浜離宮朝日ホール
昨年十二月のことになりますが、浜離宮朝日ホールでの手嶌葵さんのコンサートに行ってきました。
わざわざ東京まで出掛けていったのには理由があって、
一つは手嶌さんの生の歌声がとても気に入ってしまったこと、
もう一つは前からこの会場が気になっていたからです。
二〇〇三年のぴあmapには「米国物理学会から“最高”の評価を得て
世界のベスト9にランクインする音楽ホール」とあり、
コンサートのちらしには「米国音響学会が96年に行った調査では
響きの美しさではNYのカーネギー・ホールと並んで、世界でNo.4に
ランクづけされました」(いずれも記載通り)とあります。
さて、一体どんなホールなのか、どう考えても気になります。
そんなわけで、チケットを手に、二十一日の夕方には無事ホールに到着し、
さっそく会場に足を踏み入れました。
はい、もうその時点で既に違っていました。その、人の発する物音や、声、ざわめきの
響き方からが。
見渡してみれば、造りは(当然)とても重厚で、木と大理石とがすみずみまで
行き届き整然と配置されているようでした。
私の席は十四列の十番で、好運にも会場の真ん中だったわけですが、
その席に座ってもやはり今までにない音の響き方でした。
そしていざ、コンサートが始まってみると、さらにそれを実感することになりました。
通常、“この会場はよく響くね”と言うとそれだけでいいホールのようですが
大体のところ響いたら響いていってしまったままです。
悪くすれば響きすぎてしまう場合もあります。
ところがこのホールでは、音が響いていったきりにならずに、
きれいにまるく収まる、収束するのです。その収まり方がとてもきれいなのです。
無駄な残響が全くない、わきまえた響き、とでも言ったらいいのでしょうか。
お見事、としか言いようがありません。
そんなホールですから、彼女の歌声もとても心地良いものでした。
その声自体、CDに収まってしまうと、本当の良さが半減してしまうので、
この日はきっと最高の舞台だったのではと思います。
予想していた通り充分、満喫することができました。
<2008.02.15 vol.95>