第1章 怒りっぽい隣人 (1)>

(1)ヴァージルの詩を読みとこうと、かたく心に誓っていた(p9)……ヴァージル(ラテン語名ウェルギリウス、前七○〜前一九)は古代ローマの詩人。
 アンはラテン語の古詩を読んでいる。
 『赤毛のアン』の最後で大学進学を断念したかわりに文学部に進むのと同じ勉強を家で学ぼうと決意し、クィーン学院を卒業したこの夏に早くも独学を始めている。

(2)今では滅多に使わないラテン語(p9)……ラテン語は、かつてはカトリック教会の公用語であり、中世以来学術語、外交語だったが、今は一般の書き言葉、話し言葉には使われない。
 『赤毛のアン』でアンは十代前半からラテン語を習った。現在も欧米の学校ではラテン語クラスがある。

(3)ハリソン(p10)……語源は「ハリィの息子」。ハリィは男性名であると同時に「襲撃、攻撃」という意味があり本書で初登場するハリソン氏が怒れる隣人として怒鳴りこんでくる状況と符合するのが興味深い。
 ハリケーン(暴風雨)のハリも同義。
 ハリソンさんの名のジェイムズは新約聖書に出てくるキリストの十二使徒ヤコブの英語名。[Re]
黎記号について
麗本文
驪目次 戀トップ