アンの愛情の言葉 第15回
フィリッパの言うシンプルな暮らし……、それは質素、地味、というだけでなく、無駄なものがそぎ落とされた、すがすがしい生き方、静かでありながら、充実した生活ではないかと思います。
表面的な流行、物欲、ゴシップ、まわりの動き、人々の言葉といった外界に左右されるだけの、浮薄で、主体性のない暮らし方ではなく、落ちついた時間のなかで、ささやかなものにも目をとめ、美しさを味わい、その美が自分のなかにも満ちてくるような時間……。
あるいは、自分の内面を見つめ、理想とするものを静かに考える。そこから自分の歩いていく道すじを見つけ、自分を高めていくような暮らし……。
それはまさに、アンの精神的な生き方に通じるのではないかと思います。
この小説『アンの愛情』では、気だてはいいものの、お嬢さま育ちで、目に見える物質的な世界だけに生きていた、ある意味では通俗的なフィリッパ・ゴードンが、アンの良き感化をうけて、人の内面といった目に見えないものの尊さ、ささやかなものの愛おしさを理解できる深みのある女性へと成長していく姿が、ありありと描かれています。
今日の言葉もその一つ……、小さな場面ですが、心に残るすてきなエピソードです。
あなたも、ぜひ暮らしのなかに、あなただけのすてきな「雪ひら」を見つけて、どうぞ、その美しさを心ゆくまで味わってください。
新しい2005年も、どうぞよろしくお願い申しあげます。
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★〆切間近です!
1月29日(土)開催の講演会『赤毛のアンに隠されたシェイクスピア』
お電話、インターネットでのお申し込みは、1月15日(土)までです。
お電話での受付は、朝日カルチャーセンター受付係(03-3344-5450または03-3344-1945)へ。
それ以降は、会場の朝日カルチャーセンター(新宿住友ビル)の事務所のみでの受付となります。
ご参加の方は、どうぞお早めにお申し込みください!
みなさまのご参加を、心よりお待ちしています。
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