基 本 方 針 と シ ラ バ ス




” E g g プ ラ ン ” 実 施 の 基 本 方 針


1 総合的な学習をどう考えるか <理念>

  「総合的な学習の時間」 は、各学校が、地域や学校、生徒の実態等に応じて、横断的・総合的な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものです。そして、そのねらいは、(1) 自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること、(2) 学び方やものの考え方を身につけ、問題の解決や探求活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の在り方生き方が考えられるようにすること、とされています。

 私たちは、本校独自の総合的な学習(“Eggプラン”) を創るに当たって、出発点として、本校生の実態、そしてそこから求めるべき生徒像を考えることから始め、その内容を、次のように集約しました。
(1)本校の実態として、教育活動が専門分野に偏る傾向があるのではないか。芸術分野の修得に重心が置かれるのは当然であるが、それらに手一杯で、芸術の基礎でもある活動、例えば、一般教科の学習や芸術以外の諸活動が軽視されがちな現実があるように思える。従って、本校生に必要なのは、芸術の基礎となる広い視野やものの見方・考え方などを育てる活動である。
(2)さらに、傾向として、学習に対して受身であり、その根底にある問題意識や考える力も不足しているのではないか。進学を考える場合も、今日の大学が求める資質である、論理的思考力、文章表現力などや、さらに、問題解決への力が不足している現実があるように思える。従って、本校生に必要なのは、自ら学び、自ら考えて、主体的に学習し、課題に適切に対応できる力を育てる活動である。

 委員会が総合的な学習を構想するに当たっては、まずこの現実を踏まえて、芸術の土台としての諸活動、より本質的には、芸術表現の背景となるものを重視していることを確認したいと思います。
 従って、本校の総合的な学習では、芸術以前の 「自分探しの旅」 へのきっかけを用意したいと考えます。そのためには、自分を見つめる時間、自分の興味・関心を広げる時間、様々な関係者との出会いの時間などが必要でしょう。そして何よりも、自分の中に自分のカラを越え得る課題(核) を持ち、そこをスタンディングポイントとして、深めたり、広げたりすることが大切です。
そして、『社会と自分』(ここでの「社会」とは生徒の関わり得る営みすべてを総合したもの) を大テーマとする“Eggプラン”では、未知の可能性を秘めた生徒が、自分自身で自己のカラを破っていき、将来に向かってたくましく生きていく力を育てることが重要であり、「総合的な学習」 の学びではできるだけ多様な活動が用意されるべきです。

2 本校の“Eggプラン”構想 <目標>

 「現代社会は、ますます多様化し、様々な考え方や生き方があり、自分自身がどのように生きていったらよいのかを考えることが難しくなっている。これからの日本人に求められるのは、多様な価値や情報を判断し、考え、独創的で的確な視点で課題解決に結びつけていく柔軟な姿勢と行動力である。本校の教育は、高校生としての基礎的な学力を身につけるとともに、芸術の専門的な学習を通して豊かな感性を養い、21世紀に活躍する人材を育成することを目指している。このことを踏まえ、本校の「総合的な学習」(Eggプラン) は、未知の可能性を秘めた生徒一人ひとり(Egg) が、社会との関わりのなかで自分を見つめ、自ら課題を設定し解決していく過程で、自分の可能性を開花し、将来に向かってたくましく生きていく(巣立ち) ための手伝いをする時間とする」 (実施計画書より抜粋)

3 “Eggプラン”をどう創るか <具体化>

 具体化に当たって、最初に考慮すべきは次の二点と考えます。
(1)「総合的な学習」のプランは、3カ年を見通し、各学年の位置づけを明確にする。
(2)「総合的な学習」の実践は、学校教育全体の中に有機的に位置づける。
 3年間の見通しは、1年次=準備、2年次=模索、3年次=発展とまとめ、と考えます。言い換えれば、1年次は、「自分探し」 のために、自己を見つめ、視野を広げ、自分なりの何かを掴み取るための準備期間です。2年次は、社会を知る中で、自分なりのこだわりについて、自ら学び・自ら考えながら探求し模索する期間です。そして3年次は、3年間の歩みをまとめて自分なりの到達に至り、卒業後につなぎます。
 次に、以上の具体化に当たっては、次のように、諸活動を学校教育全体の中に有機的に組み込む工夫が必要です。
・様々な校外学習の場をいかして、社会を知り、自分の課題を見つけるための活動をすること。
・校内の教科および特別活動をいかして、自分の興味・関心を広げ、自己の生き方を探ること。
・自己の進路決定に向けての諸活動を通して、様々な職業や人間の生き方を知り、視野を広げ、ものの見方考え方を深めること。
 以上は、主に準備期間である1年次のイメージですが、2年次以降は、自分で何らかのこだわりを掴んで、自分と社会との関わりの中で探求を進めることになります。
 なお、各教科の目標に基づいた実技の授業そのものとリンクさせることは避ける方向です。各自が3年間の「自分探しの旅」で自己を掘り下げ、視野を広げる諸活動は、自己の在り方生き方に関わるのであり、結果として、専門の芸術活動(卒業制作・発表) にも寄与すると考えます。私たちは、芸術を専門とする総合高校だからこそ、可能な限り、芸術以前の部分を求めて行きたいと思います。





平 成 15 年 度  総 合 的 な 学 習 の 時 間 の シ ラ バ ス


1 名称
 ”Eggプラン”
2 授業時数
 年間35時間
3 目標:
 未知の可能性を秘めた生徒一人ひとり(Egg)が、社会との関わりのなかで自分を見つめ、自ら課題を設定し解決していく過程で、自分の可能性を開花し、将来に向かってたくましく生きていく(巣立ち)ための手助けをする時間とする。
4 活動内容:
 1年次は、「自分探し」のために、自己を見つめ、視野を広げ、自分なりの何かを掴み取るために校外学習等をいかして活動する。
 なお、2年次以降は、社会を知るなかで見出した自分なりのこだわりについて、自ら学び自ら考えながら、探求し模索する。
 学習内容は、適宜、まとめの時間を持ち、各自ポートフォリオを作成していく。
5 年間指導計画
 <1年次>
  1-2)   ガイダンス(内容と方法)
  3-5)  総合的な校外学習T
  6-8)  総合的な校外学習U
  9-12)  総合的な校外学習V
 13-14) これまでのまとめ
 15-16) クラス内での共有
 17-18) 総括(次年度に向けて)
6 授業の実施形態:
 HR単位およびグループ単位
 (授業形態は学習内容に応じる)
7 評価の観点:
 <1年次>
 (1) 知的関心: 知的関心をもって課題を見つける力
 (2) 学 ぶ 力 : ものごとを広い視野で学ぶ力
 (3) 考える力 : 知識をいかして深く考える力
 (4) 表現能力: 表現する力とくに文章表現能力
8 全体計画:
 全学年の統一テーマ 『社会と自分』
  1年次 「自分探し」 の準備
  2年次 「自分探し」 の模索
  3年次 「自分探し」 の総括


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