モディリアーニ展
人の物の見方というのは不思議なものです。
先月、名古屋市美術館でのモディリアーニ展に出掛けました。
そもそも、特に興美があったわけでもなく、彼について知っていることといえば
単純に「おさげ髪の少女」の作者、首の長い人物画を描く人、ぐらいなものでした。
でも、行ってみるものです。結果、大きな発見がありました。
それは、彼は実のところ、カリアティードというギリシャ宮殿を支える柱になぞらえた
女性像に興味を持ち、アフリカやオセアニアなどの原始美術に触れたりして、
一時は彫刻家を目指していた、というものでした。
展覧会ではその部分についてはパネルでの展示だったのですが、
その一画があったおかげで首の長い人物を描くという謎が解けたのでした。
よく、人によって今こうして一緒にみている世界でも実は違ってみえるのだといいます。
それと似たようなことで、もしある事実を知らないままでいるのと、
知った上で生きていくのとではやはり違ってくるのでは、と思うのです。
それが善いか悪いか、損か得かは別として。
果たして今回は私にとっては目の覚めるような想いでした。
みるからに静かな絵を描きながらも、彼の中では常に探究心でいっぱいであったのだ、と。
<2008.06.15 vol.98>