U−2 学 習 す る 組 織 と 対 話 ( ダ イ ア ロ グ )



出典:「開発教育とシステム思考融合の可能性
    〜対話(ダイアログ)で学び合う学習する組織」

    (『開発教育システム思考研究会報告書』、拓大IDEC、2012) より

                              IDEC国際開発教育センター
                                 小貫  仁

 <U−1〜3の全体構成>
 1 開発教育とシステム思考 ・・・U−1
 (1)本稿のテーマと構成
 (2)なぜ、システム思考か
 (3)システム思考の可能性
 2 開発教育と学習する組織(学び合う学校)・・・U−2(本ページ、報告書pp.8-14)
 (1)社会構成主義と対話(ダイアログ)
 (2)学習する組織から学び合う学校へ
 (3)システム思考で深める学び
 3 これからのファシリテーター・・・U−3
 (1)ダイアログ・ファシリテーター
 (2)ジェネレイティブ・ファシリテーター
 (3)地域と世界をつなぎ、世界に羽ばたく


2 開発教育と学習する組織(学び合う学校)

(1)社会構成主義と対話(ダイアログ)

@  時代の要請課題と社会構成主義
 
 今日の教育課題に「生きる力」の育成がある。これは変化の激しい時代に対応する力と考えることができる。これまでのように、方向性に疑問を持つ必要なく力を合わせるだけではなく、変化に対応して道を切り拓いていく創造的な力が求められている。ゆえに、近代の教育が追求してきた”ひとつの解”を効率的に覚え込む学習を超える学びが問われている。社会構成主義はこうした教育課題の克服に関連している。

 社会構成主義とは、物事の意味とは客観的事実ではなく、社会的な構成物という考え方である。その基本テーゼは次のように整理できる。(10)
1)私たちが世界や自己を理解するために用いる言葉は、「事実」によって規定されない。
2)記述や説明そしてあらゆる表現の形式は、人々の関係から意味を与えられる。
3)私たちは、記述、説明、表現する時、同時に、自分たちの未来をも創造している。
4)理解のあり方について反省することが、明るい未来にとって不可欠である。

 言葉は直ちに客観的に伝わるとは限らない。「あうんの呼吸」では通用せず、発言内容の定義から共有しなければならない場面はしばしばある。深く理解し合い、深め合う営みが必要である。こうして、教育でも重要なのは、次のような視点での、理解し合い深め合う学びである。(11)
1)学習とは学習者自身が知識を構築していく過程である。
2)知識は状況に依存している。
3)学習は共同体の中での相互作用を通じて行われる。

 本来、「学習」は、ひとつの解を理解するだけでなく、さまざまな解を検討するなかで、状況に応じて学習者が意思決定していかなければならない。ゆえに、生徒が主体的に深く考え協同して学び合う教育、各自の多様な表現を理解し合い、探求を社会に提案していけるだけの学びが問われる。伝え合うコミュニケーションが重要である。

A 対話(ダイアログ)で展開する
 コミュニケーションの重要性もまた今日の教育課題である。それは、会話、討議、対話などであるが、本稿が着目するのは、会話、討議を超えた対話の重要性である。
 ここで、改めて、対話(ダイアログ)を整理しておこう。

 対話(ダイアログ)は、言葉を論理的に理解するのではなく、人間の関係性を理解しようとする会話である。すなわち、言葉の根底にあるものに共感し、手を結ぼうとする。
 そもそも、「ダイアログ」の原義は「ディア・ロゴス=意味が流れる」であるが、ここには4つの要素が不可欠であると考えられる。
a) 異なる者同士の対等な関係性
b) 意味内容の根底からの”共有”
c) 違いを越えた”共感”
d) 対立を越えた”共創”

 これら3つの「共」を含む諸要素をひとつの文章にして定義づけるならば、対話(ダイアログ)とは、「価値観(あるいは文化)の違う者同士が、対等な人間関係に基づき、違いを認めあい、そこでの意味を聴き解くことで、新たな共通の創造に至ること」と定義できる。対話(ダイアログ)は深い相互理解と新たな変容へのプロセスである。

 開発教育では「開発」という用語の捉え方ひとつとっても多様である。「開発」に関してたったひとつの”解”は存在しない。開発教育では、学び合いのプロセスで、開発の意味を共有し、”ありたい姿”を探求していく。これは社会構成主義の学びにほかならない。
 開発教育では、「開発とは」から発して「開発のあり方」の問いがきわめて重要である。協同的に学び合うなかで、「(望ましい)開発のあり方」を探求していく。この学びは安易な主義ではなく、「公正で共に生きることのできる社会(世界)とは」の問いをめぐって、ほんとうの解を探し求めていく探求プロセスである。学習者は、他者との関係を築くなかで学び合い、ひとつの価値判断を選び取っていく。

 こうして、開発教育では、学習者は客観的事実を「知る」段階で、それらの知識に対し何らかの意味づけをしている。解釈の違いがあっても、学び合いのプロセスで互いの理解を深め合う。さらに、「考える」段階では、「対話(ダイアログ)」を通して、違いや対立を解消し、行動につながる認識を深めていく。

 アメリカの心理学者ガーゲンは、新たな変化につながる 「対話(ダイアログ)」 の可能性について、意見の背景にある経験を理解すること、最も重要と思う事やジレンマの共有することの重要性を説いているが、特に、次のような 「問題解決ワークショップ」の例を紹介している。
 そこでは、できる限りお互いを非難したり極端に批判したりせず、抽象的な信念でなく経験について語ることでお互いの立場を理解するよう求められた。何より重要なのは、「望ましい未来像を共有するために努力する」 よう求められたことであった。(12)
 この事例は、心を開いて ”聴き”、心を開いて ”語る” という 「対話(ダイアログ)」 の真髄がよく表れている。互いの意見の前提を理解し合い、共通の 「大義」 を見出そうとする試みこそが重要で、対立が双方の納得で終わるような解決策につながったという。
 ここではすでに開発教育のプロセスの「行動する」段階も含んでいる。そして、行動が実際は態度変容にとどまるとしても、自己変容のプロセスこそが学習者にとっての学びである。

(2)学習する組織から学び合う学校へ

@  「学習する組織」の学習論

 「学習する組織」論は企業経営論の概念であるが、私たちはその学習論の側面に着目している。ビジネス分野と教育分野の「時代」に対する危機意識は共通である。
 提唱者ピーター・センゲ(米)によれば、学習する組織とは「人々が絶えず、心から望んでいる結果を生み出す能力を拡大させる組織であり、新しい発展的な思考パターンが育まれる組織、共に抱く志が解放される組織、共に学習する方法を人々が継続的に学んでいる組織」である。(13)
 つまり、学習する組織は、変化の激しい今日の世界で、変化に対応して進化し続けながら、皆が望む志の実現する未来を創造する組織である。ちなみに、本稿は、組織を「協働のために、意図的に調整された、複数の人間からなる、行為のシステム」とする。
 センゲは、それをこれまでの断片的な知識の習得でなく、全体を俯瞰するものの見方考え方で推進しようとする。「学習」とは「知識を増やすという意味ではなく、人生で本当に望んでいる結果を出す能力を伸ばす」ことである。(14)

 「学習する組織」には5つのディシプリン(学習し修得すべき理論および技術の総体)がある。これらは3つの中核的な学習能力(「志の育成」「内省的な会話の展開」「複雑性の理解」)を伸ばすアプローチである。


 図3 チームの中核的な学習能力
 (出所:Pセンゲ『学習する組織』英治出版、2011年、23頁)


 これらのディシプリンをできるだけ開発教育に近づけて整理すると、次のような概念として捉え得る。
◆ 自己マスタリー
 開発教育のテーマを自分との関わりで考えるようになり、自分の意思で意欲的に取り組む。学びを通して、自分の生き方を自分で意思決定できる。
◆ メンタルモデル
 自分が持っている先入観に気づき、既成概念を超えて自由に発想できるようになる。対話(ダイアログ)のために相手の見解を理解することができるようになる。
◆ チーム学習
 グループで常に一緒に考え、一緒に決断し、その決断を見直し、軌道修正を行っていく。
行動と結果を内省して仮説を立てることができ、それを次の行動に反映させる。
◆ 共有ビジョン
 学びのプロセスの中で、開発のあり方を吟味し、社会の”ありたい姿”を考察し、共有する。そのビジョンと現実のギャップを埋めるために行動できる。

 ここでは、特に、対話(ダイアログ)で展開するチーム学習に注目したい。このチーム学習とは、歴史的にみると、日本の集団主義(QCサークル等)に学びながら、システム思考を土台として欧米流にアレンジした集団主義という側面がある。(15)
 チーム学習によってこそ、学びは、学習者が望んでいる結果を生み出す能力を拡大させるものとなる。開発教育ファシリテーター講座(アドバンストコース)の経験では、「学習する組織」の意義を学ぶ中で、「私たち自身は学習する組織か」を各自が問うことから始まり、共有できる目標とビジョンを築いていくことで、メンバー同士の結束が強まり、開発教育を学習する組織へと進んでいった。学習する組織として「社会(世界)が最良の未来を実現するために能力を強化し続ける」モチベーションはチームの結束力がなければ維持できない。

A 「学び合う学校」の学習論
 私たちはビジネスにおける「学習する組織」論をいかに教育に適用できるだろうか?
 「学習する組織」論の教育への適用に関して、センゲは3冊目の「フィールドブック」として”Schools That Learn”(2000) を著している。これは、センゲの5つのディシプリンを「学習する教室(learning classroom)」「学習する学校(learning school)」「学習するコミュニティ(learning community)」を三位一体とする「学習する組織」に当てはめたものと考えられる。

 ところで、「学習する学校」と言う場合、それはこの三位一体の全体像を意味することは言うまでもないだろう。Schools that learn と Learning schoolの訳は区別しなければならない。ゆえに、本稿は全体像を「学び合う学校」(schools that learn)と表現する。
 学習論の観点からすれば、教育実践の軸は「学習する教室」である。まずは、授業が変わることで学校が変わる。管理職と教師集団からなる「学習する学校(learning school)」は、その実践を時に先導し、時にサポートする。さらに、学校は地域と連携し、三位一体で教育を再統合して行く。

 センゲの教育に対する現状認識は、近代社会のメンタルモデルに関わっている。科学の発展とともに工業化が進んだ結果、近代社会は物事を全体やシステムとして捉えるよりも細分化することで分析し、合理化や標準化を追求するようになった。それが教育にも影響を及ぼしている。学校は流れ作業のような標準的な画一化を追求し、知識は断片化され、学校は「正解」を効率的に教え込む場に陥っている。興味深いことに、こうした指摘は、本稿で検討してきた社会構成主義の主張と共通している。

 センゲは、まず教室の学びのあり方から問い直す。重要なキーワードは「心のブレイクスルー」である。先生は「正しい答え」を持っていなければならないという先入観(メンタルモデル)から解放されなければならない。
 教師は生徒に知識を教え込もうとするのではなく、生徒自ら学べることを信じて、「学習環境のデザイナー」 である。つまり、学習者である生徒をよく見て、実践し省察することで、「学習する教室」 をデザインする。
 さらにセンゲは、こうしたメンタルモデルや行為理論を問い直すことで、ドナルド・ショーンの考察した「省察的コミュニケーション」(対話)を重視する。ここでは、行動し、観察し、反省し、決定し、行動するという学習のループが成立する。

 次に、「学習するコミュニティ」では、地域コミュニティも学校とともに学び続ける存在である。学校は社会的関係網の中で、地域と共に歩むべく再統合する必要がある。
 「学習する学校」は以上を強力にサポートして推進する。学校組織が「学習する学校」となるには、学校の実態に応じて、学習による変化を伴った取り組みが必要である。

 センゲは、生きたシステムの教育プロセスとして、学習者主体の学習、多様性の奨励、相互依存の世界と変化を理解する学びを提案している。(16)
 この提案はまさに開発教育を推し進めることと一致している。学習者主体の学びは開発教育の参加型の学びなのであり、多様性の理解(多文化共生)や相互依存の理解(グローバル教育)は開発教育のテーマと重なっている。
 その上で、開発教育が学習する組織(学び合う学校)のディシプリンを具体化するのにどのようなファシテーションが可能かが課題である。たとえば、学習者一人ひとりの自己マスタリーを引き出し育てるには、一人ひとりを尊重するなかで、「問い」の質が問われるだろう。メンタルモデルを揺さぶり克服するには、多角的視座への”リフレーミング”のスキルが問われるだろう。”あるべき姿”としてのビジョンを共有するには、目的、視点、立場を問い直し続ける姿勢が問われるだろう。そして、グループがチームとして協同して学び合うには、対話(ダイアログ)と討議(ディスカッション)を組み合わせるファシリテーションが問われるだろう。

(3)システム思考で深める学び

@ 学びのフレームワーク

 システム思考で深める学びとは、事象を循環するシステムとして把握しようとする学びである。それは構造変革型のアプローチであり、どんなシステム構造なのか、どのようなパターンに陥っているか、どうすればしくみを変革できるか、を考えるプロセスが重要である。(17)
 たとえば、大量に破棄されるゴミと環境破壊、共有資源である漁業と資源枯渇、経営危機とリストラ、国家財政危機と赤字国債、軍事大国の軍拡競争等、さまざまな事象は循環するシステムとして考察することができる。

 システム思考は「木を見て森も見る」思考と言われる。事象の原因と結果の循環関係を大局的に「見える化」する。ある事象の背景にある根本因を探求するために、問題を起こしているしくみの構成要素を全体として把握する。全体を俯瞰することと時間軸で捉えることの2側面に注目する。

 ここでは、対話(ダイアログ)を通して、システム思考で深める開発教育を具体化するために、従来のワークショップとの類似点と相違点を明らかにしながら、ワークショップ型授業をモデル化しよう。
 ただし、留意すべきは、このモデルはあくまで授業構成のフレームワークにすぎないということである。この授業の内実は、対話(ダイアログ)を通して、関わり合いを築き、情報を共有し、学びを深めていくプロセスが前提である。(18)

 ワークショップとして、ここでは通常のカードワークを基礎として展開する次のような4段階のワークを想定しよう。
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
| <A> テーマに関するブレーンストーミング:キーワード=構成要素の抽出     |
| <B> 相互関係の整理:プロセス図、相互関係図、マトリクス図など         |
| <C> 因果関係を描く:相互依存関係をシステムとして捉える             |
| <D> レバレッジポイントの探求と対応:最重要課題を探し出し、行動につなぐ   |
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+

 このワークショップで、<A>〜<B> は通常の通りである。そこから発展して、<C>〜<D> の段階がシステム思考のものの見方考え方の展開となる。
 まず、<A>〜<B>で、テーマに関するキーワードを出し合いブレーンストーミングし、ウェビングやポストイットで引き出されたアイディアや討議内容を「見える化」する。これまで通り、現状を理解し、問題に対するロジカルな分析が不可欠である。なお、その際、内部環境と外部環境の区別に留意する。特に問題解決を検討する場合は、全体像の俯瞰で外部要因(世界)とのつながりを重視しながら内部要因(対応する場)の分析を進める。

 <C>では、システム思考のものの見方考え方で発展的に検討するために、<B>で描いたファシリテーション・グラフィック(FG)を相互依存関係に絞って関係づけて再整理する。原理的に検討することで、システムの因果関係の「見える化」を試みる。
 ここで「因果関係ループ図」を描くことは決して容易ではない。本格的に定量的な分析するにはコンピューターを使った「システム・ダイナミクス」に取り組まなければならない。教育の場では原理的な考察として検討する。まがりなりにもシステムを探求すること自体に意義がある。たとえループ図が完成できなくとも、相互依存で関係づけられた全体像を俯瞰するなかで、どの構成要素に働きかければ全体に大きな影響を及ぼすことができるかを探求できるからである。
 さまざまな構成要素を循環ループとして表現することには限界があると言わねばならないが教育上の工夫はできる。たとえば、プロセス図の最初と最後をつなぐことから始めること、シンプルに原理的に検討すること、メンバーを変えて多様な視点で再検討すること、逆発想で、”ありたい姿”から描いてみることなどである。最終的には、幾つかのループを組み合わせる試みも有効である。(19)

 <D> のレバレッジポイントの特定では、基本的に、ループ図の 原因(独立変数)と結果(従属変数)の関係で複数の従属変数を従えている独立変数(矢印が集中している要素)に着目してみる。あるいは、外部環境とつながる内部変数に発想転換が求められることを検討するのも有効である。(20) 
 ここでは、時間軸で解決策が異なる場合がある。解決策が、あくまで短期的な解決策なのか、それとも長期的な(根本的)解決策なのかに留意することが本質に迫る手立てなりうることも多い。

A 新しい教材の可能性
 システム思考で展開する開発教育の教材化は研究会の今後の重要な課題である。私たちが参考にすべき既存の教材には、ユニセフの「相互依存」コンセプトの教材群がある。
 特に、『貧困の悪循環』はモデルとなる。この教材は、貧困の因果関係を循環的に理解し、解決策を模索しており、システム思考による構造認識とレバレッジポイント探求の代表的教材である。この教材は、開発経済学者ヌルクセの理論(1953)に基づいて、貧困(経済的欠乏)状況を原理的に説明している。少なくとも、システム思考のものの見方考え方を学ぶことができ、各々の構成要素を丁寧に調べ学習すれば、貧困に関連する基本的理解を得ることができる。
 この教材は継承すべき優れた教材であるが限界性もある。これを乗り越える新しい教材作りが研究会の課題となっている。研究会では、『貧困の悪循環』の主な問題点を次のように整理した。
a. 単純化されすぎている。複雑さを複雑なまま理解できない。
b. ひとつの解に限定している。他の観点が見えない。
c. これがほんとうの解なのか疑問。

 検討の結果、次のような改善案が出された。
◆ 学校教育では、生徒の発達段階に応じた複雑さを用意すべきだ。
◆ 抜けている要素を提示できるサムシングカードを用意したらどうか。
◆ 解はひとつでないからこそ、循環図の批判的検討が重要。
◆ ケーススタディのように、マッピングで自由に要素を書かせる前段階を重視すべし。◆ グローバリゼーションを考慮した現代版への教材研究が必要。
 同じテーマでも、生徒の発達段階に応じて複雑さを増す配慮があってよい。また、教材の枠に嵌めこむのでなく、自由な発想を書き込むサムシングカードで考えたり、循環図を多様な視点で再検討するワークを取り入れたい。さらに、総合的な学習の時間では、ケーススタディやフィールドワークなどを考慮できる。

 本稿は第1節第3項で、システム思考を応用する可能性を検討したが、そうした視点はそのまま教材化のアイディアとなる。
 ひとつは、肯定的な”ありたい姿”から現実を見据え、そのギャップを課題としていくアプローチである。もうひとつはシステム原型を具体化するアプローチである。
 こうしたアプローチで、現実を未来志向で見据えたうえで課題を発見したり、システム原型の具体的現実を教材化したり、さまざまなシステム原型をシミュレーションする教材などを構想している。


<注>
10)K.S.ガーゲン『あなたへの社会構成主義』、ナカニシヤ出版、2004、pp.71-76
11)久保田賢一『構成主義パラダイムと学習環境デザイン』、関西大学出版部、pp.28-29
12)ガーゲン、前掲書、pp.241-242
13)P.M.センゲ『学習する組織』、英治出版、2011、p.34
14) 同上書、p.196
15)K.ワトキンス&V.マーシック『学習する組織」をつくる』、日能MC、1995、pp.140-141
16)中村香『学習する組織とは何か〜ピーターセンゲの学習論』、鳳書房、2007、p.263
17)堀公俊『チーム・ファシリテーション』、朝日新聞出版社、2010、pp.150-151
18)多田孝志『授業で育てる対話力』、教育出版、2011、pp.2-15
19)V.アンダーソン&L.ジョンソン『システム・シンキング』、日能MC、2001、pp.134-135
20)高橋浩一『問題発見力養成講座』、日本実業出版社、2009、pp.137-138


<参考>
●ファシリテーションに関する4つの課題
 (研究会報告会パワポ資料より)
1 ダイアログに対応できるファシリテーター
  〜ファシリテーションの再構築と実践
2 ホールシステムに対応できるファシリテーター
  〜ジェネレイティブ・ファシリテーターへの進化
3 「学習する組織」の5つのディシプリンの具体化
  〜「学習する学校」化の普及
4 システム思考の教材作成
  〜システム思考で展開する開発教育実践


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