マイルズ・シリーズ
二十一世紀を迎えました。
新世紀ということで、今年もよろしくお願い致します。
さて、今年最初の読書となったのが、前作から三年、私にとっては待ちに待ったロイス・マクマスター・ビジョルド氏の新刊である「バラヤー内乱」(創元SF文庫)。
まさに新しい世紀を迎えるにふさわしい作品でした。既に発刊されているマイルズ・シリーズの邦訳七冊目になるのですが、またしても深い感動を抱かざるを得ませんでした。
ビジョルド氏の書く登場人物たちは、どうしてこうも、人間味豊かでかっこいいのでしょうか…!
私がこのシリーズの第一作目「戦士志願」を手に取ったのは初版された九十一年のことでした。これは貴族に生まれながら生来の身体的ハンデの
ため、一度は士官学校への道を閉ざされるけれど、宇宙軍への憧れを捨てきれずに宇宙へとびだしていくマイルズのサクセス・ストーリー。
まずはそのあらすじに興味を持ったため、購入したのですが、読みはじめてみるとその主人公マイルズのかけひきの上手さが、
心理描写と場面展開の適確さで巧みに表現され、どんどんひきこまれていく自分がいました。マイルズはこの作品を通して、たとえミュータントといわれても、
知性ある人間として勇気をもって行動することのすばらしさを、またその誇らしさを、私に教えてくれました。そしてビジョルド氏は、
これまでのシリーズを通して、人間が人間として生きるということ、自分を信じ他人を信じるということはどういうことなのかを
毎回気づかせてくれているように思います。
今回の「バラヤー内乱」はマイルズの母、コーデリアを中心として描かれていますが、とにかく生きています。半端ではありません。
次回の邦訳は初のファンタジー作品ということで、こちらも今から首を長くして待つつもりです。
<2001.01.15 vol.15>