ORIGINAL LOVE presents 《BURST!》

第143回 (2001年12月20日放送)


<オープニング>
T「今週も引き続きパードン木村さんをお迎えして『アナザーサイドオブパード
 ン』という特集をやろう…と思った訳なんですが、『ジョージハリスン特集』
 を今日はやりたいと思います。パードン木村 meets ジョージハリスン。」


M-01.夜行性/オリジナルラヴ

 先週も言った通り、この曲の作詞をしてるのが松本隆さんでありましてですね。
遂に実現したこの組み合わせがという感じですけども。前から松本隆さんに詞を
書いてもらおうというアイデアは、もう随分、7〜8年ぐらい前からあったんです
けどねオリジナルラヴで。でもなかなかこっちが追っつかないというか、僕の方
がついていかないとなかなかしっくり来ないんじゃないかっていう事もあったし。
まあいろいろありましてですね、遂に今回実現しましてこの「夜行性」という曲。
この歌詞はとてもはっぴいえんど的だと思う訳なんですけども。いい感じの詞が
出来上がってきて僕個人的には非常に嬉しい仕事だったなと思う訳なんですけど。

 で、これのカップリングの曲が「アダルト・オンリー」という曲。これは僕が
作詞をしました。これはですね、何と言ったらいいのかな〜…まあ「アダルト・
オンリー」ってタイトルは、だからこそ大人だけに聴いて欲しいって事では全然
ありませんで、アダルトオンリーって言うからこそ非常に少年的でありまして。
「大人だけ」「アダルトオンリーだ」「18禁」という響きっていうのは、18才に
なる前までが一番敏感に反応する訳でありましてですね。ね、アダルトオンリー
18禁って言うと、思わずこうティーンエイジャー、もっとだな、中学生とかぐら
い特有のこの…何て言うんですか?あの〜…今どうなんすかね?僕ら世代ん時は
は親に隠れて「11PM」だとか、ああいうのを見るのが結構何ともいえない人生の
喜びと言いましょうか、この(笑)ときめきと言いましょうか。そういう物があ
った訳なんですけど。今はこうインターネットでね、思いっきりエックス・エッ
クス・エックスレイテッド画像がガーンとある訳でありまして、動画まであった
りしてね。そういう物が結構麻痺してるのかな?という気もしますけど。だから
まあこの曲は「アダルト・オンリー」ってタイトルですけども、僕個人的には、
だからこそこのメロコア全盛の時代にね(笑)こういうメロディーを聴いて欲し
いなと思って書いた曲でありますけどもね。いろいろガタガタ言ってますけど、
すいません。って謝ったりして。という事で、それではオリジナルラヴのニュー
シングル「アダルト・オンリー」を聴いて下さい。

M-02.アダルト・オンリー/オリジナルラヴ

<談話室バースト!>
ゲスト:パードン木村(以下P)

T「今日のお客様は先週に引き続きパードン木村さんが来ております。どうも。」
P「どうも(笑)。」
T「いやいや。とか言いつつずーっと居た訳なんですけどもさっきから(笑)。」
P「(笑)」
T「あのー今日は『ジョージ・ハリスン特集』をやりますけれども。」
P「ええ。大変な事ですね。」
T「(笑)。ちょっと笑っちゃいけないよな。でも本当はね、パードンさんの持
 って来たレコードを聴いていろいろ特集しようと思ったんですけども。アナロ
 グがこのスタジオかけられないという事で。」
P「でもまあ、僕が考えてたものとかぶってますんで大丈夫です。」
T「あ、そうですか、かぶってます?」
P「はい。気持ちは。」
T「気持ちは。ね。」
P「はい。」
T「なるほど。で、今日木村さんが持って来たレコードの中には、矢野顕子さん
 があったりとか、いろいろアナザーサイドが垣間見れたという事なんですけど
 も。まあ急遽メニューを変更しまして、ジョージ・ハリスン。この間亡くなっ
 たという事でね、ジョージ・ハリスン特集を今日はして行きたいと思います。
 あのー木村さんはビートルズとかはお好きなんですか?」
P「もう凄い好きです。はい。」
T「あ、そうですか。ブリティッシュロックとか最初に好きだったという?」
P「そうですねやっぱりイギリスの物が。特に中学生ぐらいん時はやっぱりビー
 トルズとか、あとまあレッド・ツェッペリンですかね。」
T「レッド・ツェッペリン。ふ〜ん。」
P「まあ、あと、ジェフ・ベックですね。何と言っても。」
T「ジェフ・ベック!なるほど。あの『ワイアード』とか?」
P「ええ、そうですねー。」
T「『ベック』じゃなく。『ジェフ・ベック』の方ね。」
P「ジェフ・ベックですね。はい。」
T「なるほどね。って言うと、ヤードバーズとか?」
P「うん、そうですね。あとはまあ第一期ロッド・スチュワートがいた時期の…」
T「フェイセズ?」
P「あの、第一期ジェフベックグループっていうか。」
T「あーそーかそーか。なるほど。ジェフベックグループの。へえー、あんなの
 を聴いてたんですね?」
P「そうですね。中学2年の時にFM放送で当時ちょうど『ブロウ・バイ・ブロウ』
 が出た頃で。それが衝撃的でした。」
T「あー。」
P「何だこれは!っていう。」
T「へえー(笑)。え?ちなみにおいくつなんですか?」
P「37になりました。」
T「あーそうなんすか。あ、じゃあ僕よりも先輩でありますね。」
P「体あちこち具合悪い(笑)。大変ですけど。」
T「なるほど(笑)。ビートルズはもう中学生の時からずっと聴いてて?」
P「そうですね中学生ん時に。当時『レット・イット・ビー』の映画とかやった
 の見に行ったりしましたよ。」
T「フィルムコンサートっていうのがあって。」
P「ええ。ありましたね。」
T「ありました。それ見に行ってる人多かったですね。僕の友達にもビートルズ
 のファンクラブ入ってる人とかいて、ビートルズフィルムコンサートとかよく
 行ってました。」
P「ありましたね。」
T「ウッドストックとビートルズのフィルムコンサートと。みたいな。」
P「テレビで見れるっていう時代じゃなかったですからね。」
T「そうそう、そうでしたね。で、ジョージ・ハリスンが亡くなった訳なんです
 けど、取り敢えずじゃあ、ジョージ・ハリスンの曲をここで1曲聴いてみたい
 と思います。『Something』ですね。はい。」

M-03.サムシング/ジョージハリスン

T「これはいい曲ですね。」
P「素晴らしいですね。」
T「(笑)。この曲ね、僕ピアノでコピーして歌いながら弾いた事あるんですけ
 ど、ピアノでまた1人で弾くとね、これ入っちゃう曲なんですよね!」
P「ふ〜ん。ピアノで。」
T「うん。普通にこうアレンジを全部取っ払った上で、コードと歌だけででもね、
 もの凄いいい曲なんですよね〜この曲って。」
P「うん。」
T「まあ、ビートルズを過大評価するのは僕はとても…ミュージシャンにとって
 危険だしさ、何か嫌な感じがするし…なんだけども、でもね、やっぱいいモン
 はいいっていうか。」
P「そうですね。」
T「うん。特にこのメロディーと歌とっていう事を考えていくと、やっぱりどう
 してもそこん所に…僕なんか特に歌っていうのは自分が音楽やる上で凄いやっ
 ぱり重要な所になるから。外せない所だから。」
P「ええ。」
T「やっぱりここに立ち戻っちゃうところがあってね。『言葉と歌と』っていう。
 その完成度っていうとね、ビートルズがやっぱり1番だな〜と思って。」
P「うん。」
T「この間テロがあって。ジョン・レノンの『イマジン』とかさ、ああいった曲
 が…テロとかこの間戦争が起こって、アフガニスタンとかでいろいろあって、
 ジョン・レノンの曲がいろいろ『放送禁止だ』『いややっぱり平和活動の一環
 だ』っていう事でまたかかったりとかしてますけども。」
P「うん。」
T「いろんなミュージシャンが、何かさ、『今反戦について歌わなきゃいけない
 んじゃないか』とか、どーのこーのとかって言ってますけどね。あの…いいで
 すか?いろいろ僕喋っちゃって?(笑)」
P「ええ(笑)。」
T「(笑)。ジョン・レノンの『イマジン』であるとか、ああいった曲っていう
 のは、普通の人が作ろうとしちゃダメだなと、僕なんかは思うんですよ。」
P「うん。」
T「あれはね、ポップスのプロ中のプロが作った曲なんですよね。ジョンの『イ
 マジン』とか、あとああいった反戦を唱えたようなメッセージソングっていう
 のは。」
P「うん。」
T「もの凄い異常に良く出来た曲で。あれは過去にラブソングのヒット曲を50曲
 ぐらい書いてる人、がね?(笑)作る曲なんですよ。」
P「うん。」
T「それぐらいテクニックとして言葉とメロディーとの完成度が高くて。だから
 ね、普通の人は書けないね!と思ってて。」
P「うん。」
T「僕なんかそう思っちゃうの。だからね例えば、軽はずみにこの反戦だ何だか
 んだっていう曲を作るのはなかなか難しいぞと。このね、最近僕言いたいんだ
 けど(笑)。」
P「うん。いやでもそれは凄くいい話だな〜と思います。」
T「うん。本当にあの『イマジン』は凄い奇跡みたいな曲でね。多分あの同じ頃
 に、ジョンの『ラヴ』っていう曲がありますけど、あれの言葉とかも『Love
 is feeling Feeling love…」とかってさ、俳句みたいな歌詞なんだけど。あ
 あいう風な言葉とメロディーのセンスがある人が書ける曲なんだな〜っていう
 かね。」
P「うん。」
T「っていう気がしててね。だからなかなか相当こう普段から…アフガニスタン
 がこういう風になったからとか、テロが起こったからじゃあそういう曲書こう
 っつってもね、そっから始めるのはなかなか難しいっていうか。普段からずー
 っとそういう事を綿々と考えて曲を作ってる人じゃないと書けない曲なのかな
 ーなんて気がする訳なんですけどもね。で、そういう意味でも何かね、やっぱ
 りジョン・レノンとかビートルズ関係の人達ってやっぱり凄いなーとか思った
 りしちゃうんですけど。あんまり凄い凄いとか思うのは悔しいんですけどね
 (笑)。」
P「うん(笑)。田島さんのそういう姿勢っていうのは何か凄く素敵だなあと思
 います。」
T「いやいやそんな。僕は何か思ってて。ジョンの平和運動っていうのはなかな
 かこうやっぱり真似が出来ないっていうか。で、今いろいろなミュージシャン
 がロックだ何だかんだっていうのがこういった『戦争だ』『反戦だ』って事を、
 どういう言葉にしたらいいのかって最近雑誌で出て来てさ。それでどれも何か
 弱いなあっていうか。うん。」
P「うん。」
T「でもポールのあのチャリティーコンサートだとね、説得力があるんですよ。」
P「うん。」
T「で(笑)、あんだけでかいライヴをパーッと出来ちゃって。お金もバーッと
 一挙に集まると思うんですよね。」
P「うん。」
T「で、そのお金を消防士の人達とか被害に遭った方にカーンとそっくりあげち
 ゃう。あれぐらい力がある音楽がやっぱり人を助ける事が出来るななーとかね。
 いろいろ何かね、ここん所考える事が多いですね。…(笑)何かあのいろんな
 こういう事件が起こると…とかね、思っちゃうんですけど。」
P「うん。」
T「まあでも、こういう時こそ音楽屋は音楽やってればいいっていうかね。」
P「そうですね。」
T「そういう事思いますね。ホント。」
P「ええ。」
T「では『Here Comes The Sun』を聴きます。」

M-04.ヒア・カムズ・ザ・サン/ジョージハリスン

T「はい。今日はパードン木村さんをお迎えして、ビートルズ、ジョージ・ハリ
 スンを聴いて行くという感じの(笑)何とも不思議な企画になってますけど。」
P「はい。」
T「こういういろんなこの社会の現象に対して『メッセージソング』と言われる
 ようなタイプの曲っていうのは、日本人の曲でもいろいろあるし、勿論洋楽で
 もいろいろある訳なんですけども。でも聴いていて辛くない曲ってのあんまり
 無くてね。」
P「うん。」
T「特に最近のヒップホップの若い奴等とか割とそういったいろんな身の回りの
 問題とか、言いたい!言いたい!みたいな感じの歌詞が徐々に増えてきつつあ
 るんですけど。でも結構辛い物が多かったりして。聴いてて(笑)。」
P「そうですね(笑)。『お前に言われなくてもそんな事わかってる!』」
T「そうそう(笑)そうなんですよね。ただこれはね、僕この間英語の先生に聞
 いたんですけど、英語もそうなんですって。だから英語でも全く同じように聞
 こえると。例えばそういった説教クサイ曲ってやっぱりちょっと説得力の無い
 アーティストがそういう事歌ってるとかなり厳しいと。」
P「うん。」
T「例えばスティングとかピーター・ガブリエルみたいなアーティストの曲。ま
 あU2とかもそうでしょうけど。ああいったアーティストの曲はもうもの凄い
 政治的だったりとかさ、森林伐採するなとかアフリカのナントカカントカ…
 あーしなき?けないとかそういった事歌ってる訳なんですけど。それは何か
 そういう風には聞こえないらしいですね。すんなりこう普通に聞こえると。た
 だね、マイケル・ジャクソンの新譜で子供達を守るんだ何だかんだいろいろや
 っぱ説教じみた事を歌ってる曲があって。で、まあその人の好みなのかもしれ
 ないですけども、その曲はダサイとか言ってました(笑)。」
P「(笑)」
T「何か凄い説教クサク聞こえるんだってその曲は。だから何か日本語でも英語
 でも、やっぱそういった部分は一緒なんだなっていうか。やっぱりスティング
 なりピーター・ガブリエルっていうのは一応やっぱりインテリなんだろうなっ
 て気がしますよね。で、それを歌詞にして活動に出来る許容量があるっていう
 かああいったアーティストっていうのは。U2のボノなんかも1年の半分以上は
 いろんな、アフリカの大臣に会ったりとかしてるらしいですしね。」
P「うん。何かそういう、やる事に対して本当に愛情なり本気っていうんですか
 ね?」
T「本気本気。」
P「そういうのが無くて作為が見えたりすると…」
T「うん。」
P「例えば凄い間違った事やってるヤツでも本気でそれに対して愛情持ってるヤ
 ツだと何かちょっと文句言いづらいっていうのあったりするぐらいですから
 ね。」
T「うんうん。だからもうそれだったらいっそのことマイケルジャクソンはラヴ
 ソング歌ってればいいみたいなさ。」
P「うん。」
T「って事だと思うしね。だからこういう時期だからこそいろいろ音楽のやり方
 って今気を付けなきゃいけない時期なのかなっていうか。そういう気もしてる
 訳なんですけどね。」

***
T「取り敢えずジョージ・ハリスンの曲を行きたいと思います。『I Me Mine』
 ですね。」

M-05.アイ・ミー・マイン/ジョージハリスン

T「はい、ビートルズの『レット・イット・ビー』から聴いて頂きました。この
 曲は急にメジャー展開する曲ですよね。何か急に。」
P「拍も変わり…」
T「拍も変わり(笑)。ジョージっていうのは、ビートルズの後期ぐらいからや
 っと作曲の実力がついた、もしくはひょっとしたらその前からあったのかもし
 れないですけど、まあジョンとポールに遠慮してたのかもしれないですけど」
P「あと、バッファロードーターの吉永さんと前ジョージの話してたんですけど」
T「うんうん。」
P「ジョージは全くわからないと。」
T「(笑)」
P「女性からは割とわかんないものだったりするみたいですね。」
T「あー。ジョージの良さが。」
P「うん。」
T「なるほどーそうかー女性から。うん。だって吉永さんの方が強そうだもんな。
 ジョージより(笑)。」
P「(笑)」
T「吉永さんって何かこう女子プロレスラーっていうか割と…そこまで言っちゃ
 うとあれだけども…こう鋭角的っていうかね。」
P「うん。」
T「強いモノにグーッと行くっていうかね。」
P「そうですね。それがある意味女らしいのかもしんないですけどね。」
T「なるほどね。負けん気っていうかそういった所…ジョージわかんないんだ。
 そりゃ不幸だな〜。俺なんかこのジョージのこの何って言うのかなあ、ヒョロ
 〜ンとした感じが(笑)。」
P「ある意味では男の世界。」
T「男の世界かもしれないですねー。うん。ビートルズはやっぱね、こういう弱
 い音楽がいいんですよ。この弱さが。」
P「うん。」
T「曲の弱さが。もうジョンなんかもそうですし。」
P「うん。」
T「ジョンの『Love』とかさ。ビートルズ解散した直後のジョンのアルバム2.3枚
 とかって『もの凄い弱ぇ〜』みたいな(笑)。ビーチボーイズもそうですけど
 も。」
P「うん。」
T「ビーチボーイズなんかもそうですね。『ペット・サウンズ』とかああいった
 アルバムっていうのは、女性受けよりも絶対男のアルバムであって。」
P「そうですね。」
T「男の世界じゃないですかあれって実は。裏返したような。あれは女子供にわ
 かってたまるか!みたいなさ(笑)。」
P「(笑)」
T「(笑)ペットサウンズの良さは!みたいな感じがしますけどね。あれは何か、
 男独特の悩みが作り上げた美っていうか。そういう物のような気がするんです
 けど。まあ、ジョージもそういった側面ありますよね。」
P「だからこそ女々しい(笑)。」
T「そうそう。でもこの女々しいっつうか、これは強い女々しさというか、何か
 よくわかんない表現になっちゃうけど。これはやっぱ今ね、音楽的に足んない
 ですよね。あんまりこう演歌みたいに気持ち悪い叙情になっちゃうのは嫌だけ
 れども。あのこう何かちょっとワビサビのきいた音楽っていうのがやっぱり60
 年代まで圧倒的にあった訳でね。」
P「うん。」
T「特に今の若い人達っていうのはそういうのをあんまりやんなくなっちゃった
 な〜みたいなさ。」
P「うん。こういう基準って違うんですかね?」
T「うん。こういう作品的なワビサビ泣きっていうか。アートと泣きみたいなさ。
 そういう物が無いね。」
P「無いですね。そういうのじゃない方が便利なんですかね?もしかしたら。」
T「そうなんだよねー。どう…そういう感性が消えたのか?っていう気がする訳
 なんですけど。」
P「うん。」

***
T「えーと、という事でね。またブーたれたところで(笑)。」
P「(笑)」
T「ジョージの曲で『Only a Northern Song』ね。聴きまーす。」

M-06.オンリー・ア・ノーザン・ソング/ジョージハリスン

T「この曲はかなりハチャメチャなね、やり過ぎちゃった!みたいな感じの曲な
 んですけど(笑)。これはサージェントペパーズと同時期にレコーディング
 されてボツになって。でイエロー・サブマリンという映画のアルバムに入った
 という曲ですけど。今も話してましたけども、ジョージっていうのはヤン冨田
 さんも『ビートルズの中で一番好きなのはジョージだ』と。」
P「言ってます。はい。」
T「僕も何かね、ジョージって何か凄い…このビートルズの4人の中で一番ミュー
 ジシャン側のサイドにいた人っていうか。ジョンとかポールっていうのはもう
 ちょっと大っきな位置で音楽を見てるっていうか。プロデューサーっぽく全体
 を見ながら行ってるって感じなんですけど。ジョージの場合は何か楽器の響き
 が好きだったりとか。」
P「うん。」
T「例えばジョージって急にシンセサイザーだけで作ったアルバムとかね。『エ
 レクトロニック・サウンド』っていうアルバムがありますけど、急にこういう
 アルバムを作りたがっちゃったり、あと急にインドにガーンと行っちゃって、
 シタールを習い始めちゃったりっていう。」
P「ええ。」
T「例えばムーグっていうかこういったオシレーターシンセサイザーに出会うと
 恐らくもの凄い感動したと思うんですよね。」
P「うん。」
T「で(笑)この楽器の音色で1枚作れるとか本気で思ったんだろうなっていう。」
P「本気で思って(笑)訳わからないまま作ってしまって。」
T「そうそう(笑)。シタールっていう楽器に触ったなら恐らくもう相当感動して。
 で『ラヴィ・シャンカールに弟子入りだ』とか言って弟子入りまでしに行っち
 ゃったりとか。まあそういうタイプなんだろうなーって。本当にこのある意味
 でとてもミュージシャンっぽいヤツっていうね。そういう意味で僕なんかも凄
 い親近感がありますねジョージっていうのは。割と自分…あのジョンとポール
 とリンゴとジョージ、この4人いる中では僕個人的には一番自分に近いんじゃ
 ないかっていうか(笑)。個人的にも結構思っちゃったりするんですけど。何
 かポールとか特にジョンなんていうのは、もの凄いもっと全然大きな枠で音楽
 っていうかビートルズの存在を割と捉えてたような気がするんで。」
P「うん。」
T「僕もそういう見方が自分も欲しいな〜とか思うんですが。そういう見方が出
 来ないな〜って(笑)。」
P「(笑)。ここまで暴れん坊にはなれないみたいな。」
T「(笑)そうですよね。やっぱりこうジョンの曲の作り方っていうのは…あの、
 もうせっかくだからね、ビートルズの話いろいろしちゃいたいと思いますけど。
 例えばレコーディングや曲作り自身ももの凄くパフォーマンスアートみたいな
 捉え方してたんじゃないのかな。」
P「うん。」
T「特にビートルズ解散してから何枚目かまでって。あのー時期があって、何か
 そうなのかなって気がしてて。クリスマスソングあるじゃないですか。ジョン
 ・レノンの。」
P「はい。」
T「子供達がいろいろ一緒に歌ったりする曲ありますけど。あれもだから恐らく
 一発録りなのかな。最低限ジョンレノンの歌と子供達のコーラスっていうのは
 一発録りだと思うんですよね。」
P「うん。」
T「1回でダビング無しでやったんじゃないかなって。曲聴いてると思うんですけ
 ど。」
P「うん。」
T「ああいう事も凄いこう、パフォーマンスアートみたいなレコーディングの仕
 方してるっていうか。」
P「うん。」
T「だから最初子供達に黙らしといて…黙らしといてって言い方いいんだよな?
 放送上…まあ静かになってもらっといてね。」
P「うん。」
T「で、ジョンが1人で歌ってる。その間子供達は黙ってる訳ですよ。で、曲の中
 盤から段々徐々にコーラスを入れてもらって。それも多分ね、ジョンが全部指
 示してると思うんですよね。子供達に向かって『こうだよ〜』みたいな。」
P「うん。」
T「で、最後子供達がバーッと盛り上げて大合唱させて。で、最後は皆んなで
 『良かったね!』って拍手で終わるっていうね。だからあれもほとんどその場
 のワンテイクのハプニングっていうかパフォーマンスアートっていうか。そう
 いう形のレコーディングをしたんだなーっていうかね。そういういい曲なんだ
 なーっていう感じがするんですけど。」
P「うん。」
T「何か一貫してこの頃割とそういうベッド・イン関係のレコードとかさ、ある
 じゃないですか。ジョン・レノンの。」
P「はい。極端になってった時期がありますねあの時期。」
T「そうですよね。だからそういう音楽の捉え方してたんだなーという気がする
 んですけど。木村さんは何かジョージとジョンの間みたいな感じですね(笑)」
P「う〜ん(笑)難しいです。」
T「難しいとこだね(笑)。あとリンゴも入ってるしちょっと。木村さん何かボ
 ーッとしたさ、何かさ(笑)。」
P「(笑)。でも実際凄い聴いてるのがポールだったりして。っていうのもある
 んですけど。」
T「あー。そうですか、なるほどね。」
P「ビートルズはやっぱり聴きますね。」
T「聴きますね、うん。あ、聴きますか?やっぱり。」
P「ええ。」
T「どの辺聴きます?結構。」
P「えー…でも全部聴くかな。」
T「全部聴くって感じで。」

<エンディング>
T「今日はパードン木村さんをお迎えしてジョージ・ハリスンの曲を聴くという
 (笑)。」
P「素晴らしい。」
T「素晴らしい(笑)。」
P「忘れかけていた甘酸っぱいモノがこみ上げて来てしまいました(笑)。」
T「あーそうですか(笑)。ね。えー僕の方も最近思う事をいろいろ語ったりも
 しちゃいましたけど。あのーまあワシらはワシらで、えーと(笑)淡々と音楽
 をね、作って。」
P「そうですね。作って。」
T「うん。行きたいなと思った訳でありますけど。という事で、先週と今週に引
 き続き2週に渡ってゲストはパードン木村さんをお迎えしてお送りしました。
 ありがとうございました。」
P「どうもありがとうございました。」
T「また来週。オリジナルラヴの田島貴男でした。バースト!」


 


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki