ミレー展

名古屋ボストン美術館で開催中の、ミレー展に行ってきました。はじめは行く予定はなかったのですが、「人と自然へのあたたかなまなざし」という宣伝文句をみて、突然行きたくなり、先月二十一日に祝日にも関わらず混むのを覚悟で出掛けてきました。
(ところで...なぜ行くつもりがなかったのかといえば単純に、以前に一度松坂屋で開かれたミレー展に行ったことがあったからです。それに好きな絵が来るわけでもないし...と思っていました。)
さて、今回私は、一七年前、一体何をみていたのだろう、と思いながら....おそらく上手な絵!ぐらいだったのでしょう....結局一時間半近く、つかまっていました。 それほど展示数があったわけでもなく、それでも会場から離れがたかったのは、どの絵の中にもある『時間』でした。その『流れ』そのものでした。そして『土のにおい』。
それらの絵をみるだけで、私には、なぜ彼がその題材を選び、好んだのかという理由と答えが素直に伝わってきたような気がしました。 ただ、風景や人物を写しとったというだけの、その描写が優れているというだけの絵ではなく、彼の哲学そのものがしみこんでいるようでした。 農民たちのあたりまえの生活をあたりまえの姿をごく自然に選び描いている。そんな日常のなにげない素朴さを示されたことで、かえってそれがとても強く印象に残った展覧会でした。
九月の最終日までに是非もう一度行きたいと思っています。 <2002.04.15 vol.30>

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