夫が入院したのは大学病院で、当時は道も悪く、車で行っても2時間はかかっていた。
片道運転しただけで私はヘロヘロになり、たどりつくやいなや、夫のベッドに倒れんでいた。
「のいて! くたびれチョーとやき。私は寝る! いいやろ。あんたは毎日ずーっと寝ちょーとやき。」
そして、クーカー、クーカーと私は眠りこける。
「○○さん、起きらんね。日が暮れるよ。もう帰らなとばい」
夫が起こしても、起きないので、トメばあちゃんが遠慮がちに私を起こす。
日曜日ごとに繰り返す光景だった。
が、ある日のこと、私が病室にたどり着くと同室の人たちがクスクスと笑っていることに気が付いた。
「なし、あの人たちは私を見て笑いよーと? なんか変な格好しちょうかね?」
と、夫に聞いてみると、こんな返事だった。
「そら、そうやろー。病人をベッドから追い出して、見舞いにきたお前が寝ちょんぞ。皆、可笑しいくさ」
「なん、言いよん! あんたは毎日、一日中寝ちょーやろ。私はここまで来るのにとっても疲れるんよ。いいやんね、週に一回ぐらいゆっくり寝たっち」
かくして、夫は実母と長男との楽しいひと時を過ごしたのであった。
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