年の終わりに
今年は万博に行ったり、詩集を作ったりしているうちに、いつのまにか一年が終わってしまった
という感じでした。とは言いながら夏には名古屋ブルーノートへ出掛け、
以前から気にしていた大野雄二トリオのライヴをきくことができました。
スタンダードナンバーから始まった前半では「フライ・トゥ・ザ・ムーン」が
私にはとても印象的で、後半は自作のもので
「ゼニガタ・ロック」などルパン三世からの曲。そしてアンコールの「炎のたからもの」の
ピアノソロもとてもとてもきれいでした。
一時間二十分程でしたが、このトリオらしい時間を味わうことができました。
それから、ジャズといえばDVD「ピアノ・ブルース」を忘れてはいけません。
これはシリーズものの中の一作品だったのですが、
この作品だけが監督であるイーストウッド氏の意向で唯一劇場公開されなかったため、
発売されたDVDを購入したところ…これは!一人占めしたいくらい良い出来でした。
ドキュメンタリーなのに少しも堅苦しくなく、次から次へといろんなスタイルが
出てくる出てくる!もうジャズがピアノが好きで好きで楽しくて楽しくて仕方がないという
気持ちが伝わってくる、そんな映像でした。
また、今年のイーストウッド氏の映画といえば「ミリオンダラー・ベイビー」。
この映画の最後はとても衝撃的でしばらくは何も言えないくらい深いものでした。
今でも何もいえませんけれど…。
一見、この二つの作品は対照的ではありますが、それぞれの側から人間の生命の輝きを、
人間そのもののあり方を希望をもって写し出すものでした。
今さらながら氏の表現力の素晴らしさ、というより、その孤高のまなざしの
美しさは本当に恐れいりました。
<2005.12.15 vol.71>