『ユー・アー』と『N.H.O.』
作曲家スティーヴ・ライヒ氏のことをここで書いたことがあったでしょうか。
今年は生誕七十年だそうです。にしては若々しい。
先月新しく発売されたCD『ユー・アー(ヴァリエーション)』を買ったときに
知人に「ライヒってどうですか」と尋ねられ、まずはきいてみるのが一番と思い、
自分の持っているCDを貸してあげることにしました。が、その際どれを
貸したらいいのかと思いながら改めてきいてみたものの、
逆にどれが初心者向けなのかわからなくなり、結局私が一番初めに買った
『ディファレント・トレイン』と『振り子の音楽』に落ち着きました。
この前者のCDこそ初めてきいた高校生の頃はどこがどういいものか
わからなかったのですが、大学に入り、改めてきいたところ、とてもとてもかっこよくて。
以来なるべく欠かさず新作をきくようにしている作曲家です。
さて「ユー・アー」という曲は、あの素晴らしい「テヒリム」のようでもあり、
まさに総括的な作品でしたが同時収録の「チェロ・カウンターポイント」もよかったです。
個人的にはこちらの方が好きかもしれません。この先もぜひずっと長生きしてかっこいい曲をきかせてほしい。
もし、もしも全集が出ることになったら必ず買うと決めています。もちろんずっと先であることを願うのは当然として。
それから最近買ったCDでもう一枚気に入っているのは『N.H.O』(ニッケルハルパオルケステン)。
ニッケルハルパというのはスウェーデンの伝統的な楽器でちょっと珍しい形をしています。
音はヴァイオリンやヴィオラに似ていますが共鳴弦が複数あってシンフォニックな響きが特徴。
それを六人で弾いています。すごい。
この楽器のみなので、普通ならバンドの中で他の楽器に消されてしまいがちな独特の響きがちゃんときこえてきて、
これで生楽器のみなのか、エコーがはいっているのではないか、と疑うほどに、とてもきれいです。
この二枚のCDのどちらも聞き始めると何も手につかなくなるのが困りものです。
<2006.10.15 vol.79>