美術館いくつか
初夏にかけて、初めての美術館へ。
まずは、村内美術館「ミレー、コローの版画展」。
単純にミレーがみたいために行きました。家具の店の奥にあって、ちょっとびっくりしましたが、
絵の一つ一つがとても良く、そのおかげか全体としても非常に上品な美術館でした。
選者の美学が伝わってきましたし、もちろんミレーの絵が素晴らしいのは言うまでもありません。
落ち着きました。
次にBunkamuraザ・ミュージアム「ベルギー印象派展」。
残念ながら、あんまり、でした。私自身がもともとホールや映画館等との総合施設というのが好きではないからでしょう。
企画展もミレーをみた後では思考的にとても無理がありました。期待はしていたのですが。
そして損保ジャパン東郷青児美術館「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」。
ここは魅惑でした。ビルの四十二階ということで展望できるスペースが入口付近にあったりしました。
さて、村内美術館でクールベの『ポドスカーフに乗る女』に驚いた私でしたが、
ここでもクールベに驚き、感動しました。日本初公開『出会い、こんにちはクールベさん』。
最初にみたときはどうしてこの絵が、という疑問が浮かんだのですが、解説を読んで納得。
そこには彼の信念がありました。
自分の主義と信念に背くことなく自分の芸術で生きていきたい、世界を旅していれば必ず
理解してくれる人がいるはずだ、(そしてパトロンとなるブリュイアスとの出会い)
私は正しかったのだ。こうしてあなたに出会えたのだから。三人の男性をを正面に据えたこの絵は、
まさにその感動の一瞬を表した絵でした。そう思ってみると何と幸せな構図なのでしょう。
帰りにはジュニア向けのブックレットを購入し、じっくりと勉強させていただきました。
最後に、東京セントラル美術館「北海道の詩歌と書の世界展」。
ここでは『北海道詩歌機構』(北溟社刊)に寄稿した詩作品「北の果て」をお二人の書家の方が揮毫して
下さっていました。書の展示を真面目にみるのは初めてでしたが、
いろんな字体に圧倒されつつ人間の文字の深さに感じ入りました。
<2005.07.16 vol.66>