11/16(土)くもり

私はいつも目覚まし時計のセットを旦那に頼む。
前の夜彼が「6時台の電車に乗るのに5時起きでいいんか?」「なんで?充分でしょ?」
「いや、化粧が1時間で間に合うんかって聞いているんだ」「ふっ...」
そんなやり取りをして静かに寝た。

5時起床。夜は何度も目が覚めて結局眠りは浅いものになってしまった。
目覚まし時計に頼らず5時になるのを待ってベッドから出る。かわいそうに目覚まし時計の立場はなかった。
予定した新幹線に乗れなくてもその後の予定が大幅にずれる事もないのに意外と几帳面なんだな私ってば。
よく学校の遠足の前には興奮して眠れなかったなんて話をよく聞くけど私はあまりそんな事はなくて
落ち着いた、と言うより今思えばイヤな子供だったかもしれない。かわいげがないってーの?

まあ、いい。
あっそうです。今回の旅行記は話があちこち飛びます。だからたぶん長くなると思います。
こうしている私でさえもどれくらい長くなっちゃうのか今のところ想像もつきません。
あった事、思った事、感じた事、それに関連する思い出話などが出てくるかもしれませんので最初に断っておきますね。
でも残しておきたいと思うから指の動くままにです。

6時過ぎに家を出る。途中でサンドイッチとストロー付きのコーヒーを買う。
なんでストロー付きを探したかと言うと電車の中で少しずつ飲むのにいいだろうなと思って。
口紅も取れにくいだろうし?それにプルトップの缶コーヒーはネイルが剥がれちゃうといけないじゃない?

駅に着いて切符を買う。東京往復10,080円(旦那がJR社員なので家族割引で半額なのだ)
旦那が珍しく改札口まで見送ってくれた。改札を出て振り向くと笑っていた。
なんだか後ろ髪を引かれるっていうのはこういう感じなのかななんて思いながらも
ホームに向かって歩き出した時にはもう1人旅の気分になっているんだから女って冷酷よね。
在来線は退屈なのでウォークマンをごそごそ。おはよう綾戸ちゃん、今日も元気な歌声だね。いいよ〜とってもー。

7時台の新幹線に乗る。禁煙車、禁煙車、禁煙車、おいここも禁煙車かよとしばらく歩く。
あった!喫煙OK車。(そんな名前じゃないけどやっと見つけたのであえてそう呼ぶ)
出発まであと3分。出発時刻には定刻通り静かに滑り出す。

朝から寒かったので新幹線に乗ってからもしばらくコートを脱げないでいた。うーさぶい。
まだ新潟なのに気分は横浜。そのギャップが受け入れられない自分がいた訳だね。
朝買ったコーヒーはバカに冷たい。当たり前だよなあ。
ストローを差して一口飲み、寒いので腕組みしながらタバコを探して口にくわえる。
新幹線に乗ったらメールするからねと言っていたところ数カ所に連絡。
それが終わった頃やっと車内が温まって落ち着いてきたのでコートを脱ぐ。ほっ。
ホッとしたらお腹が空いてきたのでサンドイッチを食べ始めるとメールが。

「明日の朝はごはん?それともパン?」祐子からだった。
「今サンドイッチ食べてるけど明日の朝もパンがいいな」と返信。
ご飯がいいなんて言うと朝が大変じゃんね。それに私は農家の嫁のくせにパン好きなんだものー。

そうこうしている内に新幹線はトンネルへ入り携帯の電波は一時中断。仕方なく少し眠る。

9時半東京駅着。横浜駅で祐子と待ち合わせなので東海道線のオレンジ色の線を頼りに進む。
が、その線を途中で見失ってしまった。がーん、なんで?どこに消えやがったあのヤロー?ああどうしよう。
しかしここで動揺してはいけない。だってこれはいつもの事なんだから。
そのうちきっと知らぬ間にたどり着けるはず。自信はないがそんなあやふやな確信だけはいつも持っている。

10時ちょいすぎ、無事東海道線に乗れたので祐子が待つ横浜駅着。
おお〜久しぶり〜 って、夏に逢ったばっかじゃんね。
彼女は相変わらずスリムでブーツカットのジーンズにファーの付いたコートを着ていた。
お尻に小さなバッグを付け機動力抜群。さすがだねえ。
体型は私と似ている。2人で並んで歩いていているとモデル仲間が仕事で移動中みたいな感じっつーの?
よく声を掛けられなかったかと不思議でしたね。
まあ、好きに言わせてよ。
荷物をコインロッカーに入れてもらって私はフェンディの小さいバッグひとつ。

まずは昼間の目的地である横浜ベイサイドマリーナへ行こうと決める。
JR線じゃないかもと言うので横浜駅で改札を出たのにやっぱりJRだったわと言い放ちやがったので再度JRのお世話に。
ベイサイドマリーナには横浜駅からJRで新杉田、そこから金沢シーサイドラインという
モノレールみたいな電車に乗り換えて鳥浜という駅で降りて歩く。けっこう歩く。
そして情けない事にもうこの時点で普段歩き慣れていない私はちょっと休憩しようかと弱音を吐く。
スターバックスがあったのでコーヒーを頼むが今日の私にはちと濃くてヘビーだった。半分残す。

アウトレットショップはまだ人影がまばら。興味のあるお店にひとつひとつ入ってさーっと眺める。
所要時間は1店舗あたり1〜4分くらいだっただろうか。しかしまだひとつも買わないで見て回るだけ。
私は衝動買いはしない質だからさ、物色と言う言葉がぴったりくるような眺め方である。

半分くらい見たらお腹が空いてきたねそうだねって意見が合ったので食べるところを探す。
お寿司はイヤだった。東京のお寿司は食べなくていい。オムライスも美味しそうだった。
だけどなかなか決まらなくて二回りくらいしてイタリアンレストランに決めた。
なぜかと言うと曇っていて少し肌寒かったのでワインが飲みたくなったから。
真鯛のカルパッチョとピザと白ワインを頼む。そしたらお店の人が「今日はなんたらかんたらの赤ワインがお薦めです」と言うので赤ワインが苦手な私は2秒考えて「それにして」と。予想に反してなかなか美味しかった。
お薦めと言われたらそうしてみるのもいいものよね。

昼間からお酒飲むなんてちょっと前まで考えられなかったよ。私も。大人なんだからいいよね、今日は車も運転しないしさ。そうだよねー。
そんなとこではことさら意見がよく合う2人であった。

午後も見て回ってチェックしておいたセーターとバッグと明日のおみやげにスノーマンの何ていうの?壁掛け?
みたいなのを買う。スカートも履いてみたんだけど止めた。
エディーバウワーに人だかり。なんだろうと思ったらセールで値札から全品半額だと。
今回のアウトレットツアーではホントは一番欲しかったのは紺色のピーコートだったんだよね。
そこにあったんだけどどうも合わないので止めちゃった。ちょっと残念。
でも安物買いの銭失いは嫌いな私だったので納得してそう決めた。

そして夕方、桜木町まで戻ってランドマークタワーへ。明日のパンを買うと言ってパン屋さんに入る。
さて、今回の大きな目的である「高いところで夜景を見ながらお酒を飲む」のは最初このランドマークタワーの最上階にすると決めていたんだけど相談の結果それはここで夕食を済ませて横浜まで戻ってからにした方が楽なんじゃないかって事になったので夕食を取る場所を探す。当然眺めがよくて雰囲気のよいところ。
確かこの辺にと祐子が言うので付いていく。この旅はホントに楽だなあ〜付いていけばいいだけなんだからなー。

ああここだここだ、外が見えるのはと言うそこはドックヤード。そのビアレストランに入る。
最初外が見えない席に案内されたが私達が無理を言って外が見えるところに変えてもらった。
窓があって席があって通路があってそれを隔てた席。ちと遠いが外が見えるからいいねと。
イヤな顔もせずに席を移動させてくれた優しいスタッフに感謝。
しかしだ、その窓の側の席にはおやじが4人飲んでいたんだよ。邪魔なんだよなーと思いつつ外を眺める。
青いライトにライトアップされた昔の船置き場はとてもキレイだった。私からおやじは視界から削除する。

私はエビスの生ビール。中ジョッキと言ったのにでかい。でもその大きさが私の顔をほころばせ更にご機嫌に。
喉が乾いていたので大きいかな大丈夫かなと心配したのだが5分で半分飲んでしまった。うんまい。

そして頼んだのはまぐろとアボカドのタルタル。小さい字の説明を読むと何やら材料を混ぜたものが出てくるらしい。
これが当たったんだ、まじで。すっごく美味しかった。ボリュームもあってそれも嬉しかったともうー2人で大絶賛。
他にも何か頼んだけど覚えていない程強烈に残ったこんな感覚は久しぶり。

少し食べてからこれ何のドレッシングだろうね?とあーだこーだ言い合ったがらちがあかないので
お店の人に聞いてみたら「少しお待ち下さい」とそのかわいい女の子が奥に引っ込んで姿を消した。
そしてしばらくしてからメモに書いたレシピを持ってきて教えてくれた。
オイルとレモンとお醤油とわさび だそうだ。その女の子にお礼を言って下がったのを見てから
「な〜るほどね〜〜これなら作れるわね〜」
話もすすんだが同時にビールもすすんだ。2杯飲み終わった頃もう一杯飲もうかどうか迷っていると祐子に釘を刺された。
「あとはカクテルにしよう」って。
あー、はいはい。ここで酔っぱらってはせっかくの夜景が見れないもんね。わーったわよ。

途中で窓際にいたおやじ4人が席を立った。やったー!ああん、やっぱダイレクトで見れるドックヤードは美しいわあ。

夕食を終え外に出るとあちこちでイルミネーションが綺麗でつい足を止めて見入ってしまった。
やっぱり横浜は冬のクリスマス前の、それも夜が最高にいいのだね。
ドックヤードに降りて祐子がデジカメで写真を撮ってくれた。

 

それから横浜駅へ戻りベイシェラトンに向かう。しかし駅で私の足を止めてしまったものがあった。
それはとてもとても甘く香ばしい香り。
「これ何の匂い?」と聞くと「たぶんシュークリームだよ」
だめだ。衝動的にそれが食べたくなった。どうしても食べたくなったのだ。
進行方向を変更してもらってその香りのする方へ進む。階段を下りたところを少し進むとあった、行列。
甘い香りと行列。その二つがあれば私は何も考えずに突き進む。それだけで条件は完璧揃っている。
今回私のわがままを何でも聞いてくれた祐子にもう一度感謝。

そこでガラス越しにシューにクリームを入れて出来るできたてシュークリームを5つ買ってからシェラトンへ。
私たちはもう大人なんだから大抵のところは怯まず行けるんだけどシェラトンが近づくにつれて次第に不安が。
今日の私たちの格好、ジーンズだよ?入れるの?ねえねえ?
大丈夫だよ と言う言葉を信じて最上階の28Fへ。土曜日の夜なので少し混んでいた。
チャイナドレスの女性やスーツを着た紳士も順番待ちをしていてあららと思う。ちょっと帰りたい気分。

3〜40分待って名前を呼ばれる。カウンター席でよろしいですか?と聞かれたので即答OK。カウンターがいいのだ。
10〜15人座れるであろうカウンターの端から私が3つ目と祐子が4つ目の席。椅子を引いてくれる。
私の左隣には外国人の男性と日本人のその彼女。

席に座るとまず大きな一枚窓から見えるベイブリッジを眺めてため息。
そう、こういうのをずっと見たいと思っていたのよ、私。とっても嬉しい。

カウンターの中でシェーカーを振るバーテンダーは結構若かった。
私たちが席に着くといらっしゃいませと落ち着いた小さな声で言う。さりげない笑顔つき。
何になさいますか?とやさしく聞いてくれる。

私ホントはバーテンダーはもっとじいさんの方がよかったなー、
もっと渋くて気配りが行き届いているそんな感じの人がよかったなー。
だが、まあ文句は言うまい。バーテンダー狙いで来た訳じゃない。

とりあえず私はモスコミュールを頼み、祐子も何か頼んだ。軽く乾杯。
外はくもりのせいで少しぼんやりしていたがバーの雰囲気がよかったので私の気分をよくするのにはそれでもう充分であった。
チカチカとビルの屋上が赤く光り、橋のライトや車のテールランプが動く様を見ているのは楽しかった。

ゆっくり1杯目を飲み終えた。
2杯目はその若いバーテンダーをちょっと構ってみたくなったので好みを言っておまかせしてみることにした。

「私はジンベースで甘くなくすっきりしたものをロングで」と。
そう言うと彼は「わたくしにおまかせしていただけますでしょうか?」と言うので「いいよ」と返す。

美味しかった。最初に私は若いバーテンダーなんかイヤだと言ったのをここで撤回しよう。
でもちょっと聞いていいですか?グラスを置くとき小指を立てるのはマニュアルなのですか?
もちろん聞かない。心の中でそっと聞いてみた。
私の笑顔がお礼の代わりだよ。嫌味入ってなかったでしょ?美味しかったよ。

バーにはピアノの生演奏が一時間に何分間か決められた時間だけやっていた。
私はふと生なのだからリクエストを受けてくれるかもしれないと思って祐子に相談もせずバーテンダーが近くに来た時
「ピアノのリクエストは出来ますか?」と聞いてみたら彼はすかさず
「どうぞ。曲名は何にいたしましょう」と言うので私は
「 God Bless America 」と言った。バーテンダーは耳がいい。聞き直さない。
「 God Bless America ですね」としっかり言う。

ほっ、通じた。と安心した次の瞬間私は思い出して少し固まった。
左隣にいるのは外国人男性、それにわが祐子は英語の教師だ。なんて事言っちまったんだい。発音聞かれてなかっただろうな?

結局そのリクエストは楽譜がないとのことで弾いてはもらえなかったけどそれはそれでいい。
今度英語を発音する時は回りをよく見ようよね>自分

毎正時になるとベイブリッジのライトの色が変わるそうだと祐子が言うので見ようねと言っていたのに
9時の時はおしゃべりし過ぎて見逃してしまった。
10時には絶対と時計をたまに見ながらもう一杯おまかせで頼む。
今度はウォッカベースにしてもらったがそれも美味しかった。
祐子は先におまかせで出てきたオレンジ色のショートカクテルが美味しかったらしく同じものをと言った。

10時、ずっと見ていたんだけどベイブリッジの色は変わってくれなかった。
たまにバーテンダーと言葉を交わし、軽口を叩き、大人の女の夜は更けてゆく。

10時20分頃軽くバーテンダーに美味しかった楽しかったとお礼を言って席を立ち、バーを出て相鉄線で祐子のマンションへ向かう。
降りた駅から彼女のマンションはすぐだった。

しっかりした太い木枠の自動ドアを入るとセキュリティパネルがあってそこにカギを差し込んで何やら入力。
祐子が酔っぱらってしまったら私はそこで途方に暮れるところだったがそうならないのは彼女がいつ何時でも
自分を見失わないしっかりした子だから。(誰でも自分と同じと思うな。はいはい)
築4年程のそのマンションはどこもかしこも綺麗だった。ほーとあちこち眺めながら部屋へ着く。
いや、部屋と言っては申し訳ないよな。家だ。だってエントランスがホテルの玄関って感じだったんだもの。

そうして通された家はまるでモデルルームのよう。
整理整頓されつくしたその家はほとんどと言っていいほど生活感がない。それもよい意味でだ。
いいな〜こんなうちー。余計なものが何もないんだよ。カーテンもラグも趣味がいい。
こんなにすっきり暮らせる秘訣を聞いてみた。モノを買わない。増やさない。いらないものはすぐ捨てる。
全くその通りだよ。判っていながら普通の人はそれが出来なくて苦しんでいるんだ、祐子や。

3LDKのフローリングで対面式のキッチン、ダイニングテーブル、そして大きなローテーブル。
ホント、初めて行ったのに居心地がいい部屋だ。あ、また部屋と言ってしまった。

洗面所もお風呂場も充分な広さ。トイレもグッド。しかも驚いた事にどこにも埃がないのだ。
小姑のように指でスーっとやってみたかったがそんな必要もない程キレイにされていた。
いや、アラを探そうとした訳じゃない、感心したんだ。どうか誤解のないように>祐子

そうして一通り感心した後にはタバコが吸いたくなった。しかしこの家には灰皿がないと言う。
仕方がないので小皿にアルミホイルを敷いてもらって換気扇の下で一服。ここから広いリビングが一望だ。
ふむふむと感心し直しつつもう一本。その間にも祐子は私が今夜泊まる為の準備をしてくれている。

お風呂の用意が出来たからと先に勧めてくれた。
夜も遅かったので長引かせてはいけないしと思ってお先にいただいた。
入る時湯船にシャネルのバスエッセンスを一滴落としてくれたんだがすぐにかき混ぜなかったので私が身体を洗って入ろうとした時にはまだ湯船の底にポツンと茶色い丸になっていて1人笑った。

落ち着くと今度は甘い物が食べたくなった。どうなってんの?女ってもんはしょうがないわねえ。
そこで買ってきたシュークリームをひとつ食べた。祐子のご主人への手みやげのつもりだったのに、
あればありったけ食べる人だからどうぞ食べてとの言葉を鵜呑みにして喰っちゃった。
ちなみに祐子のご主人は今日は近くのご実家に泊まってくれていた。すみませんでした、ありがとう。
噂では柔道をしていて体格のよい方だと聞いている。お逢いしたかったわあ。写真だけ部屋にあったので覗かせてもらった。
あら、いい男。今度は是非とも一緒にお食事をしたいわ。何ならその時祐子は留守番でもいい。いや、その方がいい。

今日はとっても楽しかったしとってもたくさん歩いた。普段の20倍くらい歩いたと思う。
明日に疲れが残らなければいいがなと思い願わずにはいられなかった。
それから寝心地のよいベッドに入ってすぐにぐっすりと眠りに落ちる事が出来た。
12時を過ぎていただろうか。1時だったかな?

そんな事で11月16日(土)旅行初日無事終了。

(ここまで書いて言うのも何だけど、これをもう一度最初から読み直して修正するの?私が?これから?)


17日へ行く

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