イリアン・パイプ
6月に浜松市楽器博物館のレクチャーコンサート「郷愁のアイルランド〜イリアン・パイプの世界」に
出掛けてきました。演奏はマイキー・スミスさん。レクチャー役は守安功さん雅子さんのご夫妻。
イリアンはゲール語で肘という意味で、イリアン・パイプは口ではなく肘を使って
空気を送り込むもので、バグパイプの中でも最も複雑に進化した楽器のことです。
また単音だけではなく合計7つの音を出すことができ、そういう意味では演奏技術も難しく、
マスターするには何年もかかるのだそうです。
さて、そんなイリアン・パイプですが、その名手といわれるマイキーさん。
この時期の日本、湿気の多い6月に演奏するのは非常に難しいそうなのですが
(皮の袋が使われているということもあって)全くそんなことを少しも感じさせない素晴らしい演奏でした。
ピアノのように叩けばまずは音が出る、と同じくらい安々と演奏していて。
曲も、中には私も知っている曲があって装飾音の入れかたとかずいぶん勉強になりました。
ケッシュジグ、ハーヴェスト・ホーム、マーチ調のアメイジング・グレイス等。
また、マイキーさんその人も27才ととても若く、楽しくてお茶目な感じの方でしたが、
演奏だけでなく、とても詳しく楽器の説明をしてくれて、その熱心さに音楽への愛情をとても深く感じました。
そして一番最後にアイルランド国歌の演奏があり、会場内全員起立の上で(国歌ということで)
聴かせてもらったのですが、その後、マイキーさんが「リバーダンスやラグースのように(ご自身が参加されていたそうです)
派手な照明や演出がなくても、この楽器と音楽のためだけにこんなに真剣に熱心に耳を傾けて下さる皆さんと
一緒に過ごせたことは本当に幸せです。
魂の食事をさせてもらえて本当に嬉しいです。ありがとうございました。」と言って下さいました。
それこそ、マイキーさんのお人柄でしょう。こちらこそ、でした。
振りかえれば、ほんの2時間でしたが、本当に貴重で充実した2時間でした。
同じ時間を共有できて、本当に本当によかったです。
<2009.07.15 vol.111>