ORIGINAL LOVE presents《BURST!》

第93回 (2001年1月4日放送)


<オープニング>
T「あけましておめでとうございます。オリジナルラヴの田島貴男です。今日は
 第94回目にしてなんと!2001年最初の放送でございます。ではここでひとつ
 オヤジギャグをかまさして頂きます。『ガショ〜ン』…(笑)。先週はとい
 うか去年はというか前世紀はL?K?Oと共にお送りしましたけども、今日はレコ
 メンデーション拡大版を兼ねつつ1人でベラベラしゃべまわる回にしようかな
 と考えておりますがわかりませんどうなるか。」

M-01.MP/オリジナルラヴ


 この曲はライヴでもずーっとやってまして。この曲の始まる前に「盗聴法反
対の曲をやりま〜す!」とか言って「ミッシングパーソンでMPで〜す!」とか
はりきってMCをした記憶がありますが、あれはもうかれこれ20世紀の事だった
んですね皆さん…という感じで。

<近況>
 21世紀をついに迎えまして、とっても…うーんそうだな…クリーンだな(笑)
なんかね凄いクリーンです!ビッグクランチでこの日本の悲鳴を音楽に…僕の体
を介してガーン!と表現し終わった後、なんかね凄くこうクリーンな明るい21世
紀をみんなでイメージしようじゃないか!みたいな…そういうモードになってき
ました最近。はい(笑)。という感じなんですけど。ちょっとおかしい?今日俺
…なんて。

<リコメンド拡大版>
 今日はレコメン拡大版でありまして『ムーディーマン』を特集する訳で。その
拡大版もう1曲目ここで早くも行ってしまおう。ムーディーマンをじゃまずここで
聴きましょう。

M-02.ドンチューウォントマイラヴ/ムーディーマン

 かっちょいいですね。気持ちいいですね。絶対これアルファー波出てる…アル
ファー波?ベーター波?先週も言ってたな(笑)、なんか心地良い波長すっごい
出てない?この曲。これ音楽、これ大事でしょ!って最近凄い思いますね。もう
このねアルファー波だっけ、ベーター波、シーター波、忘れましたけど、この心
地いい波!これを歌でも何でもグルーヴでも何でもわかんないですけど、出さな
いとダメだな芸術は!なんて思いました。で、ムーディーマンはね、出てますね
今のこの曲。ムーディーマンどの曲も大体出てます。新しいアルバム僕まだちゃ
んとすみません聴いてないんですけど、でもこのような曲調、波長がと言える程
この曲を聴いて21世紀まず最初におれは思いました。

***
 という訳で、今日は2001年の一発目に相応しいアーティストを特集したいと思
います。その名は、ムーディマン…ムーディーマン…ムーディーマン…ムーディ
ーマン…ディレイかけました。えーとね(笑)本名がケニー・ディクソン・ジュ
ニアという人でね、『デトロイトニューハウスの代表選手』。そうですね。で、
『ムーディーマン』の意味は『不機嫌野郎』。もう不機嫌野郎!って感じの人で
すねこの人写真見るからに。大の日本嫌い!という事で(笑)。日本でDJなんか
しに来て…あ、しに来ないのかな?日本が嫌いだからっつって(笑)。ほで『お
まけに今のポップスや音楽産業のシステムを全て激しく嫌悪している』。ね、俺
も多少ね(笑)…me too! なーんつて(笑)。で、『このへんの心意気はURにも
近い』。まあそうですね。最初のそう、デビューシングルはURから出てるらしい
んですけども。非常にこう何て言うのかな、URの持つムードに近いモノがありま
すけども。でもURの中でも…URともまたちょっと違うかなぁ…違うんだけど近い
この匂いがしますけどね。そういうレジスタンス精神と言いますかゲットーミュ
ージック、新世紀のゲットーミュージックと言いますか、そういう意味ではURに
近い香りが凄いしますけども。

 アルバムは3枚出ています。それで去年リリースした『Forever Never More』。
『ハウスの枠に収まらないゴスペルとソウルとノイズが狂おしく交錯する傑作』
という事ですが。このアルバムも僕まだ実はごめんなさい聴いてないですけども。
さっきかかった曲がそのアルバムに入ってる曲ですね。この1個前のアルバム僕
結構好きで聴いてたんですけど、その1個前のアルバムを更に…何て言うのかな
…磨いて研ぎ澄ましていったようなアルバムなんではないかって気がする訳なん
ですけども。この間セオパリッシュのDJをインターネットで1時間ぐらいバーン
と流してて聴いたんですけど。もうホントこのムーディーマンの『Forever Never
More』のまんまという感じでしたね。とにかく常にフィルターをこう自分のエク
スタシー…エクスタシーと言いますかね、もうホントにフィールソーグッドです
ね。だからあの心地良い波長に合わせたままずーっといじってるというね。踊り
やすいんだか踊るってよりもなんか気持ち良くなるという感じのDJなんですけど。

 ムーディーマン僕凄い好きなところはね、もの凄く今までの過去の音楽をこう
凶暴にイジェクト…何つーの?イジェクトじゃないな、えと、エディットですね。
してですね、全然別のモノにしてるんですけど、何か過去の音楽への愛情が感じ
られるという…不思議なアーティストですねこの人はなんか。大体どちらかなん
ですね、過去の音楽が好きすぎるか、ズタズタにしてやるぜ!か。ムーディーマ
ンはこのどちらともあるなと。だけどなんかゴスペルとかソウルがミニマルみた
いになっちゃったりしてるんですけど。でも凄くゲットー意識といいますか1960
年代70年代から綿々と続いているそのブラックミュージックのゲットー感覚がも
の凄いある人ですねムーディーマン。そういう匂いが感じられて。ま、UR。Under
ground Resistanceも…『おれたちゃP-Funkやってる』ってインタビューで言って
るの見た事ありますけどね。そのへんがね、まあブラックミュージックのファン
でもありますんで僕ね。新しいブラックミュージックという聞こえ方もしますし。
とにかくね、スライ&ザ・ファミリーストーンに凄い似てるなあと思うんですね。
特に『暴動』のアルバム。あの謎のミックス感覚。あのフィルターと言いますか、
音のバランスの取り方っていうか、あれとか意識してるんだかしてないんだかわ
かりませんけども、なんかね凄い近いモノを感じますね。

 という事で、ここで『アメリカ』という曲を聴いて下さい。

M-03.アメリカ/ムーディーマン

 この曲はアルバム未収録でありまして12インチのみで発売された曲です。これ
はギル・スコットヘロンのポエトリーリーディングをまんま使って、そのギル・
スコットヘロンの喋りに…喋りのバックトラックを作った!というような、そう
いう感じの曲でありますけどね。『アメリカ』これはアメリカを告発すると言い
ますか、アメリカのこういうところがこう違う…まあ違うというかさ、なんかそ
ういった事を言ってるらしいすけども。ギル・スコットヘロンってこれは確かア
ルバム…何に入ってたかなぁ…アメリカってアルバムだっけな?忘れちゃったけ
ど…これ憶えてます僕。という事で、このギル・スコットヘロンの歌詞を何のエ
ディットもせずにダーン!と使ってそのバックトラックを作ってるという、そう
いうところにもムーディーマンの何かこう…真面目なんだか凄い不良なんだかよ
くわかんないんすけど、辛辣さと言いますか、そういったモノが伝わったくる訳
ですが。いいですね!という事で今日は『ムーディーマン特集』です。

***
 ここでムーディーマンが自分でライナーノーツ書いてる文章があって。それち
ょっと読みますけど。『俺は言いたい。デトロイトの毎日の中で生き、そして死
んでいく全てのニガーどもへ。何が起きてるいるんだと。』おれも言いたいな。
なんて。『地球の至る所のまだ知られざるアーティスト、プロデューサーそして
DJに言いたい。信じようと信じまいとオマエ達は生き続けている。そしてリアル
な1人なんだ。音楽的にはパッとしなくてもビジネスの才能には長けたブラザーや
シスターへ。いつだってブラックミュージックをサンプリングする郊外に住む全
ての白人キッズ達よ。ロックンロールを変えてみないか。オマエ達がブラックミ
ュージックを低級で弱々しくくたびれ変なモノにしているんだ。日本やヨーロッ
パそれからアメリカの皆さん。ありがとうよ。オマエはオマエが何者か知ってい
る。俺は名前を書き始め幾たびでも名前を書き続けるだろう。オマエ達がKDGを
サポートしようと俺や俺のファミリーをサポートしなかろうとデトロイトの毎日
をもがく本物のニガー共は只生きそして食って息をしているのだ。』という事で
すけどね。っていう事はもう日本もヨーロッパもブラックミュージックをサンプ
リングしてるそういうブレイクビーツの人達とか、あとはアメリカのヒップホッ
プの人達さえもこう否定しているような…そういう人なんですねきっとこの人は。
なんかもっと『俺のやってる事は新しいんだ』みたいな…まあそういう事は言っ
てるのかわかりませんけども。確かにね、デトロイトでムーディーマンの音楽…
まあこれはハウスというところからできてきたんでしょうけど、ニューハウスと
か言われてますけど、踊ってる人はブレイクダンスしてたりするらしいですね黒
人達とか。だから普通の何かこうハウスだとかっていうそういう文脈ではないん
ではないかなという感じがするんですけどね。

 『俺や俺のファミリーをサポートしなかろうとデトロイトの毎日を只生きそし
て食って息をしているのだ』…それは日本の我々もね、只息をして食ってるんで
すよ。…(笑)とか言い返したいなって感じがしますけどね。リアルな1人なの
だ。っていう意識というのはなかなかね、音楽をやっていてですね…特に日本と
かってのは持ちづらいっていう事があるような気がして。あのー…まあアメリカ
のヒップホップを真似してヒップホップをやってるような人達っていうのはそれ
は日本で生まれ育った俺達にとってホントにリアルな事なのか。それ疑問だぜ。
なんて思う事は多々ある訳でありますけどワシらも。僕にとってだからビッグク
ランチはすげえリアルなんですけど。ま、日本で只息をして食って生まれたアル
バム・ビッグクランチ…(笑)2000年の世紀末に。と僕は言いたい訳であります
けどね。はい。

 ま、そんなこんながありつつですね、21世紀。それにしてもやっぱり日本。明
るい未来!…(笑)明るい21世紀を作るにはどーしたらいいんだ!という事で…
最近そういうモードなんですけど。

 続けてムーディーマンの曲です。

M-04.ブラックマホガニー/ムーディーマン

 気持ち良かったっすねーうん。なんか体のコリに効く!つー感じの(笑)心地
ええなーという感じですけどもね。あのーそうですね、ムーディーマンってこう
やっていろいろ聴いて行くと、久しぶりにゲットー臭いアーティストだなと思い
ました。60年代70年代ニューソウルの人達が持ってたゲットー感覚。その匂いが
今時するっていう…今だからなのか。うん。今そういう事をするにはどうしたら
いいのか考えたくなってきました。そういう意味で何か凄い真面目そうで好きだ
なあ…(笑)真面目そうでっつーのかな、あの、いいですね凄い。と思ってしま
う訳でありますが。いろいろ彼にまつわる話で、なんかこう怒りとかさ、デトロ
イトはどうしようもねえ街…そういった事がなんか宣伝文句みたくなってますけ
ど。でも基本的に彼の音楽ってのは凄くアルファー波が出てる心地良いいい音楽
だと思いますよ。ただそこにこう凛としたポリシーがあるっていうかね。だから
それがいいのかなあ…と思える訳でありますが。だから彼の音楽聴いてて全然辛
くならないっていうか。ま、テーマとしてはいろいろそういった…俺は不機嫌だ
なんだって言ってるみたいですけど、そういったリスナーを打ちのめしてやる!
っていう感じではないですね。非常に気持ちのいい、こういう気持ちのいい音楽
がまだ新しい音楽として作る事ができるんだよ!と言ってるようななんかねそう
いう感じがしますが。

 それではムーディーマン続けて『泥棒』という意味ですね?『THE THIEF』

M-05.ザ・シーフ/ムーディーマン

 これいい曲ですねー!面白いですねこれ。面白いというかね、これいいわと思
いました。なんかちょっとせつなくなる。でもハッスルみたいな(笑)すっげー
不思議な曲。ソウルを感じますねうん。ま、ゴスペルをサンプリングしてるから
ってのもあるんですけど。なかなかこういったハウスとか打ち込みの人達がこう
いう題材を使うっていうのが非常に珍しいすけど。彼にとっては関係ないんでし
ょうねムーディーマンにとって。凄いいい曲ですねこれと思いました!うーん。
今後もムーディーマンどんな曲出してくれるのか非常に楽しみなアーティストで
すね。最近そういうアーティスト少ないですけど…と思いました。ていう事で21
世紀最初の特集アーティストはムーディーマンっつー事で…でした。

<エンディング>
 このムーディーマンですけどね、やっぱ彼はいろんな人に苛ついてね、『チキ
ショーバカヤロー』とかいろいろ思ってるんでしょうけど、基本的に多分ね、こ
う人が好きなんでしょ。と思いましたホントは(笑)。だからこういうピュアな
曲、心地良い曲を作っちゃうんだよ。なんか人間に対する…人間を傷つけたい…
そういう芸術っていろんな側面ありますからね、そういった曲だったり絵だった
り、アートってものはやっぱある訳ですけども。ムーディーマンはね、いろいろ
彼が言ってる事とかそういったモノに満ち満ちてんのかなと思うと、曲を聴くと
ですね、決してそういうんではなくて、彼の中は非常にあったかいですねーなん
かこう。ゲットーで暮らした辛いだとか何かいろいろいわれはあるんでしょうけ
ど、基本的には何かこうあったかいというか。結局いろんな人達が生きてる事を
思いっきりこう想定しているような。なんかそういう音楽なのかなあ。だからま
あそのへんが実は非常に黒人音楽の主流派と言えるようなね。最近そういう音楽
がなー…ヒップホップ以降ね、黒人音楽っていうのは『あの野郎気にくわねえ』
とか極度にそういう方向に行ってしまった訳でね途中から。で、元々あったその
ゴスペルだソウルだっていうそういった文脈から完全にヒップホップ以降断ち切
れてしまった訳で。で、かえってゴスペルだなんだやるとそういった事は若者ら
しくねえ。ダセー。みたいな、なんかそういった雰囲気があった訳で。そうでは
ないアーティストもいますけどね。でもこのムーディーマンってのは非常に50年
代60年代のソウルミュージックのあったかい感じがして、だからなんか心地いい
なと思ってしまうという。えーそんな感じなんではないかと…今頃思ってしまい
ました。という事で21世紀もよろしく。また来週。


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki