イギリス風景画
豊橋市美術博物館での「ターナーから印象派へ」に出掛けてきました。
これで二度目の来館です。最初にこの企画展名をみたときに、
ターナーばかりだったら(以前に行ったこともあるので)行かなくてもいいかな、
と思っていたのですが、八月に入ってから新聞の特集記事を読んで、
イギリスの風景画展ということを知り、急きょ訪れました。
結局、前回以上の二時間半、すっかり堪能してしまいました。
水彩画もあり、一つ一つの絵は小さいものが多かったのですが、
その自然(対象)をみつめる視線のやさしいこと。
緑の色がそれぞれに美しく、たくさんの風景画のかこまれてまるで
風景そのものの中にいるかのよう。
その木々の中に、その大地の中に、その空気の中にいるかのようでした。
例のごとく何度も行ったり来たりしてしまって、
そのまま会場からはなれられなくなりそうなほど、よかったです。
ただ、中にはターナーを目当てに来られた人がいらしたようで、
思ったよりターナーの絵が少なかったらしく、残念な様子でしたが、
私はむしろその逆だったので大満足でした。
けれどそうなると企画展の名称に問題ありだったのかもしれません。
私としては危うく逃すところだったのですから。
そしてそのまま公園の散策へ。風景画から現実の風景へとまるで
渡り歩いたかのようでしたが、緑あふれる豊橋公園は
大きな木が多く、相変わらず木立ちが見事でした。
暑い日でしたがほどんど葉陰におおわれていたおかげで心地よく、
涼やかでした。途中、赤い実がちらほらしていたので
札をみるとサンゴジュとありました。なるほどサンゴのようでかわいらしかったです。
川の方へ歩きながらもほとんど誰とも会うことなく、
木々を見上げながら時々立ち止まりながら、静かな時間をいただきました。
さて、話は変わりますが、去る五月に作家の栗本薫さんが亡くなられました。
本当に本当に残念です。
以前とある時期、私はグイン・サーガを読んでいました。
百巻出すつもりということを知りながら読み始めたのですが、
そのスケールの大きさに途切れ途切れに読むよりは完結してから
一気に読もうと思い直し、五十巻手前あたりでそのまま中断。
やがて巻数は七十、八十を越え、百巻を越えてもまだ終わらず、
いまかいまかと思っていたら突然のこと…。
完結しないまま亡くなられてしまうなんて私の野望は一体…。
終わらない、というのもグイン・サーガらしいといえばらしいのですが、
今となっては未完覚悟で読むべきかどうかとても悩むところです。
今月のSFマガジンの表紙は加藤直之さん作画によるグインです。
彼もこんな顔をするのですね…。御冥福をお祈りします。
<2009.08.15 vol.112>