ラジオ体操
『ラヂオ体操の全(すべて)』というCD(KICG3079)をききました。
『君が代のすべて』と同じように歴史に沿って収録されていたのですが、違っていたのは同じメロディ
(つまり現在流れているラジオ体操の音楽)の様々なヴァージョンが入っているのではなく、
全く耳にしたことのないラジオ体操の音楽が初代、二代目と続くことです。
もちろんラジオ体操の歌も。現在の歌は三代目です。ラジオ縄跳なんていうのもありました。
ご存知でしたでしょうか。
そもそも、ラジオ体操は郵政省(現日本郵政公社)の簡易保険局の業務の一環なのだそうです。
大正五年に始まった簡易保険制度は「死ぬと金が入る」もしくは「保険に入ると死ぬ」という風評があり、
加入者がなかなか増えず、また入っても「死にかけた人が保険金目当てに加入していた」人が多かったのだそうです。
そこで局員がアメリカの生命保険会社メトロポリタン社を視察して知ったのが死なせないための、
長生きさせるためのラジオ体操という手段でした。とはいえ時代の流れにのって、
戦前は天皇陛下のため、戦中は愛国心を、そして戦後は日本を占領したGHQをも恐れさせつつ、
まさに弾をくぐりぬけるようにして進化し、現在まで生き延びてきた事実はなかなかのものです。
これこそ日本人の特殊なところでしょう。CDから現在のラジオ体操(しかもオーケストラ演奏です)が
流れてきたときには思わず私も体が動いてしまいました。
さて、このCDのブックレットにはちゃんと全てのラジオ体操の手順が図解で載っています。
また読み物としてもとてもおもしろいです。夏とはいわず、毎日放送されているラジオ体操。
皆様もいかがでしょう。
<2004.10.15 vol.57>