(前ページより)
 第三巻の原題は『島のアン』。カナダ本土の大学へ行ったアンは、かの地でも魅力的な人柄と優秀さによって、ますます人気と評判を高めます。そこでアンと言えば、プリンスエドワード島から来たアンという意味をこめて『島のアン』です。このようにヒロインの活躍の場が広がっていく様子が、シリーズのタイトルに表現されているのです。
 日本語訳では昭和二十年代に『赤毛のアン』を訳された村岡花子先生が『赤毛のアン』『アンの青春』『アンの愛情』という邦題をつけられ、日本の読者には定着しています。そこで読者の便宜をはかって拙訳もならうことにしました。と同時にモンゴメリがアンの成長を示唆してつけた本来のタイトルもご紹介したいと思い、本書のカバーと表紙には原題も英文で表記いたしました。『アヴォンリーのアン』は、英語の頭韻を踏んだ美しいタイトルです。
──『アンの青春』(モンゴメリ著、松本侑子訳、集英社)の「あとがき」より。
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