のぞいてみよう! インドのカレー <ケーススタディ>



原典 : 『 たずねてみよう! カレーの世界 』 (開発教育協議会、2000)

◆ねらい : インド各地のカレーを知り、その多様性を理解する
       各地の食文化の背景について理解する
       日本の食文化について、改めて見つめ直す
◆所要時間 : 90分
◆準備するもの : 「シート a/b」(北インド/南インド)、「学習シート」、世界地図

<すすめかた>
1 6人程度のグループをつくり、「学習シート」を配布する。
2 各グループは、北または南インドのカードを読みながら「学習シート」をうめる作業を行う。
3 黒板の拡大シートに正解を出し合う。
4 次の質問について考えてみる。
  [問い] 「なぜ、食べないものや食べてはいけないものがあるのか?」
      「なぜ、それぞれの地域で具や主食が違うのか?」
5 自分の家庭のカレーとの相違点・類似点を考えてみる。
6 食の豊かさと多様性の関係を考えてみる
7 日本の食の多様性について考えを深める

<要諦と留意点>
 均質的な日本のカレーと比較することによって、多様性が「豊かな文化」の重要な要素であることに気づくようにする。その多様性の背景も学習の要諦となる。そして、その多様性の観点で、日本の「食文化」も考察したい。
 ただし、それぞれのカレーの事例を見ていくときに、シート a/b に登場する特徴はあくまで、その地域に住む代表的な家庭のカレーの紹介であり、それがその地域のすべての特徴ではないことを説明し、参加者が固定観念をもたないように留意する。

<教材>

「(北インド)マシュレ家のカレー」(シートa)

 ナマステ(こんにちは)!私の名前はマシュレです。
私は、インドの首都ニューデリーから少し東にある、50件ほどの農家がある村に住んでいます。
インドと聞くと、とにかくとっても暑い国だと思うでしょう。けれども北インドでは、6月から9月までの雨季を除けばすごしやすい気候が続きます。冬場は日本の秋のような涼しい風がわたりとても気持ちがよいです。
家のまわりには小麦畑とジャガイモ畑がひろがっています。このあたりは、大麦・小麦・豆・野菜の栽培に適していて、冬と夏の2回作物を収穫するニ期作が行われています。
 そうそう、私がいつも食べているカレーの話をしなくっちゃ。
 私の家はイスラム教徒なので、豚肉を食べてはいけないの。だから普段は、インゲン豆・ヒヨコ豆・レンズ豆などの「ダールカリー」や「サブジー」という野菜サレーを食べているわ。どちらもあまり汁気はなく、カレーのとろみは野菜でだすのよ。サブジーの具は普段はジャガイモだけれど、週に1度近くの村で市場がたつ時はナス・ダイコン・キャベツ・カボチャなど、季節の野菜を入れるのよ。

− 以下 略 −

「(南インド)マルティ家のカレー」 (シートb)

 ナマステ(こんにちは)!僕の名前はマルティです。
僕はタミルナドゥ州の州都チェンナイから少し離れた町に住んでいます。
このあたりは熱帯雨林気候といって、1年中高温多湿なのが特徴です。この土地の代表的な作物はなんといっても米で、細長くてねばりのないものをはじめ、色々な種類があります。豆の栽培も盛んです。
 そうだ、僕がいつも食べているカレーの紹介をしなくっちゃ。
 僕の家はヒンドゥー教徒なので、牛肉を食べてはいけないんだ。それにベジタリアンといって菜食主義なので、魚・肉・卵も食べないんだよ。それじゃあ一体どんなカレーを食べているかって? 豆や野菜が主役の「サンバル」というスープ状のカレーが定番なんだ。豆はムンク豆・レンズ豆・ヒヨコ豆など色々な種類があるし、野菜はナス・アクラ・タマネギ・トマト・キャベツなど季節によって変わるから、その時によって味が少しずつ違うんだ。汁気のないカレーも食べるよ。ジャガイモ・ナスなど1種類だけで作ることも、何種類もの野菜を組み合わせて作ることもあるんだ。ベジタリアンでない人は、鶏肉やイワシ・サバ・マナガツオなど近くの海でとれた魚も食べるよ。

− 以下 略 −

「学習シート」 (『アジアのカレー』 特徴表) −項目のみ−
〜北インドと南インド、および日本に関して、下記の項目について比較し、考察する。

・近くにある大都市
・年間平均気温・降雨量
・家族の宗教 (イスラム教/ヒンドゥー教)
・食べないもの
・カレーの主な具
・具の種類
・主食
・スパイスの使い方
・ハーブ
・油
・とろみ
・かくし味
・食べ方
・食べる頻度

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