別冊 立原道造
「国文学解釈と鑑賞」別冊立原道造が発売されました。そのこともあって、つい今、久しぶりに立原道造の詩集をめくりながら少しだけ思いにふけっていました。
私が彼の詩に出会ったのは、ある書店の詩のコーナーでした。友人の誕生日に何か本をと思っていたところ、
みつけたのがサンリオ刊の小詩集「夢みたものは…」。まずタイトルに興味を持ち、
ページを開いて同名の詩を読んで瞬時に感動し、即座に購入したのがきっかけでした。
その後、別の機会に手にした詩集の中に「萱草に寄す」という、彼が生前に出版した詩集の写真が載っているのをみて、第二の感動がやってきました。
まるでブライトコップかペータースか(いずれも海外の楽譜出版社)と思うような楽譜のような装丁は、私の想像力をかきたてるのには充分すぎるものがあったのです。
彼の音楽とは、彼のうたいたかった音楽とは?そして彼の中の絶えず巡り続けていた音楽とは一体どんなものだったのか?
そう思いながら詩の言葉の行間にまで目を凝らし、耳を傾け、何度も読み返したものでした。
けれど読めば読むほど、そのどの詩もが心にキュッと入りこんだと思ったら、いつのまにか風のようにすりぬけて
いってしまっていました…。でもそれこそ、今となってはそのかたちこそ音楽そのもののかたちと同じであり、彼の表す音楽そのものでもある、そんな気がしています。
私は今回この出版に参加させていただいて、改めて多くのことを学ばせていただきました。
どうぞ是非一度、この別冊を手に取って、関わった方々の立原道造へのさまざまな想いの重さを感じとっていただければと思っています。
<2001.04.15 vol.18>