2000年信州西穂高旅行記・2日目

7月23日


 朝6時前,目が覚める.すでに外は太陽がこうこうと照っていて非常に明るい.朝食を素早く済ませ,ホテルを後にする.コンビニで昼食用のおにぎり等を購入する.山へ入ると食料,飲料はまず手に入らないのでやや多めに購入する.それから松本電鉄松本駅に向かうが,どうやらJRの駅と同一の改札のようだ.一番はずれのホームに新島々行きの2両連結の列車が停まっていた.山へ向かう人で混雑するかと思ったらがら空きである.山へ向かう人は夜行に接続する早朝の便に乗ってしまったのだろうか.約30分で終点の新島々に到着した.新島々ではすぐ駅前に上高地行きバスが止まっており連絡している.バスのチケットを窓口で購入するが,珍しく硬券だった.しかしバスに乗り込むとき係員にその硬券を回収されてしまった.バスでは運転手後ろの座席を確保する.約30分で奈川渡ダムに到着した.ここで約10分の小休憩が行われた.静かな所で,梓川をせき止めた奈川渡ダムがあり,ここは東京電力の安曇発電所となっている.ダム横の案内板を見ていると,この安曇発電所は揚水式発電所であることが判明した.揚水式発電所と言えば,私自身学生時代に関西電力の大河内発電所を見学したことがある.奈川渡ダムでの休憩を終えバスは梓川沿いに上高地を目指す.沢渡(さわんど)には多数の駐車場があるが,上高地は通年マイカー規制が実施されており,ここでバスかタクシーに乗り換えて上高地を目指す必要がある.しかしバスには沢渡から一人も乗ってこなかった.多分沢渡始発のバスに流れたためであろう.バスは沢渡を過ぎたがマイカー規制されているにもかかわらず多数のマイカーとすれ違った.おかしいと思っていたら中の湯という交差点がありここで左折すれば安房峠を越えて平湯温泉方面へ向かえ,ここはマイカーが通れるためであった.中の湯には駐車スペース等が全くない.中の湯を過ぎると,非常に狭く片側交互通行の釜トンネルに入る.釜トンネルを越えると焼岳が進行左手に美しく見え,やがて大正池,帝国ホテル前を通り終点上高地バスターミナルに到着した.
河童橋より見た焼岳
▲河童橋より見た焼岳
 バスターミナルにはすでに多数の観光バスが停まっており賑わっている.とりあえず河童橋を目指す.5分とかからないうちに到着したが,そこには朝早いにもかかわらず人,人,人・・・.CMや絵はがきでお馴染みの穂高連峰をバックにした河童橋の光景が見られたが,残念ながら穂高連峰の一番高い山(奥穂高岳)の頂上付近は雲がかかっている.雲が薄れてきた瞬間をねらって写真を撮るが,完全には晴れない.しかし今日登ろうとしている西穂高方面は雲が無く晴れているため安心した.一方河童橋から下流の方を向くと北アルプスで唯一の活火山である焼岳が美しくそびえている.ここでふと携帯を見てみるとなんとアンテナ3本立っている.家族に「明日になっても連絡が無かったら捜索してくれ」と電話しておいた.1時間くらい写真等を撮りながらぶらぶらと過ごした後(奥穂高は最後まで晴れなかった...),西穂登山口である田代橋へ向けて,梓川右岸を下流方向へ歩く.途中ウエストン碑の前を通り約20分で田代橋へ到着した.
 さあ,ここから登山である.目指す西穂山荘までは登山地図によると3時間10分要すると書いてあるが,日頃の運動不足でばてやすいことや休憩時間を考えると4時間は見ておいた方が良さそうである.登山道ははっきりしていて迷う心配はなさそうである.上高地であれほど多数の人がいたのに登山道に入ると誰にも会わなくなってしまった.蝶が多数飛んでおり,蚊のような虫も多い.朝の上高地は涼しくて22℃であったが,太陽が昇ってきて気温は上昇しかつ急な傾斜の道を歩くと汗が多量に吹き出る.ばてないようにゆっくりゆっくりマイペースで登る.暑くてすぐばてるので30分おきに休憩をとる.途中,下ってきて休憩中の家族連れと会い,缶詰のパイナップルを一切れ分けてもらった.これが甘くてうまい.疲れが吹き飛んだ.パンやおにぎりよりこういった甘いフルーツの方が疲れがとれやすいかもしれない.この家族連れによると頂上は朝は曇っていて風が強かったが,降りる頃になると晴れてきて悔しい思いをしたとのことだった.また歩き続け正午頃昼食休憩とする.食事後は体力も回復し一路西穂山荘を目指すが,なんと午後1時に西穂山荘に到着してしまった.昼食時間等を含めても登山口から3時間しかかからなかったということは,登山地図の標準コースタイムはよっぽどゆっくり目に書いてあるということか.
笠ヶ岳の雄姿
▲笠ヶ岳の雄姿
西穂高岳と西穂独標
▲西穂高岳と西穂独標
 本日はこの西穂山荘にて宿泊の予定であるが,まだ時間が早くかつ天気が良いので,西穂独標まで往復することにする.荷物を置いていくことも考えたが,独標までならすぐだろうと思い込んでおり,全ての荷物を持っていくことにした.山荘の裏からは笠ヶ岳が美しくそびえ立っているのが見える.隆起したためか地層の横縞模様が見える.西穂独標にはすぐ着くだろうと思っていたが,歩き始めてからしばらく経って,遥かかなた向こうに西穂独標と思われる山が見え,ゲッと思う.砂利道と岩ばかりで非常に歩きづらい.何度も何度も休憩し,西穂山荘出発から1時間半で(登山地図コースタイム通り),西穂独標頂上(標高2701m)にたどり着いた.
西穂独標より見た奥穂高岳
▲西穂独標より見た奥穂高岳
 疲れたが,西穂独標から見る眺めは素晴らしい.西穂高岳に邪魔されて槍ヶ岳は見えないものの,奥穂高岳をはじめとする穂高連峰が見事である.持ってきたお茶を全部飲みきった(帰りは下りのみなので水分無しでも何とかなるだろうと思い).西宮から来られたという夫婦に会い,チョコレートを分けてもらった.頂上は涼しくて気持ちがよい.30分くらい滞在した後,また西穂山荘へと戻る.帰りは下りであるため楽であるが,砂利道と岩場であるため歩きにくいことに変わりはない.下りは1時間で西穂山荘に到着した(これもコースタイム通り!).西穂山荘で宿泊の手続きを取り,説明を受けるが,トイレ,洗面所の場所は教えてくれたが,風呂の場所を教えてくれなかった...と思いきや山小屋には風呂が無いのだった.去年のみくりが池温泉が例外だったのだ...この汗かいた体で寝るのかと思うと...
 夕食を済ませると特にすることは無い.同室の人といろいろと話し合う.なんと同室の人の中には明日朝3時起きでジャンダルム・奥穂を越えて北穂高まで行くという強者もいた.消灯時間は午後9時だが,皆8時には電気を消して寝る体勢に入った.私は普段0時くらいまで起きているので眠れそうになかったので,携帯ラジオにイヤホンを付けてプロ野球オールスターゲームを聞くことにした.何やら阪神勢が活躍しているようだった.全セが圧倒的な強さで勝利した(どっかの金満某セリーグ球団がパリーグの有力選手を全て横取りしているから当然といえば当然であるが).試合が終わると私も寝ることとした.zzz.

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