よろこびもかなしみも

新しい年を迎えました。今年もよろしくお願いします。

『立原道造の詩による作曲一覧』をかたちにしようと思い立ったのは、確か昨年の九月の終わり頃でした。 第一回の打ち合わせを十月半ばに行い、その後合計六回の推考を重ねてこの度ようやく、 あさぎ色の冊子体となって出来上がりました。

ほぼ三ヶ月。普段仕事をしている上での作業でしたので、頭の中が行ったり来たりと忙しく、 けれど終わってみると長かったような短かったようなという感じです。 それにしても編集というものはやはり大変な仕事であるとつくづく実感しました。 ある時点では気がつかなかった間違いが、日を置いてみると目に留まる、というパターンは度々でした。 プロの人にチェックの仕方を是非教わりたいと思ったほどです。 それから締め切りを延ばしに延ばしてしまったのは他でもない、この私。 「残るものだから」という気持ちと、それでもどこかで区切らなければならないという気持ちとの葛藤もまた大変でした。

そして何とか自分なりにも納得し、製本に出し、迎えた十二月二五日。朝から冊子のサンプルの確認をしに出掛け、 その出来映えに充分満足して帰宅してみると、祖母危篤の知らせ。急いで向かいましたが、結局クリスマスが命日となってしまいました。 あまりに突然のことで、しばらくは頭が働かず、何かをしていたとしても勝手に涙がこぼれてくるので、自分はこんなにも祖母のことが好きだったのだと思わずにはいられませんでした。

結果として、私にとっては複雑な思いで出来上がったこの冊子ですが、皆様の目にはどう映るでしょうか。
資料編を加えたことで、よりお役に立てれば幸いです。 <2004.01.15 vol.48>

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