アンの愛情の言葉 第15回
「みんな、雪が降ってきたわ。庭の小径はどこもかしこも、この上なくきれいな形の小さなお星さま、十字架が散っててよ。雪のひとひら、ひとひらが、こんなに繊細だったなんて、前はちっとも気づかなかったわ。シンプルな暮らしをしていると、こうしたものに心をとめるゆとりがあるのね」──第17章 フィリッパ・ゴードンの台詞
"It's beginning to snow, girls, and there are the loveliest little stars and crosses all over the garden walk. I never noticed before what exquisite things snowflakes really are. One has time to notice things like that in the simple life."── Chapter 17 "ANNE OF THE ISLAND" by L.M.Montgomery
お正月はいかがおすごしでしたか?
私は十年ぶりくらいにお正月に帰省して、ふるさとの出雲で家族とすごしました。
ふぶきのぼたん雪、あられ、みぞれ、はかない小雪と、さまざまな雪が降りました。
その気配、屋根にあたる音、頬にふりかかる感触、つんとする匂いに、子どものころの冬を、遠く懐かしく思い出しました。
さて、今日の言葉は、アンの大学の同級生、フィリッパ・ゴードンの台詞です。
彼女は、ノヴァスコシア州でもかなり古い名門の令嬢で、大学に入ってからも、華やかな社交に明けくれ、豪奢な日々を送っていました。
ところが、二年生の秋から、仲良しのアン、プリシラ、ステラの四人で、気持ちのいい小さな一軒家「パティの家」を借りて、共同生活を始めたのです。アンたちと同じように倹約をして、質素ながらも楽しい暮らしに入ったのです。
すると、パーティや贅沢にうつつを抜かしていたころには見えなかった雪の結晶、そのこまやかな美しさに、初めて気がつきます。(次へ)
驪次へ麗戻る黎目次戀トップ