豊橋小旅行
豊橋市美術博物館の『ヨーロッパ絵画名作展』に出掛けました。
市電に乗るのも久しぶりだったので新鮮な気分を味わいました。
今回の展示で一番期待していたのがバルビゾン派のコーナーだったのですが、
まさに期待以上でした。この日はとても天気がよく、
行楽日和だったためか訪れている人がまばらで、それが逆に私にはとてもありがたく、
田園や森の風景画に囲まれたなかに一人でじっとしていることができて、
とても居心地がよかったです。
図録もいつもなら絵ハガキですませてしまうところを、その作品の一つ一つがあまりにも
秀逸で目が離せず、やはり買わざるをえませんでした。でもおかげで
自宅で思いきり堪能させてもらっています。
さて、二時間たっぷり博物館にいた私は、緑豊かな公園にさそわれて少し歩いたところの
木立ちのそばのベンチに座り、いつものごとく展覧会の感想を書きとめていたところ、
「どこからかバグパイプの音が…」と思ったそのままをメモしながら、え?と思い、
改めて耳をすますと確かに音が。空耳でないことがわかり、音のする方向へ
行ってみるとちゃんといらっしゃいました。バグパイプを吹く方が。
失礼ながら声をかけ、お話を伺うと三月の大須のパレードに来られていたとか。
実は豊橋の方だそうでいつもこの公園で練習をされていらっしゃるとのことでした。
私はバグパイプのあの音が何ともいえず好きで、それをきいて近くに住んでいる人が
うらやましい、と思わず思ってしまいました。
そしてその後はとても贅沢なことにバグパイプの音を遠くにききながら公園を散策しました。
なかなか広い公園で川もあり、その先にはお城もあり、たまたまその日は一般公開中とのことだったので、
せっかくなので中にも入らせてもらいました。
そして戻ってきたところ、向こうからテレビの撮影隊がやってくるな、と思ったら、よく見ると
なんとあの『ポチたま』の旅人と旅犬の“松本君とだいすけ君”ではないですか。
そのまま行ってしまうかな、と思いつつも思わず「こんにちは、だいすけ君」と話しかけたら
立ち止まって“松本君”が「こんにちはー」とこたえてくれたのです。
それに気がついて私の後ろから来た何人かの人が声をかけてきていた中、“松本君”が
「お城はこっちですか」と尋ねてきたので、私はだいすけ君をさわらせてもらいながら
「はい、今日は中に入れますよ」と言うと「あ、そんなんだ」と言いつつ、
少しずつ歩き始め「だいすけ、お城あっちだって。行ってこよっか、じゃ、行ってきまーす」と
言いながらお別れしました。この間わずか一分か二分ぐらいで撮影隊はとっくにお城の方へ行ってしまい
カメラは回っていませんでしたが、二人(?)ともテレビでみているそのままの
“松本君とだいすけ君”でした。
それからは、撮影の様子を見に行く人たちとは反対に、私はまだきこえているバグパイプの音を
ゆっくりきこうとベンチを捜しながら戻りました。近くに藤の花をみつけ、そのまま音がきこえなくなる
一時半ごろまで、藤棚ではなく自由に伸びては咲いている、それは見事な藤の花をながめながら
ポカポカ陽気の春の時間を過ごさせてもらいました。
…楽しいことが一度に来ると、後がちょっとこわいと思いながらも。
<2007.05.15 vol.86>