1999年3月17日発売 ポニーキャニオン PCCA-01288
「デビュー10周年記念」として出た、はじめての田島貴男監修によるベスト盤です。 「変身」というタイトルは、田島本人が名付けたもの。オリジナル・ラヴの変幻自在ぶりを意味しているタイトルです。少し野暮ったさを覚えるかもしれませんが、そのストレートさがリリース時の田島自身を表しているようで、なかなかうまい付け方ではないかと思います。 1 〜 5 の東芝時代を駆け足で駆け抜けていくのが痛快。おまけに1 は最後のリフレインを短くカットしています。 8がシングルヴァージョン、11,13,14,15 がオリジナルアルバム未収録曲で、アルバムオンリーなファンでもお買得かも。 7,10はアルバムからの「ファン泣かせ」な曲。選曲は田島本人ではいらしいのですが、大曲である10を入れたのはさすが。田島は、もし自分で選曲したらもっと違うものになったろうと言っていましたが、それでもこの10は入ったでしょう(そして「Let's Go!」もたぶん)。 一方で7の挿入は、アルバムと同じ並びになるのもあって、少し唐突な気もします。カーステレオで聴くことを意識したのかもしれませんが、それならばシングルだった「GOOD MORNING GOOD MORNING」が収録されていないあたりに不徹底さを覚えます。また「いかにもオリジナル・ラヴ」な12よりも、ターンテーブルの L?K?O 参加第1作だったシングル「宝島」を収録した方が、「変身」ぶりもより引き立ったように思います。 しかし、全体の並べ方はかなりあざといです。4と5の時代が逆になっていますが、それで曲の流れが自然になっています。さらに奇しくも、中盤にバラードを持ってくる、実際のライヴのセットリストのようにもなりました。 全体としては5曲ずつの3部構成にも分けられますし、最大のヒットだった8を軸にすると、綺麗に「バンド」と「ソロ」という分け方もできます(それで7があるのかも)。 それになんといっても、ラスト3曲の並べ方は尋常ではないです。田島の声、レコーディングの時代がまったく異なる3曲が怒涛のように押し寄せてきます。思い通りのヴォーカルスタイルを獲得しつつあり、まさに「渋谷系」だったころの13(「ウゴウゴ・ルーガ」エンディング曲)。かん高く、「青さ」が感じられるヴォーカルだったインディーズ時代の14。そして官能的な声の最新曲の15。この3曲だけでも「変身」ぶりが凝縮されています。また、この破天荒な並べ方には、1st アルバムのラスト3曲をダブらせることもできるでしょう。 '99年前半といえば、前年からのベストアルバムブームが続いていた頃。その波に乗っかってしまった格好になったのは残念でしたが、それらの多くのベスト盤とは違い、レーベルの壁を超えて歴史を無駄なく要約できたことは誇るべきことです。 |
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