ORIGINAL LOVE presents《BURST!》

第98回 (2001年2月8日放送)


<オープニング>
T「今日は初めて登場する方をお呼びしております。ななななんと!今話題のニュ
 ーロマ説教ユニット『ロマンポルシェ』の掟ポルシェさんがやって来ておりま
 すんで今日は楽しみですね。」


M-01.水の音楽/オリジナルラヴ

<近況>
 最近は新曲作りをいろいろやってまして自分の次のアルバムとかシングルの曲と
かね、主にシングルなんですけど…をちょっと作んなきゃなーと思っていろいろ試
してる時期でありまして。それと共に人様のプロデュースとか作曲とかそういった
仕事もちょこちょことやってるんですけど。そんな毎日でしたね1週間。自分の曲
を取りあえず1週間かけて1曲でっち上げたというか作ったというか(笑)やりまし
たけど…なかなかいい曲なんですけどね、まあこれはちょっとストックしておいて
もうちょっと何曲か作ってみようかなーと、そういう感じですね。

 ここ収録地東京はここんとこずーっと1週間2週間寒かったんですよ凄く。つい先
日…もうこれ放送されてる時は2週間ぐらい前になるかもしれませんけども、大雪
が降りまして。雪に弱い東京っていう事で。僕もその時プライベートスタジオで新
曲をアレンジ及び作曲作業中でありましてね。うちのスタッフに『ちょっとチョコ
買ってきて』っつって(笑)。僕ねよく煮詰まるとチョコ買いに行かせるんですよ
(笑)。甘いもんがね…頭が疲れて煮詰まってくると何か甘いもんが欲しくなって
くるんですね。で、『ちょっと板チョコ買ってきなさい』みたいな感じで。甘いも
んを食べると何か知らないけど、やっぱブドウ糖ですか?…が脳に送られるんでし
ょうねあれ。糖分が送られるもんで脳が活性化するといいますかね、こうパーン!
とちょっとハイな状態になって、曲もカンカーン!とでてきたりアレンジもパンパ
ーン!と見えてきたりする場合があるんですけど。ていう事で、そのチョコレート
を買いに行かせたらそのスタッフが雪まみれになって帰ってきましてですね『スゴ
イっすよ田島さん!ヤバイっすこれ!とか言って(笑)夕方の5時ぐらいでしたでし
ょうかね?もの凄い雪で。まあ僕はそれでも『チェーンまいて帰えればいいかな。
大丈夫だろう』つって結構意地張って夜中まで作業してしまいまして。そんなもん
でね、いざ帰ろうつってスタッフと一緒に。僕自分の車でスタッフを最近送って行
ってるんで電車も無くなってる時間なんでね。チェーンをね、初めて!(笑)34才
にして初めてチェーンをまきましたー。チェーンっていうかね、何つーんだ?ビニ
ール製の網みたいになってるさ、あれをこう付けたんですね。以前雪にあった時そ
れをスタッフに買ってきてもらって前はそのスタッフに『つけて〜〜』とか言って
(笑)つけてもらったんですけど今回は『自分でやる!』つって。スタッフは『僕
がつけますよ』とか言っても『いい!俺がつける!』つって意地張って。で、夜中
なもんで暗いんすよね。タイヤにつけようにもまず説明書を雪ん中で(笑)…あの
ね、駐車場うちのプライベートスタジオからちょっと遠い所にありましてですね。
で、そのマニュアルは車の所で読まなきゃいけないんですけど、雪なもんでね読ん
でるとすぐ雪がバーっとマニュアルに積もってきて見えないんですね全然。懐中電
灯で照らしながらやってるんですけども。手は凍傷みたいにかじかんできてなかな
かつけらんなくて。ジャッキで持ち上げてつける方法じゃない停めたまま車を地べ
たにつけたままあのビニールの雪用の装着するヤツをですね…もう大格闘しまして
全然わかんなくて(笑)。結局1時間半ぐらいかかってやっと装着!『やった!俺
もチェーンつけられるようになったぜ!』みたいな(笑)。凄いそういう、何っつ
ーのかな、1人前になったような、この1週間そういう嬉しい事がありまして。それ
以外はずーっと煮詰まってたね(笑)。曲作ってピアノに向かって『あ〜〜これか
〜〜』そんな事ばっかり。そうこの1週間そういった『スノータイヤをつけられた』
それが僕の1個成長でした。そういう1週間だったですね。

<今週のリコメンド>
 レディオヘッドのちょっと前のアルバム『THE BENDS』このアルバムいいですね。
やっぱ凄いいいアルバム。曲がおそらくギターでポローンとかやりながら作ってる
んですけど、ギターで作る曲で今でも…今でもっていうかこれ5年ぐらい前のアルバ
ムですけど、それでもこんなにいい曲がやっぱり作れるんだなまだ。そういう風に
思っちゃって。この『THE BENDS』の中から『JUST』って曲を聴きます。

M-02.ジャスト/レディオヘッド

<談話室バースト!>
ゲスト:掟ポルシェ(ロマンポルシェ)以下:O

T「今日はロマンポルシェのヴォーカル担当掟ポルシェさんをお迎えしております。
 どうも。」
O「どうも。『男道コーチ屋稼業の第一人者!』ロマンポルシェの掟ポルシェと
 申します。」
T「あーどーもどーもよろしくお願いします。」
O「よろしくお願いします。」
T「やっぱりあれですね、カフが上がった瞬間に武士道入りますね。」
O「いえいえ。ちょっと声のトーンも一段低く。」
T「一段低くねやっぱり。なるほど。このロマンポルシェさんは去年の暮れのオリ
 ジナルラヴのコンサートツアーで…大阪のね。」
O「ええそうですね。大阪の梅田ヒートビートっていう所で。」
T「そうそう。そこで一緒にやらして頂いて。対バンという形で。」
O「そうですね。ええ。」
T「あん時でもね、僕ライヴ初めて観たんですよ。」
O「あーそうですか。まあ基本的にはヒトケ無い所でやっておりますんで。」
T「(笑)ひっそりと?」
O「ええ。誰にも見せない形で。」
T「(笑)。いやあもうね最高でしたよ。」
O「あーそうですか。いやいやいや。」
T「去年のベスト3に入りますねライヴ。」
O「うーん。自分ではそう思ってるんですけどね。」
T「(笑)」
O「なかなか誰も評価してくれないですけど。」
T「いやいやいや。最高でしたね。」
O「いやいやいや。ありがとうございます。」
T「で、最後ほぼ全裸になってたじゃないですか。ブリーフ一枚になって。」
O「まあね、『スターリン』へのオマージュというかね。」
T「(爆笑)」
O「まああれもひとつの遠藤ミチロウなんですよ。」
T「あ、そう。ミチロウさんなんだあれが。はははー。」
O「ええ、そうですねー。だからまあ本来は豚の臓物投げたりとかしたいんですけ
 ども。ちょっと経費がかかるんで。」
T「(笑)。そう、それで、音楽性とか噂とかいろいろあって。まあライヴを観た
 感じとね…これどういう説明したらいいんだろうなぁ〜…」」
O「まあ基本的にはほら喋りが半分歌が半分。」
T「そうそう。」
O「ね。喋りは『男とは何か』『男はどう生きるべきか』そういう事についてこう
 全く今までと違った形で。」
T「うん。」
O「あのー、柳葉敏郎が言う『男』とは違う…」
T「(笑)」
O「そういった形の『男道』を提供してる訳です。」
T「あーなるほど。」
O「大体が勘違いなんですけどね。」
T「うーん。だけどその勘違いなような本気のような何かさ、ダブルミーニング
 みたいな感じ…」
O「いやいやいや。大体があれですよ『男』っていうのは『理由』ですから。」
T「あーなるほどねー。」
O「『男とは何か』という事を尋ねられれば『男は理由だ』としか言わざるを得な
 いと。」
T「はあー!面白いね。ふーん。」
O「大体がね、屁理屈考える事が男の仕事なんですよ。」
T「そう、理屈こねてるよ。なるほどなるほどわかるわかる。」
O「でもほら『理屈』が面白けりゃ通る。それが『真実』だからといって通る訳
 じゃない。」
T「あーー。」
O「真実だからといって面白くない事を言うヤツは男としては認められないと。」
T「あーなるほどね。」
O「『男だから!』っていう所に『理由』がある訳でしょ?」
T「(爆笑)」
O「『理由は?』って聞かれて『男だからしょーがねーんだよ!』って言われれば
 それはもう通しちゃうしかないと。」
T「はあー。」
O「実は全然ロジックとしては間違ってると。」
T「ふんふんふん。」
O「何の理由も無い、何の正当な意味も無い、正当な理由が無い、にも関わらず
 『男だから』の一点張りで張られちゃしょうーがないと。」
T「なるほどね。あ、ていう事で『男』は『理屈』なんだ。」
O「そうそう。」
T「はあー。面白いね。じゃあ『女』はどうなの?」
O「え?女?いやぁ女はね、できれば乳輪がデカイ方がいいですね〜。」
T「(爆笑)」
O「ええ。ちょっとあのトレイシーローズみたいな感じでね。」
T「トレイシーローズ!(笑)古いっすねでも。」
O「あーそうねー。やっぱ3段ロケットのモノがいいですよねできれば。」
T「(笑)。やっぱりトレイシーローズって言っちゃうところが凄い世界観がね、
 80年代っていうか(笑)。」
O「まーねーええ取りあえず。いや、まだズリネタとしてはフルローテーション
 で。ヘビーローテーションで今だにかかってますので。」
T「(笑)。あ、そうですかなるほどねー。うん。」
O「ええ。田島さんはどういった感じが?」
T「僕はやっぱ『和』ですね。」
O「『和』ですか。」
T「ええ。やっぱ俺日本人なんだなー。だってほら…」
O「あの邪馬台国みたいな、こんな横ににチョンマゲついてるような感じの?」
T「(笑)そんなビデオ無いじゃないですか!でもビデオとかやっぱ洋モノとか
 見るんですか?」
O「もービデオは洋モノですね基本的に。」
T「はあーー!割とスポーティーなのがいいんだ。」
O「うーん…スポーティーっていうんじゃないですね。だからこうね、子供の頃
 から刷り込まれてる訳ですよ。ね、スカンジナビア半島…」
T「(爆笑)」
O「ね。何かの形に似てませんか〜?スウェーデンがありデンマークがあり…」
T「あー。」
O「性にフリーな王国が入ってて何かの形に似てる訳ですよ!半島の形が!」
T「(笑)スカンジナビア半島…スウェーデン…でもさ、それも俺らの世代ぐらい
 までなんじゃないの?スウェーデンがそういうあのー…」
O「うん、そうですね。今やインターネットの時代ですからねー。」
T「そうそうそうそう。」
O「いろんな国から性の解放された情報が入ってくる。」
T「スウェーデンが『性の解放』っていうさ。懐かしいなそれ。」
O「もうあの金曜スペシャル見てる世代しかわからないっていう。」
T「(爆笑)そうだよ。今の30代ギリギリかもしんないですね。」
O「そうですねー。」
T「やっぱ高度経済成長期の『外国に対する幻想』みたいなさ。そういう面白さも
 ロマンポルシェに感じる所がありますね。」
O「ええ。まー高度経済成長でね…やっぱ日本人の体は豊かではなかった訳ですよ。
 それがどんどん肉食が進みどんどん性欲が進むに従って、女性の肉体までもどん
 どん西洋化されてった。」
T「あー。」
O「ええ。いいですよねー。」
T「(笑)」
O「例えばあの、何でしたっけ…松坂君の彼女の日テレのアナウンサーね。」
T「何?(笑)…あーあーあー。」
O「いいですよね。3段ロケットらしいですね。」
T「何が3段ロケットなんですか?(笑)」
O「ええ。3段ロケットらしいんですよ。」
T「(笑)」
O「ね。こうだから…女体を横から見た場合にね、乳房の部分と乳輪の部分の間
 に乳分(←?)ってもんがある訳ですよ。
T「(爆笑)」
O「乳輪がこうちょっと盛り上がってるものを『3段ロケット』と言うんですけど
 ね。」
T「はあーっ!そうなんですか!」
O「ええ。それが素晴らしいんですよー。」
T「それ何情報?」
O「え?それはよくねいろいろな所で聞きますよ。『月刊ドンドン』とか読むと
 書いてありますよ。」
T「(笑)」
O「え?月刊ドンドン読んだ方がいいですよ。」
T「あ、そーですか(笑)。月刊ドンドン?」
O「『月刊ドンドン』『実話ドンドン』」
T「へえー。『現代』ではないんだ。」
O「『現代』じゃないですね。それは大体『月刊ドンドン』読まないと書いて
 ないですね。」
T「へえー。月刊ドンドン…それコンビニとかで売ってます?」
O「あ、売ってます売ってます。」
T「あ、ホントに。」
O「ええ。売ってるんですけどねー。あのほらオヤジが読む訳じゃないですか、
 実話誌ってのは本来。」
T「はーはー。」
O「でもオヤジが読むような情報一切書いてないですよ。」
T「はあー。」
O「芸能ネタとか漫画ネタとか。そういった丁度30才前後ぐらいの人間が読んで
 反応するぐらいの記事がいっぱい書いてあるんですよ。」
T「あ、そうなんだ。」
O「で、大体はウソなんですけどね。」
T「あー!(笑)」
O「ええ。ただその中に1%、2%の真実を読み取れるかどうかなんですよ。」
T「ははー。なるほどね。」
O「それはもう東スポと同じ。それかプロレスとも同じっていう事で。」
T「うん。へえーなるほど。そういういい雑誌があるんですね。」
O「いい雑誌がありますね。」

***
T「そのへんの嗅覚って凄いですね掟さんって。」
O「うんー。ていうかねやっぱ『好きこそものの上手なれ』っていうかねー。」
T「ホントなんかさ、そのへんの月刊ドンドン的な嗅覚がもの凄い発達してます
 よね(笑)。」
O「そうですねー。大体それがほとんど食いぶちですからねー。」
T「(爆笑)」
O「ミュージシャンだって自分で言い張ってる。確かに言い張ってるんだけれど
 も、ミュージシャンとして食ってるよりも原稿料の方が俺は多いと。」
T「(爆笑)」
O「何故なんだ!!と。」
T「あーー。」
O「何故CDがこう爆発的にヒットしないかと。そればかりが気になって仕方が
 ない。」
T「(笑)。いや〜でも何かね、ロマンポルシェってやっぱ80年代のいかがわしい
 部分と90年代から今にかけての日本の不甲斐なさというか、怒りみたいなさ…」
O「90年代ダメでしたね。」
T「うん。何かそういうモノが形となってて面白いですよね。」
O「そうですね。今まで結構誰もやってないんですよね。」
T「やってないよ。」
O「意外とニューウエーブリバイバルなんてものが例えばあったりなんかしても、
 何かね、ディーボだったりプラスティックスだったりとか。それは『ニューウ
 エーブ』じゃなくて『テクノポップ』のリバイバルであって。ニューウエーブ
 っていうもの自体のリバイバルは何もされた事が無いんですよ実際には。」
T「はあー。へえー。」
O「なんか切り取られた文化の情報の乗せ方が『ニューウエーブ=ポップ』って
 いう括りで括られてて。」
T「はあー。」
O「見た目的にポップでないもの、例えばやってる事が全然キッチュじゃないもの
 とかっていうのは大体切り離されて語られる訳ですよ。」
T「うんうん。まあニューウエーブでも売れた部分が、まあディーボとか全米1位
 になったりとか…」
O「いや。売れてる部分は結構あるんですけど。売れててもどうしても系統立って
 語られないモノっていうのがちゃんとある訳ですよ。」
T「はーはーはー。」
O「ええ。例えばソフトセルだとかブロンスキビートだとかがやったオカマの
 テクノポップだったり。」
T「なるほど。うんうん。」
O「テクノポップっていうかまあね、そうエレポップっていうんですけどね。」
T「うんうんなるほど。でもそこをクローズアップしてる所が面白いですよね。
 なかなかほら勇気無いじゃないですかそこ…(笑)」
O「うん。っていうかね。ほら好きなんだよねー。しょーがないんですよこれば
 っかりは。」
T「あーなるほどね。」

***
T「ていう事でロマンポルシェの曲をじゃあ早速かけたいと思いますが。」
O「はい。」
T「これカッコイイですねこの曲。」
O「まあそうですね。みんなカッコイイんですけどね。」
T「いやあ!みんなカッコイイなあー!」
O「全曲カッコイイんですけどね。制作時間が短い曲の方がカッコイイんですよ
 ね。」
T「(笑)」

M-03.欠陥住宅/ロマンポルシェ。

T「カッコイイですねー。」
O「いやーまーカッコイイですねー!」
T「(笑)」
O「ホント何も作んないでモノを作るってのはこんなにいい事か!っていうね。」
T「(笑)」
O「大体が歌詞には意味が無いしね。」
T「あーなるほどね。」
O「『欠陥住宅』って言っときながら『家のまわりがアリだらけ』っていう。それは
 『欠陥』じゃなくて『白アリ』じゃないか?と。」
T「うん(笑)」
O「しかもそれでいて『角砂糖で嫌がらせ』。角砂糖っていう事は『白アリ』でさえ
 ないと。『普通のアリ』だと。」
T「はーなるほど。」
O「だからこうね『家のまわりにアリをはなして嫌がらせをしてる』だけの歌なん
 ですよ。」
T「へえー!面白いねー。」
O「ええ。実際あったんですけどねこれ。」
T「あ、そうなんですか?」
O「ええ。東スポとかで見ましたね。東スポに書いてある事だからわかんないです
 よ本当の事かどうか。」
T「(笑)」
O「そのへんの確認取ってないですけどね。裏は取ってないけどまあ取りあえず
 そういう情報があったって事で。」
T「なるほどね。やっぱりでもこれ一連のセンスを感じますね掟さんのね。」
O「いえいえ。」
T「その何って言うのかな…『まがった部分の日本』っていうか(笑)。」
O「ええ。まあ『日本』ですね。これも確かにひとつの日本ですね。」
T「うん(笑)。凄い日本っぽい。」
O「日本独自の文化ですから欠陥住宅もひとつの。」
T「そうだねうん。で、あのね、この曲リクエストが来てたんですよ。」
O「おっ!素晴らしいですね。」
T「ええ。で、かけたんですけど。静岡県スズキハルミさん。女性。」
O「読んじゃっていいんですか?ペンネーム何かついてません?」
T「えーとついてないですね本名で。『ロマンポルシェの私が思う名曲『欠陥住宅』
 をかけて頂きたく存じます』と。」
O「はあー『存じます』と。」
T「『存じます』と。」
O「やっぱこれね、上品な人でしかわからないんだよね。」
T「(笑)」
O「ロマンポルシェも大変なんですよ実際。偏差値の高い人しかわかってもらえ
 ないというね。」
T「まあ…(笑)」
O「ワイン片手にケーキを食べるような。ロココ調の椅子に座ってるような人が
 聴くような音楽ですから本来。」
T「(爆笑)そうですか。ロココ調なんだ。オーケーわかりました。」

***
T「はい。ロマンポルシェスペシャルですけれども。掟さんは歌謡曲のアイドル
 結構詳しい…」
O「そうですね。大体こう『男道コーチ屋稼業』という男とは何か?という事を
 考える活動が月〜金ですから。」
T「(爆笑)」
O「まあ土日はねそれを休んどかないと。男濃度が高くなりすぎて吐く息も男臭い
 訳ですよ。」
T「あーなるほどね。」
O「ちょっとたまにはこう…焼肉、焼肉、焼肉食べたらたまにはレモンスカッシュ
 も飲みたいなという。」
T「(爆笑)。で、レモンスカッシュ=80年代アイドルとか…」
O「まーそうですね。自分の中の自浄作用っていうんですかね。薬草みたいな
 もんですよ。」
T「(爆笑)あ、薬草だ。なるほど。」
O「ええ。何か動物がそのへんで小石をついばむみたいなね。」
T「あー。…小石?」
O「ニワトリがそのへんで小石をついばんだりするようなもんですよ。」
T「何だそれ(笑)。」
O「ええ。エサでない物でもたまには食っとかないと。」
T「あーなるほどねー。で、何かアイドル行ったりハードコア…あ、そうだ、今
 まだ話してないですけど、割とハードコアとかも好きだったんでしょ?」
O「そうだね。だから80年代の音楽が大体好きなんですけど。80年代って日本の
 ハードコアパンクの黎明期なんですよ。」
T「そうだねー。」
O「ええ。日本のハードコアパンクって大体が自主制作盤でしか出なかった訳で
 すよ。」
T「そうですねー。」
O「そうなってくると音質が限られていて。音質が限定されてる音楽が好きな訳
 ですよ。」
T「なるほど(笑)。」
O「ええ。全ての音楽は大体音質で聴いてますんで。」
T「あ、そうですか。へえー。」
O「昔、坂本龍一がサウンドストリートで『今までの音楽は"メロディーの音楽"
 だったけどもメロディーの音楽はもう既に飽和状態である』と。」
T「うん。」
O「『これからは多分"リズムの音楽"に変わってくだろう』と。」
T「うんうん。」
O「それは80年代の話だったんですけど。で、90年代になって、例えばドラムン
 ベースみたいな音楽であったりとか。大体こうリズムでどんどん音楽が変わっ
 てくんですけど。これからどうやって変わっていったらいいか?って言ったら
 もう"リズム"も飽和状態なんですよある程度。」
T「うんうん。」
O「って事になってくと音質で音楽を聴くしかなくなってくる。」
T「はあーー。」
O「例えばパンソニックとかああいう音響派みたいな人だったりとか。」
T「あーそうね。『パンソニック』ってテクノのね。」
O「ええ。ありますけどね。ただそれは『音響派』って言われてるテクノとかの
 範囲内であって。」
T「そうですね。」
O「例えばハードコアパンクとかにそういう音響が昔からあったっていう事は
 みんなあんまり知らないんですよ。」
T「はーはーなるほどね。」
O「ええ。だからハードコアパンクのその当時の日本人が作ったせこーい音質!
 バランスの悪さ!」
T「(笑)うん。」
O「全ての楽器がひずんでて聞こえなくてヴォーカルだけが異常にデカイ!とか。」
T「あーー。」
O「ドラムが『スットトトトト…』っていうこう…」
T「(爆笑)ショボかったりするんだよね。」
O「何の低音も入ってないような。」
T「そうそうそう(笑)。」
O「結構だから『シティーロッカーオムニバス』っていう1980年代に出た日本の
 パンクの一番初期のレコードなんですけど。それとかに『ガーゼ』っていう
 日本のパンクのもうホントハードコアの大御所ですけど。」
T「あーーー。」
O「ガーゼの曲が収録されてるんですけど。それもね、だから異常にクリアなんで
 すよ音が。」
T「(爆笑)」
O「クリアすぎて…」
T「ツルツルしてる?」
O「んもう何が何だかわかんないぞっていう。これ迫力無いな〜っていう。」
T「(爆笑)」
O「ただそういうモノをずっと『迫力ある絵ヅラ』とワンセットで聴いてる訳で
 すよ。」
T「あー。」
O「その当時情報がありませんよね。『宝島』とかで見てるこうライヴの客と殴り
 合いしてるシーンとか。」
T「そうそうそうそう。」
O「パンクバンドが、例えばさっき言った豚の臓物投げたりとか、生サバかじった
 りとか。そういう絵ヅラを見てこの音だから『この音にはもの凄い意味がある
 に違いない』とヘタな幻想を抱いてしまう。」
T「へえー(笑)。」
O「そういった意味で『幻想込みのハードコアパンク』が日本には昔あったんで
 すよ。」
T「なるほどねー。僕も80年代前半の頃ってさ、雑誌から来るインパクトってあっ
 たんですよ。ジグザグイースト?…アメリカの…何だっけなあ?」
O「まあ例えばドールみたいなもんで、昔『ズー』っていう名前だったんですけ
 どね。」
T「うんうん。何かビジュアル系になる前のニューウエーブとかハードコアとか
 やってる頃のね。」
O「どんな凄い音楽やってるんだろう?!と思う訳じゃないですか。」
T「そうそう。いきなりこう髪の毛がこんな立ってる写真とかバーンと見せられ
 てビックリしましたよ。」
O「初期のハードコアパンクなんかは暴力性と一体化してたりなんかして。」
T「そうですねー。」
O「ねえ。暴力の無いバンドはやっぱこう違う人気があったりする訳ですよ。」
T「そうですねー。ライヴに行くと喧嘩になるから。」
O「そうそう。喧嘩になるからっつって、喧嘩の無いあそこ行ったら殴られない
 からウィラード行こう!とか。」
T「(爆笑)そうなんだ。」
O「喧嘩弱いヤツみんなウィラードのファンになっちゃって(笑)。」
T「(爆笑)なるほど。」
O「ウィラードはそういうの認めてたんですよ。『そーいう子達も来なさい』と。
 お客さんとして。」
T「ふーん。でもさ、あの頃のライヴのテンションってそういうテンションでした
 よね。」
O「そういうテンションですねー。何があるかわからない。」
T「そうそう。前も話しましたけどスターリンの前座やってる時とか…僕やった事
 あるんすけど。」
O「ええ。スターリンの前座を。」
T「そうそう。それもそういう雰囲気だったし、あと他のその当時ライヴ行くっつ
 ったらさ、何かこうやっぱ覚悟してたもんね(笑)。」
O「そうなんですよ。何があってもわからない。」
T「そうそう(笑)。」
O「まず喧嘩がひとつは起こるでしょ?」
T「そうそう。絶対何かあるなーみたいなさ。」
O「絶対仲良くないし、安全な事も一個も無いんですよ。」
T「そうそう。」
O「いかがわしい物、危険な事、そういう物が渾然一体となってこう何て言うんで
 すかね?新宿二丁目と歌舞伎町の間ぐらいの感じのこうね(笑)。」
T「うん、そうそうそうそう。何かビビっとした危険な電波がね。あれ何んでみん
 なあんなテンションだったんだろうな?って今思うと不思議だったりするんだ
 けど(笑)。でも何かね、ルースターズの井上さんとかと喋ったりしても、あの
 頃はやっぱり『みんな何であんなテンション高かったんやろな?』ってね(笑)
 よく話してますけどね。」
O「うん。」
T「もうとにかくお客さんとの喧嘩もあるけども、バンド同士の喧嘩も凄かったと
 か言ってましたね。」
O「まあまだこうね、イデオロギー論争みたいな。70年代ぐらいの学生闘争みたい
 なのをちょっとまだ引きずってて。」
T「そうそうそうそう!残ってた。」
O「音楽にロジックがついてて。」
T「うん、ついてた。」
O「それでその音楽についてるロジックに対して今度はロジックでなく、ロジック
 を打ち壊すのは『暴力』しかないと。」
T「(爆笑)そうだったのかな。」
O「『ガタガタ言ってんじゃねー!』って殴り始める人が出てきてる訳ですよ。」
T「あーー。」
O「だからスターリンの遠藤ミチロウなんかは『暴力はコミュニケーションだ』と」
T「(笑)そうなるほどね。」
O「ええ。全く関わり合いにならないよりもやっぱり殴り合った方がまだわかる事
 があるっていう。」
T「はあー。あ、そういう風に言ってたんだ。」
O「ええ。そういう感じだったと思うんですよね。」
T「へえー。ミチロウさんはでもね、その人自身は凄い普段は温厚な…」
O「でしょうねー。でもまあその当時は結構それなりに。あの状況の中にいる訳で
 すから相当おかしかったんだと思いますよ(笑)。」
T「いやあそうでしょうねー。うんホント。でもね、伝わってくる雑誌の情報とか
 からもミチロウさんどんなおっかない人なのかなって。」
O「大体思う訳ですよね。」
T「そうそう。」
O「で、パッと見、まあ一見すると結構身長なんかも高くないし。『まあそんな
 おっかない人じゃないんじゃないかな?』みたいな感じで。で、話すと山形弁
 だし。」
T「そうそうそう。でもやっぱりやってる事はあんな事なんでね。」
O「伝わってくる情報はもうとてつもなく恐ろしい人ですから。」
T「そうそう。今でも恐ろしいよね。今もっと恐ろしい…あのミチロウさんのライ
 ヴ一昨年僕観たんですよ。あの弾き語りやってるヤツ。」
O「はいはい。やってますね。」
T「あれが僕ね、あのスターリンの時よりも凄いかもと思った。強力でしたよ。」
O「あー。」
T「あのー(笑)もうホントにね音楽的な時限爆弾みたいなもんでさー(笑)。」
O「あー(笑)。」
T「何かね『Heaven's Door』を替え歌で歌ってたんですけど。強力でしたね。」
O「パンクですね。」
T「いやー!ホントパンクだった。」
O「そうギター1本で弾き語りですからね今。」
T「そうそう。あの言葉の破壊力。あれはそん時よりも凄いかなと思った。」
O「うん。」
T「それが何か感慨深かったですけどねあのライヴ観た時。」
O「そうですねー。」
T「うん。」

***
O「まーその大体、雑誌文化として情報が入ってきて、それん中で一番ピンときた
 音楽がたまたま『ソフトセル』っていうオカマがやってる音楽だったんですよ」
T「(笑)なるほどね。うん。」
O「丁度『フールズメイト』っていう雑誌に北村昌士っていう編集長がいて。」
T「そうそう。『イボイボ』っていうバンドも。」
O「えーやってましたねー。で、その編集長が非常にポップスターとしのマーク
 アーモンドっていうのを推してる訳ですよ。」
T「はあー。」
O「ただポップスターと言ってもいわゆるペットショップボーイズみたいなのと
 また違う…」
T「違うね。うん。」
O「イレイジャーみたいなのともまた違う。」
T「うーん。…『イレイジャー』って何だっけ?」
O「イレイジャーってあの90年代ぐらいにデペッシュモード抜けた人がやってた
 イギリスの国民的なエレポップバンドなんですよ。」
T「(笑)」
O「そういうモノとはまた違ういかがわしい人脈の中に入ってる人なんですけど。」
T「まあそうですよねー。うん。」
O「スロッピンググリッスルのジェネシスPオリッジと交流があったりとか。例えば
 バロウズなんかと交流があったりとか。」
T「うんうん。」
O「ああいうアンダーグランドな中のポップスター。」
T「わかるわかる。」
O「ポップなんだけど浴びてる光が太陽光じゃないのが明らかにわかるっていうね」
T「そう。だからアンディーウォーホールのポップっていう感じのもんだよね。」
O「ええ。」
T「モンローの絵…あんな感じのポップでしょ?」
O「ええ。ちょっと毒々しいじゃないですか。」
T「そう。ただれた部分のエルヴィスの作品っていうかさわかりますよ。そういう
 ポップ観はありますねマークアーモンドね。」
O「ええ。本物のオカマなんですけど単に。」
T「(笑)」
O「オカマの延長線上でたまたまポップスターになっただけだっていう。」
T「うん。でもやっぱさ、オカマの人の音楽のセンスって変わってますよねやっぱ
 全般的に。」
O「そうですね。ええ。」
T「T.レックスもそうだしソフトセルもそうだしさ。何でこんなリズムがショボい
 んだけどカッコイイんだろ?とかさ(笑)。」
O「そうですね。だからまあいわゆるゲイ・ディスコ…」
T「ゲーディースコ?…あ、ゲイディスコ?そうかそうか。」
O「ゲイがやってるディスコサウンド。まあナイトクラビングに適してる音楽って
 いうのですね。なんだけど低音とかが全然入らない。」
T「入ってない。そうそう。だから何か女好きな男が作る音楽じゃないんだよ。」
O「ええ。」
T「違う感覚を持ってるじゃない?オカマの人って。」
O「ダンスミュージックってのとちょっと違う訳ですよだから。」
T「ちょっとねー。」
O「踊れるっていう要素よりも、たまたま自分の吐いてる吐息の『ハッハッハッ』
 っていうこのリズムに合わせてるだけであって、ビートで踊ろうっていうタイ
 プの音楽じゃないですよ。」
T「(爆笑)はー!なるほどねー。」
O「だからどっちかっていうと心臓から来る音楽じゃなくて、もっと下半身から来
 る『ドクドクっ!』っていう感じの。」
T「(爆笑)なるほど。」
O「脈打つ感じですよね。脈ですからやっぱこうハートの鼓動とはちょっと違うん
 ですよ『ドンドン!』ていうのと。」
T「なるほどねー。」
O「ええ。ではその生々しい生ぐさーい感じをちょっと聴いてもらえればなと。」
T「はい。じゃあその脈を聴くっつー事で。」

M-04.ベッドシッター/ソフトセル

T「凄いカッコイイですねこのバージョン。」
O「これね、ソフトセルにしてはちゃんと12インチ作ったバージョンで。」
T「ねー!」
O「ええ。あとはもう全然。『後から足したイントロ』だけとかね。」
T「(笑)テープ編集でね。」
O「無理矢理エクステンデッドバージョンばっかりで。こん時はちゃんと作って
 てね。」
T「へえー。これはね。」
O「この当時ソフトセルとマークアーモンドのファンクラブ入ったんですよ。」
T「(爆笑)。それだけど男でファンクラブ入ってんのもなかなか珍しいかった
 んじゃないですか?ファンクラブ番号1番とか?」
O「うーんねえ。なかなかやっぱ大体は女の子が聴くもんなんでこういう音楽っ
 て。まあ当時はアイドルですからね普通に。」
T「うん。なるほどなー。」
O「ただちょっと何かね、そういうあいざき進也でもない近藤真彦に行くでもな
 い、しょうがなくこれ聴いてた人がいっぱいいる筈なんですよ多分。」
T「(爆笑)なんかわかりますねそういうの。ついつい!」
O「いかがわしいモノを求めて行って。でもアイドルでなきゃいけない!って事
 になると。」
T「なるほどねー。」
O「自分の中の好きな要素が2つ入ってるんですよね。『いかがわしいモノ』と
 『アイドル的なモノ』と。」
T「なるほど。そういった人達がマークアーモンドの所に行く訳だ。」
O「そうですね。あの当時結構そういう女の子が多かったですね。文通とかして
 ましたもんだって。」
T「あ、そうなんですか?!(爆笑)」
O「ファンクラブで知り合った女の子と文通する訳ですよ。」
T「マジっすか?(爆笑)シブイね!どんな事喋るんですか?」
O「いや、だから『マークアーモンドの世界観とどういう映画が合うか?』とか
 ね(笑)。」
T「(爆笑)」
O「そういうもう(笑)ダメな会話ですよ。そんなジュネとかね南原企画の本にし
 か載ってないような会話ですよ。」
T「へえー(笑)。やっぱりそのファンの女の子達もいかがわしいモノに結構敏感
 だったりするような?」
O「そうですね。だからその『マークアーモンドと誰が似てるか?』みたいなね。
 それで『サテリコン』って映画があるじゃないですか。」
T「サテリコン?知らない。」
O「サテリコンっていう映画があったんですよ。で、その『サテリコンの中に出て
 くるなんとかっていう男の子に似てる』とかね。」
T「へえー。どんな映画なの?サテリコンって。」
O「えーとね、何つーんですかね、何かギリシャ神話みたいな映画ですかね。
 でもまあいかがわしいんですよ。」
T「へえー。はあー。」
O「まあ何かあれですよ。ヌーヴェルヴァーグのコジャレたヤツですよ。」
T「あーなるほどなるほど。はははー。」
O「今なんかもう恥ずかしくて絶対見れない!っていうような。」
T「(笑)なるほどね。」
O「男稼業を始めてからというもの、音楽としてはこういう要素はいっぱい残して
 るんですけど。」
T「あーなるほど。しかしでも本当ね、掟さんは掘れば掘る程凄いモノがいろいろ
 出てきますね。で、今日はたっぷりと喋り過ぎてしまいまして予定してた曲が
 全然かかりませんでね。」
O「あ、かかんなかった?!」
T「ええ(笑)。もうねー次週持ち越し!」
O「持ち越し?!」
T「という事でね(笑)。」
O「また来るの?!」
T「また来週ちょっとお願いしたいと。」
O「いやあ来週はちょっと忙しいんだけどなー。帰っていい?」
T「いやダメ(笑)。ダメっす!」
O「ダメですか…」
T「ちょっとこれもうせっかく面白いんでね、次週も是非掟さんに来て頂いて
 曲もかけていきたいと思いますんでね。」
O「ええ。」
T「ね。ていう事で。」
O「来週も来てくれるかな?」
T「来週も来てくれるかな?!」
O「いいともーー!」
T「(爆笑)」
O「いいともですっ!!」
T「(笑)。という事で談話室バースト!でした。」

<エンディング>
T「今日のお客様はロマンポルシェの掟ポルシェさんでしたね。来週も来て頂くと
 いう事で。お楽しみに!それではまた来週。オリジナルラヴの田島貴男でした。
 バースト!」

 


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki