J.E. ミレイ展から
九月。渋谷のブンカムラ・ザ・ミュージアムでの「J.E. ミレイ展」に出掛けました。
『オフィーリア』で有名な画家です。以前に一度みていたとはいえ、
この画家だけの企画展というのは、はじめてということもあり、とても楽しみにしていきました。
そしてその期待通りでした。色といい、筆使いといい。
コローを見終わったときの印象とはまるで対照的で、その今を生きている、
という生を感じました。また、絵に対する愛情がとても深く、
しかも生き生きと伝わってきて、その独特の力強さが非常に印象的でした。
中でも気に入ったのが『両親の家のキリスト』『ローリーの少年時代』『きらきらした瞳』
(この絵も二度目でした)の三点。そして最後に飾られていた風景画のどれもが
豊かでまるでその場に立っているかのように思えて、まさに絵の中に
ひきこまれるようでした。
さて、その後。表参道の岡本太郎記念館に向かったのですが、その途中
とても珍しいことにちょうどお祭りだったらしく、あの渋谷の真ん中をどこからともなく
御輿をかついでやってきたハッピ姿の人々と通行人の人々とが所々で入り交じる、
という普段にない光景を目のあたりにしました。
もちろん交通整理の人もいましたが、わっしょい、というかけ声と太鼓の音と
一緒に細い路地からさえ、御輿が踊り出てきたりして、なかなか風流でした。
そんな中、十五分程歩いて記念館に到着。
そこはもともとがアトリエであり、住まいでもあったそうで、
そのせいかその気配が随所に感じられて、まさに独特の雰囲気。
他にはない、いい体験をさせてもらえました。
そして日が変わって次の日には、朝から静岡県立美術館へ出掛けました。
ここは私の好きな美術館の一つで、今回は「十二の旅」ということで
十二人の作家を通して、イギリス美術を眺めるという企画展。
みたかったのはコンスタブル、ターナー、ゴールズワージーでしたが
他の作家群も様々でどれも楽しむことができました。
あと以前立ち寄れなかったロダン館も今回はじっくりみることができました。
あれだけの大きさのものを広々とした空間でゆったりとみられるというのは
本当に贅沢です。
その余音のまま外に出ると風にそよいだ木立ちが私を迎えてくれました。
緑の中の美術館はそれだけで、私のとって、憩いです。
<2008.10.15 vol.102>