園や街路樹によく植えられるほか、 荒廃した山地や砂丘の緑化によくつかわれます。これはマメ科の植物の根には根粒バクテリアが共生していて、 肥料分のまったく無い、やせた土地でもよく成育できるからです。

ご存じのように、有名な札幌のアカシア並木はこの木です。 日本に持ち込まれたころはアカシアと呼んでいましたが、その後、 本当のアカシアの仲間がいろいろ導入されるようになり、区別をはっきりさせるため、 種名を日本語になおして、ニセアカシアと呼ぶようになりました。 「ニセ」という語をきらい、托葉の変化したトゲが目立つという特徴をとって、 ハリエンジュという名もついていますが、ニセアカシアのほうが通りがいいようです。

ニセアカシアの花房(2001.5.5:西宮市甲陽園 ニセアカシアもアカシアも同じマメ科ですから、サヤに入ったいわゆるマメができるのですが、 花の形はまったく違います。つまり、ニセアカシアはエンドウやソラマメのように左右対称の蝶々のような花をつけますが(右写真:西宮市甲陽園(2001.5.5)、 アカシアの仲間は、オジギソウやネムノキのように花弁は小さくて目立たず、それよりも、 たくさんの長いおしべが目立った、タンポンのような花をつけます。

マメ科にはこのほか不完全な蝶花をつけるジャケツイバラの仲間があります。 そこで、マメ科を、ソラマメ亜科、ネムリグサ亜科、ジャケツイバラ亜科の3つの大きなグループに分けています。

ニセアカシア(ハリエンジュ)によく似た木にエンジュSophora japonica クララ属)と イヌエンジュ(Maackia Tashiroi イヌエンジュ属)があります。この3者は名前も形もよく似ているのですが、 どれも別々の属に入っています。エンジュとイヌエンジュは、マメのサヤがところどころくびれて念珠状になっておればエンジュ、 サヤにくびれがなく、念珠状になっていなければイヌエンジュということで区別できます。 全体的にイヌエンジュのほうが若い枝や葉の軸に白い短毛が多いようです。