2000年信州西穂高旅行記・3日目

7月24日


 朝,5時半に朝食だということで起こされる.今日はあまり天気が良くないみたいでどんよりと曇っている.朝食は昨日西穂独標で一緒になった西宮のご夫婦と一緒だった.ご夫婦は私とちょうど逆行程で今日上高地へ降りるとのことだった.ご夫婦によると新穂高ロープウェイの乗換駅で露天風呂温泉が開業したところで,今開業記念で無料で入れるとのことでお勧めだそうだ.朝食後もロープウェイの運行開始時刻や温泉の営業開始時刻(9:00)を考えるとすぐ降りても意味無いので,近くの丸山に登り朝日でも眺めようとした.しかし天気が曇っていて悪く丸山でじっとしていても仕方がないので適当に時間を潰し(高山植物などを眺めながら),西穂山荘前へ戻った.7時半頃まで西穂山荘前で時間潰しした後,ロープウェイ駅を目指して下山を始めた.今日は眺望は全く期待できないので,ひたすら歩き続け下山する.下りであるため比較的楽であり,かなりゆっくりと歩いたが1時間ほどでロープウェイ駅(西穂高口駅)に到着した.駅の展望所には,新穂高温泉で宿泊し今朝一番のロープウェイで上がってきたと思われるおばちゃん連中が多数いた.おばちゃん連中は,西穂はかろうじて見えるものの,笠ヶ岳を始めほとんどの山が雲で隠れて見えないことで非常に残念がっていた.昨日は奇麗に見えたという情報(私も教えたが)を仕入れると「日頃の行いが悪いからかな」とかいいながら相当悔しがっていた.看板によると北方に槍ヶ岳が見えるようなので,ここからは晴れていれば槍ヶ岳の頂上を見ることができるようだ.
二階建の新穂高ロープウェイ
▲二階建の新穂高ロープウェイ
 土産物屋で土産を買い,ロープウェイで下山しようとしてロープウェイ乗り場へ行くが,切符売り場が見あたらない.とりあえず乗り場で係員に聞くと,乗り場の所で発売してくれた.通常下の駅で往復切符を購入するため,片道しかも下りだけ乗るという私みたいな変人は少ないのだろう.ここ新穂高ロープウェイは最近新しくなり,珍しい2階建ての構造で話題となっている.私は下の階に乗るよう案内された.ガイドさんは下の階だけに乗っており,上の階の様子は監視カメラで下の階のガイドさんが確認できるようになっていた.一気に下っていく.本来正面には笠ヶ岳の勇姿が見えるはずであるが今日は天気が悪いため見えない.下はスキー場になっているようである.わずか7分でロープウェイ乗り継ぎ駅しらかば平に到着した.駅構内においしいそうな匂いをさせたパン屋さんがあり食べたくなったが,まず,昨日入られなかった風呂へ入りたかったので西宮のご夫婦に教えてもらった温泉を目指した.温泉は駅からすぐのビジターセンターの中にあり,教えてもらった通りオープン記念で今日まで無料だった.受付でタオルをもらい入るが,中にはシャワーも蛇口も洗面器もない.汗をかいているため,ある程度体の汚れを落としてから温泉につかりたかったのに,これではしょうがない.かけ湯もせずに温泉に入った.温泉に入ってからもがっかりした.温泉がぬるいのである.風呂に入り汗がとれたのは良かったが,無料だから良かったものの,この設備で通常料金500円は高すぎる.よほど下の新穂高温泉に入った方が良さそうである.温泉はほどほどにしてビジターセンターを一通り見た後,先程のパン屋さんの匂いが忘れられなく戻って高かったが数個購入した(確か「アルプスのパン屋さん」みたいな店名だったように記憶している).下りのロープウェイ乗り場駅へ向かう途中,高山植物園みたいになってあるところがあり,なんとコマクサまでが植わっていた.下のロープウェイの駅名は鍋平高原駅,こちらのロープウェイは通常の1階建のもので規模も小さく,所要4分で下の新穂高温泉駅に到着した.ロープウェイ駅から坂を下っていくとバスターミナルがあった.高山駅行きのバスの時刻を調べていると,今停車しているバスが2分後に出発することが判明し,次のバスなら1時間後であった.したがってバスに飛び乗った.新穂高温泉では何もできなかった.
 バスに乗ってすぐ,槍見温泉というバス停があり,道路のすぐ下に露天風呂があった.ここに入れば良かったかなとちょっと後悔した.天気が良ければここから槍ヶ岳が見えるらしい.バスの中ではさきほど買ったパンを食べる.これがうまい.久しぶりにこんなにうまいパンを食べた.しばらくして平湯温泉バスターミナルに到着した.安房トンネルを越えて上高地方面へ向かう道路との分岐点でもあるため,大きなバスターミナルとなっており,かなりの客が入れ替わった.特に景色が良いということもなく,徐々に標高が下がっていき,外は暑そうになってきた.新穂高温泉出発から1時間半で高山市街へ入ってきた.どこで降りれば良いのかわからなかったのでとりあえず終点の駅まで向かった.
高山の古い町並
▲高山の古い町並
 駅でひだ号の時刻を調べていると,高山観光後ちょうどよさそうな時間の列車は3時間後のひだ号であった(もう一本前に適当なのがあったが富山始発で座席の心配があったためやめることにした).この3時間後のひだ号は1日1本の大阪直通のひだ号であり,私にとってはちょうど良いものであった.駅で高山市内の観光パンフレットをもらい,どこへ行くか検討して高山陣屋へ向かうこととした(高山については勉強不足でどこを巡るべきか全く調べていなかった).高山陣屋は江戸時代の御役所で,内部は非常に広かった.特に屋根の構造が独特で興味深かった.一通り見るのに約一時間も要した.パンだけではお腹が空いてきたので近くの食堂で天ぷら定食を平らげ,高山の町の代表的な景観地区である「古い町並」へ向かう.景観保護地区で確かに小京都と呼ばれるにふさわしい町並みであった.その後屋台会館へ向かうが,列車の出発時間が近づいてきたこと入場料金が高かったことにより駅へ戻ることとした.
 駅で京都までの乗車券と自由席特急券を購入するが,名古屋経由新幹線かと問われ,在来線で京都まで乗ると答えた(そのために大阪直通ひだ号を選んでいるのに!).ひだ号は大阪行き4両と名古屋行き5両を併結しており,ディーゼル特急としては立派な9両編成である.座席は難なく確保でき,ワイドビューと名乗っているだけあって,ハイデッカー構造となっており窓も非常に大きく快適だ.ただ1列前に座った子供がハイデッカー車のために「高いとこから落ちたら負け」とか言って騒いで非常にうるさく,居心地が悪かった.列車は順調に高山線を南下し岐阜に到着,大阪行きと名古屋行きの分割作業が素早く行われる.岐阜から東海道線を西進し関ヶ原を越え米原に到着.米原に来ると関西へ戻ってきた感がする.いつもはここで新快速の座席争奪戦が起こるが,今日は特急車で優越感がある.米原からは前に列車がつかえているのか,あまりスピードが出ない.安土を出たあたりでようやくスピードが出てきた.ひだ号は米原〜京都間の停車駅は草津のみであり落ち着く.列車は定時に京都駅にたどり着いた.(完)

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