春、そして春。
地元の話になりますが、三月末で廃線になるという名鉄三河線の猿投と西中金間の電車に、あと五日という二十七日に乗ってきました。
今年一月ごろ、あと三ヶ月あるからと思いつつ、そのまま忘れてしまっていたところへ朝刊に載った記事を読んで突然思い出し、
すぐさま出掛けてきました。
とはいうものの、西中金駅への連絡は一時間に一本。その上最寄の駅にやってきた電車は驚いたことに一両のみ。
中は当然混んでいましたが、久しぶりにレールバス(バスのような格好をしたディーゼル車)だったので
イベント気分で乗り込みました。
その日はとても天気がよく、窓から外を眺めているとあちこちに散歩をしている人や
カメラを手に持った人たちがぽつぽつと立っていて、皆、こちらに向かって写真を撮ったり手を振ったりしていました。
これには何故か自分が見送られているようで変な感じがしました。
そうして三十分程で猿投に着くとホームの向い側に止まっていたレールバス(今度は二両でした)に乗り換え。
客層は私と同じく廃線を惜しんでわざわざやってきた、という人たちが多く、
この駅からはカメラを持った人がさらに増え、行く駅ごとに電車を待ちかまえていました。
やなで有名な三河広瀬駅近くにはとてもきれいな川が流れていて電車はその上の橋を渡り、
枝下の駅では見事な枝下桜に迎えられ、さらに山深く進みトンネルを二つ、三つ抜けました。
途中、二度電車が止まってしまったのですが、サービスでも何でもなく、
二度共、線路内に人が立ち入ったためと放送が入りました。おそらく写真を撮るためだったのでしょう。
でもそのおかげで二度目はちょうど竹林の青く美しい立ち姿に囲まれて、それを窓から充分楽しむことができました。
そしてようやく西中金の駅に到着。たった片道十五分の時間でしたが、
山あり川ありといろんな要素が凝縮されていてすっかりひと旅行した気分にさせてくれました。
「お疲れさま、そしてありがとう。」
さて。四月に入り、私の仕事場でも変化がありました。もうひとつの新しい春を感じる時です。
<2004.04.15 vol.51>