コンピュータと人間

さて、前回の続きです。

対ジャム戦を繰り返しながら、零は雪風との関係を親友でも恋人でもなく、トレーナー(教師)であると自覚して、その存在を理解し、より深く近づこうとします。裏を返せば、人間が作り出したはずのコンピュータが、知力を持ってしまったがために、今度は人間がそれに対応し、学習しなければならなくなってしまったわけです。

この『グッドラック…』を読んでいて、一つ、アシモフ博士の『鋼鉄都市』からなるロボットシリーズを思い出しました。これは、主人公ベイリ刑事がロボットであるR・ダニールと組んで事件を解決していく物語です。この二つの物語に共通するのが、人間と機械である零と雪風、ベイリとR・ダニールの間に次第に確立されていく強い絆です。人間にとって機械とは?機械にとって人間とは、そして感情とは?

普段、人間同士がつき合う上で、不可欠な友情と信頼。そろそろそれをコンピュータとも共有する方法を考え、学びはじめなければならないのかもしれません。最もこれはもの好きな一SFファンの単なる思いつきですが…。

とりあえずは、初心にかえってものを大切にすることを忘れずにいたい、そう思っている私です。 <2000.02.15 vol.4>

―参考―
I・アシモフ著 ハヤカワ文庫
   『鋼鉄都市』
   『はだかの太陽』
   『夜明けのロボット 上・下』
   『ロボットと帝国 上・下』
※このシリーズは著者が亡くなったため未完。とても気に入っている作品なので、今なお残念でなりません。

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