ORIGINAL LOVE presents 《BURST!》

第144回 (2001年12月27日放送)


<オープニング>
T「今日は2001年最後の放送となりますね。皆さんお正月の準備はバッチリでし
 ょうか。今日は初登場。グラフィックデザイナーの常盤響氏がスタンバって
 おります。」


M-01.夜行性/オリジナルラヴ

 松本隆さんは今度の藤井隆さんの新しいアルバムのプロデュースをなさってて
ですね、この間シングルをチラッとテレビで聴く機会があって「絶望グッドバイ」
いいタイトルだなーと思って。結構そういうバカモードも書ける!みたいな感じ
ですねあの方は。

 で、今日僕は…この番組始まってもう2年以上になりますけれども、史上最高
の遅刻をしまして。記録大更新しまして、2時間!(笑)遅刻してしまいまして
ホントに申し訳ない。今日のゲストの常盤さんにも申し訳ないなーという気持ち
でいっぱいなんですけども。で、高速で飛ばしてきました車で。しかもさっきラ
ジオ局のスタジオを間違えまして。違うとこへ行ってしまいました(笑)。で、
来ましたけどやっと!えーー…なんでね!あのーもうこれね言い訳すると、今
ニューアルバムの歌入れをしてるんですけど、昨日も朝6時?7時ぐらいまでやっ
てましてですね、んで今日は僕てっきりね…この番組収録なんですけども、時
間13時始まりだったんですね。で、僕ね3時だと思ってましたよ。13時を3時…
だからもうこれから「13時」って表現辞めようと思って。「午後1時」です!っ
て言ってくれよ〜なんつて人に当たったりしましたけども。あのー…ね、悪か
った訳なんですが。はい。まあでもね、歌入れとか曲…作詞もしてるんですけ
ど、それでいてこの間作詞の締切のスケジュールを飛ばしてしまいましたよワタ
クシ…2週間程アルバムの出来が遅れている!という状況になりましてね、いろ
んな事がいろいろ(笑)…いろんな人をちょっと今ブッチギってる状態で非常
にまわりに迷惑をかけてんですけども。あのー歌詞と歌。ちょっと2週間スケジ
ュールが遅れる訳ですが…ただ発売は遅れませんので。ね。すみません。って
感じなんですけど。

 で、今聴いて頂いた「夜行性」なんですが、これは今シングルバージョン聴い
て頂きましたけども、アルバムバージョンで今回なんと歌変えました。シングル
バージョンは割とシングル用に「シングルだー!」っていう、まあレコード会社
の人もそっちの方が喜ぶだろうってね「シングルでーす!」みたいな感じで、歌
を割りとカッチリこう歌ったんですね。キレイに歌って。で、コーラスもキレイ
に入れてみたいな感じですけども。アルバムバージョンはもうライヴみたいな感
じの歌にしましてですね。今回スタジオは自分のプライベートスタジオで歌入れ
とかレコーディングを行っておりますので、そういう事ができるんですね。普通
の大きなスタジオ借りちゃうと「これでもう1回アルバムバージョン用に歌おう。
気分変わったんで歌直しまーす」とか言ってもね、じゃあ予算が40万円…ヘタ
すると100万円とか行っちゃうんで「じゃあそれ君出して」とか言われちゃうん
で出来ないんですけど。まあ今回そういった事がいろいろ出来たりして。で、ア
ルバム用に歌はホントにライヴみたいな歌にしました。で、音数も凄いシンプル
にしてリズム一発録りみたいな感じのテイクが「夜行性」アルバムバージョン。
そっちの方も非常にいい感じですんでね。

 今回のアルバムはね、そうだな、僕の気分としてはブルースですね。ブルース
のアルバムになったなと。うん。見えた!みたいな、思ったんですけど。ブルー
スっていうのはそれはもう要するに形通りの、ロバジョンのブルースだっていう
訳じゃなくてね、まあ何て言うのかな、音楽のメディテーションと言いますか、
音楽を聴いて何かちょっと開放される感覚としてのブルースね。まあほら2年、
1年ぐらい前までは「癒し」とかいう言葉が流行りましたけれども。「癒し」っ
ていうともの凄い清潔感があって…何て言うのかな、ちょっと抗菌っぽいって
いうかね(笑)菌が入ってない感じ?でしょ?でもそうじゃなくて、もっと汚れ
た感じと言いましょうか、ね、ブルース…でいいじゃないか、って事なんです
けど。で、今回のアルバムはそうだな、僕にとってのブルースアルバムだと思い
ますね。という事で「アダルト・オンリー」を聴いて下さい。

M-02.アダルト・オンリー/オリジナルラヴ

 オリジナルラヴの1月17日発売のマキシシングルから「アダルト・オンリー」
を聴いて頂きました。

<談話室バースト!>
ゲスト:常盤響(以下H)

T「今日のお客様は、今やすっかり有名デザイナー&フォトグラファーの常盤響
 さんです。どうも。」
H「どうもこんにちは。」
T「こんにちは(笑)。もうホント今日は申し訳ないっていう感じで。」
H「いえいえ。」
T「自分が今遅刻モードでね、せっかく常盤君が来てんのにこう話さなきゃいけ
 ないのが申し訳ないって感じなんですが、ちょっとここで一息入れて落ち着い
 てって感じですけども。」
H「はい。」
T「常盤さんは今オリジナルラヴの今度のシングルのジャケットとアルバムのジ
 ャケットをやって頂いてますけれども。」
H「はい、やってますよ。と言う訳で最近よく会ってるんですよね。」
T「そうそう。会ってもの凄い物がたくさんある常盤君の部屋にですね(笑)…」
H「(笑)」
T「しょっちゅう行っていろいろ打ち合わせとかしてますけど。あそこに今住ん
 でるんですよね?」
H「ええ。住んでます。」
T「凄いっすよねー。」
H「もうヒドイ事になってますけどね。」
T「(笑)。あの、イーベイまだずっと毎日来てるって感じですか?」
H「そうですね。何かまだダラダラ来てますね。くだらない物が(笑)。」
T「イーベイっていうのはインターネットのebay.comですけれども。僕も常盤さ
 んに教えてもらって見てますね。」
H「チェックしてますか?」
T「チェックしてます。音楽の機材の方をね。この間ついに自分も落札のボタン
 押してしまいましたけどね。」
H「あーそうですか。」
T「あの、自動落札装置ってあるじゃないですか。」
H「はいはいはい。」
T「あれが押されてたみたいで、押したらすぐにパッ!…あっという間に5万円
 ぐらいバーンと上がっちゃって。辞めた!って思ったね。」
H「あー(笑)機材は難しいかもしれないですね。」
T「機材は難しいっすね。でもあれ多分ずっと見てたら買っちゃうと思う。」
H「あーなるほど(笑)。」
T「つられて(笑)。で、常盤さんはうちの今のオリジナルラヴのディレクター
 さんを介して今回デザインの依頼をしたんですけれども。僕前から人づてには
 しょっちゅう常盤君の話聞いてたんですよ。」
H「あーそうですか。」
T「二見君からとか、あと魂列車とかからとか。」
H「はいはいはい。」
T「いろいろ聞いててですね、作品もいろいろ知ってたんですけれどもね。あの
 まりんのアルバムとか。えーと何だっけ、飛行機が飛ぶヤツ。」
H「はいはいはい。」
T「あれとか。あれの12インチ凄い良かったですね。」
H「あ、ありがとうございます(笑)。」
T「あれとかいろいろ。あと本の装丁もやってたでしょ?やってますよね?」
H「はいはい。」
T「最近ずっと本を?」
H「そうですね。本の方が多いぐらいかもしれないですね。」
T「『インディヴィジュアル・プロジェクション』。あれもやってたりとか。
 あれ読みましたよ。面白かった。」
H「そうですか。結構あんまりないかたちの、中原君とはまた違う感じの、でも
 同世代感があるみたいな。」
T「そうですね。で、いろいろ見てたりしたんですけれどもね。それでライヴ会
 場でたまにちらっと会ったりして。どうもって言ってみたりとかしてましたけ
 れども(笑)。」
H「でもすっごい昔対バンしてるんですよ。」
T「あ!そうでしたっけ?!」
H「すっごい昔。」
T「えー?対バン?!」
H「うん。オリジナルラヴに名前変わったぐらいかもしれません。」
T「あ、そうですか。それ『コンスタンスタワーズ』で?」
H「タワーズで。法政学館ホールで。」
T「マジですか?!…あー!思い出した!法政学館やりましたよ。あん時出たん
 すか?」
H「そうなんですよ。」
T「マージっすか(笑)本当に?」
H「そう。」
T「へえー!」
H「この間チラシ出てきて。あ、そうだ出てるって思って。」
T「あ、そうなんすか。へえー。」
H「どこで対バンした事あんだったっけなーと思ってたんだけど。」
T「あ、そうなんすか(笑)凄いなあ。でも古い!みたいな。」
H「凄い前ですよね。」
T「全然10年なんてもっと昔ですよね。」
H「もっと前ですよね(笑)。」
T「もっと前。あれはねー1988年ぐらいだったのかな?」
H「そんぐらいかもしれないですね。」
T「コンスタンスタワーズ…古い(笑)。」
H「古い話(笑)。」
T「でも俺しかしそれからバンド変わってない!みたいな。俺だけ。」
H「(笑)」
T「でもあれですよね、もう常盤さん早熟ですよね?だってずっと東京いたんで
 しょ?」
H「いや、まあ育ってんのは川崎なんですけどね。」
T「へえー。僕は生まれたのは東京なんですけど、いろいろ神戸行ったりとか横
 浜行ったりとか福島県の方に行ったりとか、高校の時は福島県に行ったりし
 てたんですけど、その17とか18ぐらいからやってましたでしょ?いろいろ。」
H「やってましたね。」
T「あのーコンスタンスタワーズの前が第一京浜…」
H「あ、京浜兄弟社っていうかまあ。」
T「全然第一京浜じゃない(笑)。」
H「(笑)。コンスタンスタワーズ自体、僕が入ったっていうか、結成したのが
 84年だったんで、17、8ん時ですよね。」
T「84年!はあー。そうだ18だ、17だ。へえーなるほど。まだパンク・ニューウ
 エーブ、リアルタイムですよ。」
H「リアルタイムですね。」
T「ギリギリ。」
H「ギリギリ。」
T「そうそうそう。僕が19ぐらいで終わった感があったから。」
H「あーー。」
T「17、18はまだね、全然。」
H「そうですね。」
T「ゼルダとかいたりとかさ。そういう感じでしょ?(笑)」
H「ホントに。そんな時期ですよね。インディーな時代ですよね。」
T「インディーな時代。そうそうそう。ナゴムとか。ナゴムだったんですよね?」
H「だからナゴムからは別に出してないんですけど、要するにナゴム自体は何か
 『有頂天』のケラと、あとコンスのリーダーだった岸野雄一、寿博士という人
 が『ヒゲの未亡人』の人が一緒に始めた…あと加藤賢崇と一緒に始めたレー
 ベルだったんで。」
T「はいはいはい。」
H「だから僕デザインやったのは一番最初ナゴムのアーティストのソノシート。
 最初のデザインは。」
T「あ、そうなんですか。え?何のヤツですか?」
H「クララサーカスっていう(笑)。」
T「クララサーカスあった!(笑)懐かしい!え?マージっすか?」
H「そうなんですよ。」
T「へえー。あの何かさ、オルガンをやってるバンドだよね。」
H「そう。オルガンとバイオリンとみたいな感じですね。」
T「そうそう。オルガンがさー、何か変な音階のオルガン。」
H「あ、それはね、多分『シジーズ』っていうバンド。」
T「あ、それはシジーズか(笑)…凄い古い話ですけど。」
H「ラジオであんまり出ないバンド名が出ているという(笑)。」
T「そうそう。でもね、僕クララサーカスとは対バンしましたね。」
H「やってましたよね。」
T「あの頃対バンっていうと『YBO2』(イボイボ)とかさ(笑)。」
H「YBO2とかね(笑)。」
T「知らないか(笑)。何か凄いマイナーな話してるな。でもあの今の若者が言
 ってるパンクとはまた全然解釈の違う…」
H「そうですね。」
T「もっと痛々しいパンクっていうかね。」
H「うん。パンクの解釈がいっぱいあったじゃないですか。PILが出てきたりとか
 して、PILになってからやっぱりちょっと考え方とか変わるじゃないですか。」
T「変わった変わった。衝撃的でしたねPILは。」
H「アヴァンギャルドっていうのがパンク的行為だったじゃないですか。」
T「もう思いっきりパンク的な行為でしたね。もうねアヴァンギャルドは。」
H「だからアヴァンジャズの方もパンクとして聴いてましたよ。」
T「聴いてました。マジで聴いてましたね。」
H「今日はねちょっとそういう感じの選曲ではあるんですよ。」
T「あ、ホントに?」
H「ええ。」
T「なるほど。それでもう話掘り返すといろいろありすぎて1時間じゃ収まらない
 感じがしますけども。」
H「(笑)」

***
T「じゃ今日はえーと最初に『MAGMA』ですか?」
H「MAGMAです。MAGMAかけるっていうのもどうかと思うんですけども。」
T「(笑)。もの凄いMAGMAですけれども。」
H「フランスのハードプログレバンドとして著名な。」
T「そうですね。MAGMAってこれだけど時代的にはいつなんですかね?」
H「70年代なんですけど、僕も全然あんまりその音楽的な事はよくわかってない
 んですけども。」
T「MAGMAをかけるっていう行為が凄いいいですよ。」
H「あー(笑)。」
T「この番組で(笑)。」
H「70年代半ばぐらいでしょうねこれ。70年代半ばから後半にかけてだと思うん
 ですけど。」
T「はい。じゃあこれ行きましょう。曲ね。」
T「アルバムタイトルでもある曲なんですけれども、MAGMAの『UDU WUDU』という
 曲ですね。」

M-03.ウデューウデュー/マグマ

T「これあんまりMAGMAっぽくないっていうか。」
H「MAGMAっぽくないですね。」
T「このラテンフレーバーがブラジリっぽいねちょっと…ブラジリだって(笑)」
H「(笑)」
T「ブラジルっぽい曲でしたけども(笑)。今日は常盤響さんとお送りしており
 ます。」

***
T「あのー常盤響さんちのレコードはもうホント凄いですね。」
H「いやーでも何か芯が無いっていうか。」
T「(笑)芯が無い。なるほど。」
H「全ジャンルちょっとずつあるっていう。」
T「あーなるほど。」
H「俺はこれだーっていうのが無いんですよ。」
T「あーなるほどね。そうかなあ。まあ確かに。」
H「レコードコレクターズ向けじゃないっていう。」
T「あーそうだね。レコードコレクターズというよりも何かこう…何なんだろ
 うな〜。」
H「えっとね、中古盤屋の不良在庫っていう感じの(笑)。」
T「(笑)。北島三郎とか飾ってありますけどね。あの『盃』ってアルバム最高
 ですねあれ。いちいちでもねえこうあの何て言うのかなぁ…デザインなりな
 んなりが最高なアルバムだらけなんですけれども。」
H「はいはい。」
T「常盤さんち行くとこういろんなアイデアがいろいろ浮かんできちゃうような
 ね。」
H「打ち合わせしてるんだけどいつの間にかヨタ話になってしまうっていう。」
T「そうそうそう(笑)。これ何すか?とかね。レコードだけじゃなくてもうい
 ろんな何かさ、本から、全部が凄いじゃないですか。」
H「全部ろくでもないとも言う(笑)。」
T「(笑)。そうだね、確かにろくでもないといっちゃろくでもないのかもしれ
 ないけど。でもパワーはあるなみたいなね。」
H「あーそういうのは好きですね。モンドっちゅーか。元祖モンド系としてね。」
T「そうですね。元祖モンドですよね本当に。あのーあれはでも凄いホント。博
 物館みたいなね。」
H「あー。」
T「アシッドミュージアム的な。」
H「アシッドミュージアム(笑)。」
T「ちょっと伊豆的っていうか。」
H「あー(笑)。」
T「伊豆感あるかもね(笑)。」
H「なるほどね(笑)。」
T「(笑)。常盤さんち行ったらこれかけたいなって曲がうなる程たくさんあっ
 たんですけど、今日は割と真面目な選曲ですね。」
H「意外と真面目かもしれないですね。逆に昔バンド始める頃とかによく聴いて
 いたものなんですよね全部。」
T「あ、そうですか。コンスタンスタワーズ。」
H「ええ。高校生ぐらいの時になんかそういう。」
T「もう高校生の時からこんなの聴いてたんでしょ?」
H「ええ。」
T「やっぱねーませてる。セックスも酒も凄い早かったと思いますよ。」
H「いえいえいえいえ。そんな事ないです(笑)。」
T「(笑)」
H「まあまあまあまあ。」
T「何を言ってるんのかな俺(笑)。」
H「(笑)」
T「自分のキャラじゃないなこれ。まーいいけど。あのとにかく早いですよね
 何事も。レコード集めたのも早かったんですかね?」
H「そうですね。何かねー昔の大人のイメージって大学生とかのイメージって
 レコードを持ってるとかそういうイメージがあったんですよ。」
T「あーありました。」
H「だからレコードをたくさん持っていればそういうっぽくなれるんじゃないか
 と思って。」
T「なるほど。大人に。」
H「そう。だから中古盤屋とかで何でもいいから買ってましたね。」
T「へえー」
H「安いヤツを。」
T「安いヤツ。でももうこの頃からこんあの買ってたっていうのは、パンクだけ
 じゃなくてその頃からもう相当持ってたんですよね?」
H「そうですね。だからパンクがあってそれからPILとかそういうのを聴いて、
 ROUGHT TRADEの初期とかも聴いて、それでやっぱりパンクっていわゆる激しい
 ロックンロールっていう、ああいうものではなくて考え方がパンクのものって
 いっぱいあるんだなあと。」
T「そうそうそうそう。そういう時代でしたね。」
H「時代ですよねー。DEVOって凄いパンクイメージがあったんですよ。」
T「パンクですねーそうそうそうそう。あの何だっけなあ…PILの『FLOWERS OF
 ROMANCE』と『METAL BOX』と。あれはねー僕も毎日聴いてましたよ。」
H「ええええ。」
T「何回もこの番組で言ってるけれども。それぐらい何ていうのかなあ、あれが
 こうアートとパンクとっていうね。」
H「そうですね。」
T「何かこう修行みたいになったようなね、そういうアルバムでしたけれども。
 しかしそれに飽きたらずこういったいろいろなレコードを。」
H「はい。」
T「中古盤屋ってあの当時あんまりなかったでしょ?」
H「そうですね。最初だからホントハンターとかディスクユニオンみたいな。」
T「そうですよね。だからいわゆる中古屋も趣味でプログレばっかりとか、そう
 いう音楽的な中古レコード屋ってよりも、ハンターとかさ。」
H「そうそう。で、何かね高校生ぐらいになるとやっぱりいろいろ知るのと、や
 っぱりWAVE六本木ができて。」
T「あー!WAVE六本木。あれがね。」
H「もうニューウエーブっていうか、ヨーロピアンアヴァンジャズみたいなもん
 がわっとと入ってきて。」
T「そうですね。今思うと信じられないようなセレクトでしたねあのWAVE六本木
 が。」
H「ええ。」
T「あれが終わっちゃったっていうのは何か凄く悲しいですけども。」
H「そうですね。」
T「だってそうこの間さ、だから常盤君の所で話したPYROLATORのカセットの楽器。
 あれが置いてあったんでしょ?」
H「あれが売ってたんですよ。」
T「もうそれ信じられないですけどね。」
H「何十万もして…欲しいー!なんて思ったんですけどね。」
T「何十万なんだ。」
H「ええ。」
T「へえー。」
H「まあ楽器っていうかアート作品を売るみたいな店があって、現代音楽のコー
 ナーの脇に立花ハジメさんが作ったオブジェ楽器みたいなものも一緒に売って
 たんですよね。」
T「あー、へえー、なるほどねー。」
H「面白かったですよねー。」
T「面白かったですね。うーん。PYROLATORっていうのはドイツのATA TAKレーベ
 ルっていう。」
H「ATA TAKレーベル。」
T「ATA TAKレーベル始めたのPYROLATORなの?」
H「そうですね。PYROLATORが主催者の一人ですよね。」
T「ですよね。ATA TAK、芸術、ART ATTACKですね。」
H「ART ATTACKですね。」
T「ART ATTACK、まさに。だからそれのアーティストなんですけども。カセット
 ウォークマンを10個ぐらい繋げてある。」
H「そう繋げてあって、あとミキサーが繋がってんですよね。」
T「そう。それをね、ウォークマンのOM/OFFスイッチっていうのがあるんですよ
 ね。」
H「ええええ。」
T「で、カセットがたくさん入っていて、そのいろんなカセットを入れて、今で
 いうサンプラーだったら簡単に出来ちゃう事なんですけど、そのスイッチを
 ON/OFFして曲を作っていく。」
H「コラージュしていくっていうね。」
T「そう。アルバムが1枚あって。素晴らしいんですけど。」
H「素晴らしいですよね。」
T「その楽器作った時点でアートになっちゃってるんだけど、また曲自体も面白
 いしね。」
H「曲は結構ヒップなんですよね。」
T「ヒップですね。」

***
T「そう、次の曲ね。」
H「はい。次の曲はTHE MUFFINSのですね『ANGLE DANCE』という曲なんですけど。」
T「はい。『THE MUFFINS』ってのは…まあいいや、曲聴いてから。」

M-04.アングルダンス/ザ・マフィンズ

T「ヤーバイこれ!もう大ショック今俺。」
H「好きそうかなあと思って。」
T「好きそうすぎ!(笑)。ナーニこれ!今聴きながら常盤さんに聞いてたんで
 すけど、FRED FRITH。」
H「そう、FRED FRITHのRESIDENTSのやってるRALPH RECORDSから出しているアル
 バムとかでバックをやったりとかして、L.A.F.M.S.(LOS ANGELS FREE MUSIC
  SOCIETY)のメンバーでもあって。」
T「あーそうなんですか。」
H「だから、FRED FRITHとかBILL LASWELがやってるようなフリージャズロック
 みたいな?その辺とかの周辺にいた連中。」
T「あ、そうなんだ。へえー。」
H「81年の。」
T「年代的にも丁度だもんね。」
H「そうですね。」
T「なーんだよ。知らなかったよ。教えてよ早く。みたいな感じなんですけれど
 も。」
H「(笑)」
T「これ売ってますかね?レコード屋で。」
H「アルバム自体はほとんど自主制作っていうかローカルレーベルだったんで
 凄いレアだったんですけど、何年か前にCDが出てますんで。」
T「あ、そうなんですか。」
H「これにボーナスが入ったCDが出てます。」
T「これ絶対買いだな。ヤ〜バイちょっとねー衝撃が走ったんすけど今(笑)。
 ナーニこれ!こんな音楽あったんだと思って(笑)。へえー。」
H「結構バンド始めた頃とかっていうのはこういうのとかを聴いてましたね。」
T「こういうのを聴いてた?!凄い情報量だなあ。いいなあ。僕なんかね、PIL
 とかJOY DIVISIONとかそんだけしかまだ聴いてなかったもんなあ。」
H「あーでもその辺があったからこういうの聴けるようになったっていう所ある
 んですよね。」
T「あーなるほど。あとLOUGE LIZARDSの1STとか、いいとこそれぐらいだったん
 だけど。これかっこいいなあ。これ大好きですね。」
H「大好きですか。良かった良かった(笑)。」
T「良かった良かったっていうか(笑)。」

***
T「って感じなんですけど、あと2曲あるからね。で、これは…何ですか?」
H「はい、次はですね、ELTRON FOU LELOUBLANというバンドなんですがフランス
 の。まず聴いてみます?」
T「あ、聴きましょう。はい。」
H「ELTRON FOU LELOUBLANで、えーとね、フランス語がよく読めないんですけど
 『PHARE PLAFOND』っていう。」

M-05.フェア・フラフォンド/エトロン・フー・ルーブラン

T「ヤ〜バイ!カッコイイ!もう〜…ナーニこれ…」
H「ELTRON FOU LELOUBLANは70年代頭ぐらいから活動しているバンドで、最初は
 アコースティックっぽいヤツだったんですけども、これは80年代のアルバムで
 結構...」
T「うーん。」
H「元々何か左翼なんですよ。」
T「あーなるほど。」
H「で、凄くアジテーションをしていて政治活動をしているんですよね。」
T「そういう人達多かったよね。マジで左翼みたいな人達ね。」
H「フランスは芸術家が左翼っぽい人達が多くて。」
T「なるほど。」
H「しかもさっきのTHE MUFFINSとかもちょっと関連もあるというか。」
T「あ、そうなんだ。」
H「RECOMMENDEDレーベル系といいか、ROCK IN OPPOSITIONという集団があったん
 ですよ。反ロック主義というか。」
T「なるほど。」
H「だからFRED FRITHとかがいたHENRY COWとかROBERT WYATTとかも筆頭とする、
 そういう流れのある…」
T「反ロックね。」
H「反ロック。」
T「いやーいいなあ。カッコイイ(笑)。」
H「(笑)」
T「このアー写っていうか、アー写っていわないのかこれ…このジャケの裏のね、
 メンバーの写真があるんですが、何ともいいムード出してますよね。」
H「でも主義者っぽいですよねちょっと。」
T「主義者っぽい。この女性、ヴォーカルの女の子がかなり主義者っぽいですね。」
H「そうですね。」
T「まわりにいる男の人達はちょっと情けないですけどね。」
H「ええ。」
T「このサックス持ってる人は結構笑えるんですけれども。」
H「笑えますね(笑)。」
T「(笑)。いや〜でもいいな〜このジャケの赤い感じとかね。こういうジャケ
 だったらなあ。何でこういうデザインになっちゃうのかなあみたいなさ。」
H「そうですね。」
T「こういうの多かったよね。」
H「多かったですよね。」
T「こういう感じのテイストのさ。」
H「結構シンプルなんだけど、アルバムサイズだといいんだけどCDになっちゃう
 とちょっと弱い。」
T「弱いなこれは。」
H「デザインっぽくなっちゃって弱いんですよ。」
T「そうですねきっと。アルバムの大きさとしていいよねこれは。」
H「赤い面積が多かったりするとまた。」
T「そうそうそうそう。」
H「いいっていう。」
T「そう。っていう感じですけれども。何か今日はまた盛り上がって、遅刻して
 そのテンションで盛り上がっていっちゃったみたいな(笑)何か訳わかんない
 事になってきましたけれども。」

***
T「あーこれアレでしょ?今もうジャケット見えて。この間常盤さんちで僕はも
 うねぇまたもやショックを受けたレコード。何で俺こういう音楽知らなかった
 んだろうと思ったアルバムが今ここにあってですね。」
H「はい。」
T「これが、ZNR。」
H「ZNR。これもフランスのバンドですけどね。」
T「これフランスなんですか?」
H「フランスですね。」
T「へえー。フランス人やっぱヤバイね。」
H「ヤバイですね。でも今日かけるヤツ3曲フランスもんなんですけど。」
T「なるほどなるほど。」
H「全然フレンチな感じじゃないですよねいわゆる。」
T「そうだね(笑)。」
H「カフェでかからなさそうな(笑)。」
T「全然かかんない(笑)本当に。今フランスどうなっちゃっただろうなぁだけ
 ど。今こういう人達どこにいるんだろうなぁ。」
H「フランス行ってレコード屋さん行ってもこういうレコードって逆に無いです
 よね。」
T「無いですね〜。割とフレンチモノっていうか、いわゆるフレンチテイストの
 モノって結構多いじゃない。」
H「ちゃんとレア盤としてあったりするか、あとは欧米の有名ロックですよね。」
T「そうですね。そうそうそう。僕そうだよ、何年か前にモンドの小柳さんと行
 ったんだけど、それで散々中古レコ屋まわってさ、やっぱりフレンチモノでし
 たよね。」
H「そうなんですよね。」
T「こういうのはあんまり無かったよなぁ。」
H「この変のフレンチのアヴァンっていうか、世界的なアヴァンギャルドニュー
 ウエーブの中心が結構パリだったんですけどね。」
T「あーそうなんすか、へえー。これだけど一番いい感じの部分じゃない?こう
 いうのさ(笑)。」
H「そうですね。でも相変わらずやってるみたいですよ。友達が今このETRON FOU
  LELOUBLANのヤツと一緒にパリと日本を往復しながら作ったりとかしてるんで」
T「あ、そうなんすか。へえー。」
H「ええ。」
T「そんな友達いるんすか?」
H「エキスポっていうバンドやってた…」
T「あ!エキスポ。なるほどなるほど。そうか〜みたいな感じですけれども。こ
 のZNR、これもねぇ、何ていうのかな、もうおいしすぎるっていうかね。」
H「これはHECTOR ZAZOUっていう人とJOSEPH RACEILEという人の2人組のユニット
 で、両方とも鍵盤なんですけど、いわゆる生鍵盤もしくは管楽器と、あとHECTOR
 ZAZOUがシンセサイザー。」
T「あー。もうなんかね〜おいしい部分だけあるみたいなアルバムですねこれ。」
H「そうですね。現代音楽っぽいんだけどフリーっぽいとこと。」
T「そう。現代音楽っぽいところとフリーっぽいとこと...まあジャズも勿論知っ
 てるみたいな。ジャズって言ってもやぱりおいしい時期のね。」
H「そうですね。で、あんまりシリアスじゃないんですよね。ユニークっていう
 か、ちょっとコメディの商品みたいな感じの。」
T「そうそうそう。そうですね。で、ロックっぽいところも勿論あるみたいな。」
H「そうなんですよね。何か変な繋がりがあって、ジャケットのイラストとか描い
 いてるのがBEEFHEARTの奥さんとかね。」
T「あ!そうなんですか。そうだよね言ってたよねこの間。何でBEEFHEARTとパリ
 でアレで行き来してるんだろう。」
H「何かやっぱりだから当然BEEFHEARTとかZAPPAみたいな存在っていうのは大き
 かったんだと思うんですよねー。」
T「なるほどねー。」
H「BEEFHEARTなんかアート寄りの人になっていったから。」
T「めちゃめちゃアート寄りですよね。」
H「そういう繋がりがあったんじゃないかと思うんですけどね。」
T「なるほどなー。BEEFHEARTの奥さんっていうのがまたね、奥さんも変な人だっ
 たのかなぁ。」
H「じゃないすかねぇ。」
T「(笑)。という感じですけれども。ではこのZNR。」
H「ZNRの1STアルバムから『LE GRANDE COMPOSITEUR VU DE DOS』」

M-06.ルグラン・コンポジター・ヴ・ドゥ・ドス/ゼットエヌアール

<エンディング>
T「はい。お送りしてきましたオリジナルラヴプレゼンツバースト!もうこれ聴
 きました?ZNR。これぞアートみたいな曲(笑)。」
H「(笑)」
T「いちいち凄いな〜みたいな。このサックスソロといい、もう1回繰り返しちゃ
 う感じ。」
H「そうですね。」
T「フラッシュバックする感じがいいね。ナーニこれこの人!みたいな。この1曲
 を抽出するにはホント残念なアルバムなんですけれどもね。」
H「そうですねー。」
T「全体を体験して聴いて頂かないとね。」
H「(笑)」
T「体験っていうかね、そんな大袈裟なもんじゃないかもしれないけど、でも全
 体がもうね、何か何ともいえない最高の流れになっているんですけれどもね。
 何で知らなかったんだろうって思ったしさ(笑)。」
H「(笑)」
T「いやーいろいろまだね、常盤さんちにそういういい感じのレコードがたくさ
 ん唸る程あるんだなぁと思って、また家に行きたい感じがするんですけど。」
H「是非是非。」
T「是非是非。という事で来週も常盤さんと一緒にやるんですけど。」
H「はい。」
T「この番組に来て頂いていろいろお送りして行きたいと思っておりますんで、
 よろしくお願いします。」
H「お願いします。」
T「今日のゲストは常盤響氏でありました。ありがとうございました。」
H「ありがとうございます(笑)。」
T「ありがとうございました(笑)。それではまた来週。オリジナルラヴの田島
 でした。良いお年を!」
H「良いお年を!」


 


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki