母子の会話(2)

   入院の喜劇
長男がまだ2歳くらいの頃、彼の父親が入院した。(当時は私の夫だった。)
耳の手術のため、当然耳鼻咽喉科の病室に入れられた。自力で痰の切れない人などのためにバキュームが備えられているが、慣れないとその音を聞くだけで気分が悪くなる。
 
手術当日、ショウイチはトメばあちゃんに預け、私は元夫に付き添うこととなった。
私の母も、私一人では心細いだろうとついてきてくれた。
昼頃に手術が始まるので、母と二人、食事は彼が手術室に入ってからにしようと思った。
 
バキュームの音が絶えずあちこちから聞こえる病室で食事などできたものではない。
 
「じゃ、奥さん。今から手術室に連れて行きます」
と、看護士さんに言われ、母と二人で彼を見送った。
 
「さ、ご飯食べようかね」
さすが親子! ハモっている。
二人でスタスタと食堂へ向かい、久しぶりの無駄話に花を咲かせ、
「そろそろ病室に戻らんと、帰ってくるバイ」
の母の言葉に、病室に戻ったが、待てど暮らせど、夫は戻ってこない。
 
1時間半の手術予定が、長引いて3時間経っても戻ってこない。
そこで、二人はハタと気が付いた。
 
どこで手術が行われているのか、知らないのだ。
二人ともお腹がすいていて、食事のことばかりが気になり、手術室の前まで見送らなかった。
いまさら、看護士さんに尋ねるわけにもいかない。
ひたすら二人は病室で待つこととなった。
 
それでも、なかなか戻ってこない。
母は帰りのバスに間に合わなくなると言って、私を残して帰ってしまった。
 
しばらく待つ私…… クー、クー。
 
「あらッ! 奥さんッ! 旦那さんが帰ってきましたよ。ベッドから降りてください。起きてください!」
 
更新日時:
2004/02/29

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Last updated: 2004/8/25