隠し味の音

普段はあまり目立たないところで、音を奏でている…。かといって、きこえてこないと何となく物足りない、そんな隠し味を持ったヴィオラ。

私は、この楽器の何ともいえない音域がとても好きなのですが、ソロのコンサートというと地味なイメージがあるためか、 なかなかお目にかかることがありません。それでも最近は以前と比べると増えているといわれてはいます。 私が初めて行ったのが今井信子さんのコンサートだったのですが、やはりとても素晴らしく、ソロの生の響きに圧倒され続けていたのを覚えています。

さて、ヴィオラのコンサートというと、一度とても残念な思いをしたことがありました。 今年のはじめに豊田でやはり今井信子さんのコンサートが予定されていたのですが、チケットを買いに行ったところ、理由があって中止になったとのこと。 納得がいかず、主催者に問い合わせてみたところ、代わりにヴァイオリンのコンサートを開くのでいかがですか、と言われてしまいました...。

私としては、やはりせめてヴィオラの方に来ていただきたかったのですが、まだまだそんな見方をされてしまうのかと思うと、残念でなりませんでした。

それでも先月、名古屋で松実健太さんのコンサートが開かれ、早速行ってきました。やはり、CDでは味わえないものがあり、というより、 ついついその音の行く先に耳をすましてしまうこのヴィオラという楽器こそ 生で聴くとよりそれを深く感じられるのではないかと改めて思いました。<2000.07.15 vol.9>

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