映画座談会

先月、同朋大学とシネマスコーレ共同企画の映画座談会に出掛けました。 「人形アニメーションと日本」ということで川本喜八郎さんを迎えての会でした。

第一部では文楽の人形のこと、苦、執心のこと、悟りとは人形の世界と同じではないかという話の後、 新作「死者の書」の主人公郎女の人形を持参され机の上に座らせてみせて下さいました。 三国志の人形の大きさをイメージしていたのですが、ちょうどひな人形ぐらいの大きさで とてもかわいらしかったです。また質問のコーナーでは、質問者全員が三国志からのファンです、 と言うのに対し「テレビってすごいですねぇ」と感心しながら笑っておられ、一番思いの深い人形は、 という質問には「やはり孔明です」と断言され、場内中が(私も含めて)おーっという ため息とともに頷いていました。私から見たこの方の印象としては、 気のいいおじいちゃんという感じで、小柄な方でしたが創作意欲や活力に満ちていて、 宮崎駿さんとイメージが重なりました。 それからもどことなく人形と同じ顔をしている、とも思いました。実は逆でしょうけれども。

そして第二部は映画「蓮如とその母」。
はじめは第一部だけで帰ろうと思っていたのですがキャストを見て驚きました。 音楽・武満徹、ナレーション・小池朝雄,とあってその上地方自治体で製作されたため 一般公開もソフト化もされなかった一作となれば、みないではいられません。 結果、絵巻物のような絵の世界を歩いている人形の姿は映像としてもとても美しく、 また、黒柳徹子さんと岸田今日子さんの人形(声と共に)の友情出演もあり充分楽しませてもらえました。

そのあと帰り際にホールを出たところで「ありがとうございました」とにこにこと見送って下さったのは 川本喜八郎さんご本人。終始なごやかな時間を味わって帰路へと着きました。 一筋ってすごいです。こちらこそありがとうございました。 <2006.05.15 vol.74>

vol. 75へ vol. 73へ





もくじへ戻る