旅の宿
旅行の話が続きますが、行ってきました。
信州は渋温泉の金具屋に。
以前テレビで紹介されたのをみて、一度泊まってみたいと思っていた宿です。
これまでにも二度(気になる)宿に泊まるための旅行を計画したことがあります。
一度目は東京ステーションホテル。ここでは運良く、川端康成が利用した317号室に泊まることができました。
二度目は立原道造が軽井沢を訪れる度に滞在していたという追分の油屋旅館。そしてこの金具屋で三度目の宿旅行となりました。
さて、なぜ行きたいと思ったのかというと内装がまるで「千と千尋の神隠し」に出てくる油屋のように凝っていたから。
…というからにはやはり、合わせて四棟からなる建物の中で一番古いその斉月楼に泊まらせていただくことにしました。
まず、玄関を入ると当然すぐに帳場があるのですが、なぜかほっとしたのは、床が板ではなく畳だったからでしょうか。
そして斉月楼二階の部屋、蓬来軒に通されたときも、入り口からまるで家に帰ってきたような気分になったのは、
ただ古いからというなつかしさばかりではないように思えました。さすがに昭和の初めの頃に造られた数寄屋づくりの
建物だけあって、その歴史の重みは充分に感じられました。
ですがそれだけでなく、そこに含まれる落ち着きと安心感がまた、ほど良い心地良さを滞在中常にもたらしてくれたような気がします。
数ある内湯という、おいしい料理といい、こじんましとした温泉街といい(そのこじんまり具合がちょうどよかったのです)、
今回はたった一泊でしたが、ゆとりがあれば、二泊でも三泊でもしたくなるようなそんな居心地の良い宿でした。
いつか次には夏にでも、一度ならずもう一度、泊まりに行きたいものです。
<2003.4.15 vol.40>