第1章 怒りっぽい隣人 (12)

「その子たち、どんな感じ? 年はいくつ?」
「六つをすぎたところで、双子なんだよ」
「まあ、私、双子にはとくに興味があるの。ハモンドさんのところで何組も育ててからずっとよ」アンは目を輝かせた。「その子たち、可愛い?」
「可愛いも何も、どろだらけで、よくわからなかったよ。デイヴィ(16)が外でどろ饅頭まんじゅう)をこしらえていたところに、ドーラ(17)がデイヴィを呼びに来たんだよ。そうしたらデイヴィがドーラを、どろ饅頭のいちばん大きなのに、頭から押し倒してね。ドーラが泣くもんだから、デイヴィは自分もどろんこに入って転がりまわる始末だ。何も泣くこたないってドーラに見せようとして。メアリが言うには、ドーラは本当にいい女の子なんだが、デイヴィは悪戯いたずら)ざかりのようだ。あんたなら、きちんと育ててくれる大人がいないからだって言うだろうね。父親は双子が赤ん坊のときに死んでしまったし、メアリはその時分から病気がちだったから」(つづく)
黎次へ 麗戻る
驪目次 戀トップ