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半茶_の_日記_4月

9万ヒット記念企画:お題募集企画は、予定より早いのですが、最後のお題が寄せられてから丸一日が経過いたしましたので終了とさせていただきます。ご協力いただいた皆様方、どうもありがとうございました。 040431

感想:疲れた。
とは言え、お題があれば、いくらでも書けることがわかったのが収穫でした。その他にも、困ったときには探偵を登場させればなんとかなるということや、何も思い浮かばなくても、とりあえず書き始めればいつかはまとまるものだ、ということがわかったのが大きな収穫でした。

言い訳になりますが、ほとんどの雑文が書きっぱなしでアップして推敲する暇がなかったので、出来がちょっとアレがアレですが、お祭りということで大目に見ていただけるとありがたいです。
予測に反し、どうやってこんなお題で書けるのかと悩みこむようなお題が少なくて、皆様のやさしさに触れることができました。

疲れるので、もう二度とやりません(笑)。

最後に、改めてこの企画に参加してくださった方々、読んでいただいた方々に感謝の意を表します。どうもありがとうございました。

21.読んだらたたみなさい。 040431

(美帆さまのお題です。どうもありがとうございました。)

問題:下記の日本語を英訳しなさい。

読んだらたたみなさい。

解答:When you get 4 dollars. you must watch igusa-carpet.

(解釈:日本円にして約四百円を稼ぐ為には、何枚畳を作らないといけないか。畳を見て労働の大切さをじっと噛み締めなさい。)

20.「スプレーをぶちまけてくれ」「三十円足りない」 040431

(しょっつる さまのお題です。どうもありがとうございました。)

去年の話です。
小渕君はスポーツ万能で、投げても打っても蹴っても回りからナイスプレーと言われ続けたので、いつしかあだ名がナイスプレー小渕とつけられました。
体育祭の前日のある日、小渕君は親友の福田君に呼び出されました。
「お願いだ。ナイスプレー小渕、負けてくれ。」
福田君は、学級対抗リレーのアンカーとして赤組の期待を一心に背負っていました。それに大好きな真紀子ちゃんに、学級対抗リレーで優勝したら付き合ってあげてもいいわよと約束されたのです。ここは卑怯な手だと思いつつも、親友の小渕君に八百長をお願いしたのです。
小渕君は不正は嫌いでした。でも、他ならぬ親友の福田君の頼みなので断りにくかったのでした。小渕くんは友情と正義を秤にかけて悩みました。悩んで出した結論はこうでした。友情の為に勝負に情けを欠けるのは、それは結局のところ友人の為にはならない。でも、福田君がどうしても勝ちたい気持ちは理解できる。そこで、僕は負けてあげるが、それは友情の為ではなく、金銭を対価として商売として負けてあげる事にしよう。そうすれば友情にヒビが入ることもない。ドライにいこうじゃないか。これはビジネスなのだ。福田君はなにか二人の友情に割り切れないものを感じましたが、結局勝つことの誘惑に勝つことは出来ず、この申し出を受け入れます。小渕君はリレーの八百長代として六百円を請求しました。なんだ、それっぽっちか。やっぱり小渕君はビジネスだよといいつつも、友情を優先して格安で引き受けたのだなあ。持つべきものは友人である。真紀子ちゃん、俺の勇士を見て惚れ直すがよい。交渉成立です。その代金は、袋に入れてこっそりと小渕君の下駄箱の中に入れておきました。
さて、体育祭当日、いよいよフィナーレの学級対抗リレーです。二人のチームはデッドヒートを重ねます。さあ、小渕君と福田君にタスキが同時に渡った! 福田君は自信満々に全速力でトラックを駆け抜けます。あとゴールまで20m! ああ、なんということでしょう。福田君の隣をすごい速さで小渕君が追い抜いていくではありませんか。福田君はあせって追いつこうとしましたが、全く追いつけません。そのままゴール。福田君は負けてしまいました。がっくりと膝をついた福田君にクラスのみんなは、惜しかったなあ、でも小渕君になら負けてもしょうがないなあ。よくやったよと声を掛けてくれました。でも福田君は納得いきません。
体育祭が終わったあと、福田君は小渕君を呼び出してなじりました。
「約束が違うじゃないか。」
「約束? 約束が違うのはそっちの方じゃないか。これはビジネスだと言っただろう。僕が請求したのは六百円。君が払ったのは六百円。」
「それでいいじゃないか。約束どおり負けてくれなきゃ困るじゃないか。」
「何を言っているんだい。ビジネスなんだから消費税を払ってもらわないと困るよ。六百円の5%だから三十円足りない。だから契約は不成立だ。」
ああ、なんということでしょう。日本の税制が二人の友情にヒビを入れてしまうとは。
時の小泉内閣は、この事態を重く見て、消費税の表示方式を外税から内税に変えるよう法律を改正したということは、イラク問題の陰に隠れたためあまり知られていない。

19.萎びたシクラメン 040430

( 美帆さまのお題です。どうもありがとうございました。)

しょうがないなあと思いつつ、自分の欲望に忠実に従い 大人の科学4号を買った。
なかなか最近は見かけない鉱石ラジオ(付録)に吸い寄せられたからである。
びんぼうで電気が止められている人でも聞けるラジオである。
たんたんと作業して組み立て聴いてみたが音が小さい。
しかたないとは言え、やはり鉄筋の部屋の中では辛いものがある。
くろうして小学生の頃作ったやつは何処へやってしまったんだろう。
ラジオのキットもいくつか作ったのだが、もう全部行方不明である。
メーカー品の完成した鉱石ラジオなんて売っているのだろうか。
んがとと。

18.銀のホタル 040430

(龍備 さまのお題です。どうもありがとうございました。)

そして僕と彼女は手を繋いだまま、無言で暗闇の渓流を眺め続けていた。
「あ、あそこ。光っている。」
彼女が最初に光を見つけた。一つ、二つ。淡い点滅する光が空中を飛びまわっている。銀の蛍。「あの蛍は、きっとあいつの生まれ変わりだよ。」
「そんなわけ、ないじゃない。……あなたって、いつまで経っても非科学的ね。」
い、いやそんな強い口調でいわなくったっていいじゃないか。
「だいたい、あなたは蛍がどういう仕組みで発光するか知ってるの? ホタル・ルシフェリンとアデノシン3リン酸(ATP)が、ルシフェラーゼとマグネシウムイオンを触媒として、ルシフェルアデニレートとピロリン酸に反応して、さらにルシフェルアデニレートとピロリン酸が、ルシフェラーゼと酸素を触媒にして、ルシフェリンアデノシンリン酸と酸素に反応するの。それでもってルシフェリンアデノシンリン酸と酸素が、ルシフェラーゼを触媒にして、酸化。ルシフェラーゼの種類によって、ルノール型、ケト型ジアニオンが形成され、それぞれ、黄緑、赤の光子を発するのよ。」
あ、そうなんだ。勉強になりました。でもいつも思うんだけど、君はちょっと即物的すぎて、ロマンチックというかなんというか、人間臭さに欠けるような気がするんだが。
「何言ってるのよ。そういう見せ掛けのロマンに溺れるのは誰だって出来るのよ。本当に人間的といえるものは、そういう見せ掛けだけの人間臭さを剥ぎ取って剥ぎ取って、極限まで捨てて、それでも残っているものが本当の人間臭さなのよ。」
ふうん、なんとなく納得できるようなできないような。ひょっとしたら彼女は本当は僕以上のロマンチストなのかもしれない。
「ほら、見て見て。蛍の点滅パターンを。あれは求愛の発光パターンで今からセックスしようという合図なのよ。」
やれやれ、身も蓋もないなあ。

17.「金魚鉢大爆発」「どうしてムーミンにこっちを向いてほしいのかということ」「レモンティの変」 040430

(夏したい さまのお題です。どうもありがとうございました。ひょっとして夏死体ということは乙一さんではないでしょうね。)

どうしてムーミンにこっちを向いてほしいのかということについて考えてみると、歌い手は「男の子でしょ?」と疑問を呈していることから、男の子=ムーミンであることを確認したいという意思が感じられる。さて、ムーミンは何度呼びかけられても振り向こうとしない。故に、呼びかけられているのは実は男の子のムーミンではなく、女の子のノンノンであることがわかる。なるほどムーミン一族は背中からは判別することが難しい。何故ムーミンとノンノンが入れ替わっているのか、そしてそれを隠そうとするのか。ここに犯罪の匂いがする。すなわち、犯罪の解明をしようとしていることから、ここで呼びかけている人物は探偵であることがわかる。

ここに居ると見せかけて実は居ないムーミンは何をしてるのか。ムーミンが同時に二箇所に存在していることが判明すると全て台無しであることから、ムーミンは女装してノンノンのふりをしているはずである。女の子でなければ入れない場所に入るための工作である。

女性でなくては入れない。男性が侵入しては不自然な場所。女子トイレや銭湯という可能性は却下される。なぜなら潔癖な性格のノンノンが協力するとは思えないからだ。論理的必然性によりそれは、会社の給湯室であることが導かれる。会社内の複雑な人間関係に関する情報を得る為には、女性社員の噂話を耳に入れることが近道である。そのために友人のノンノンにお願いし、入れ替えトリックを使ったというわけだ。

そこでムーミンは大きな失敗をしてしまう。取締役に紅茶をお願いされたムーミンは、レモンティーにミルクを入れてしまう。レモンティーの変質でフルーチェと化した液体を飲まされた取引先の客は怒り出し、重大な取引がご破算寸前となる。怒って帰ろうとする客を引き止めるためムーミンはこんなこともあろうかと準備していた金属ナトリウムを応接室の金魚鉢の中に投入。金属ナトリウムと水が反応し金魚鉢大爆発。家事に不慣れだったムーミンは、さきほど給湯室でお湯を沸かした時にガスを消すのを忘れていたため、会社内に充満していた都市ガスに引火してしまう。会社大爆発。運悪く、会社の前に駐車していたバスも巻き添えで爆発、バスガス爆発。駆けつけた警察官は状況を本庁へ連絡するのに苦労する。「大変です、会社ガス爆発、バスガスバクバク、いやバスガスガスガスガス、いや会社もガス爆発で、バスもバスガスガツバス。いやそうじゃなくて会社もバスもガスバツバツ、じゃなくて……。」

この連絡の遅れにより被害が拡大したことを重要視した警視庁は捜査第十三課早口言葉係を創設することになるのだが、それはまた後日の話である。

16.発泡酒と私と星一徹 040429

(お題どうもありがとうございました。)

とりあえず今、星一徹が存在したらどうなるか。現役時代に魔送球を会得した時点で大リーグに移籍すると思います。それで息子に夢を託す必要もなくなるので巨人の星が始まらない。引退後、息子にスパルタ教育していると児童虐待で逮捕、親権を失い息子は施設に。やはり巨人の星は始まらない。息子は甲子園で活躍、惜しくも準優勝。ドラフトで巨人に指名されないがテスト生で入団。しかし投手陣は大金で獲得した選手のみ起用するので出番なし。やはり巨人の星が成り立たない。大リーグボール1号を開発。やはり出番なし。大リーグボール2号を開発。ようやく堀内監督の目にとまり登板。しかし見逃せばボールということがばれ、誰もバットを振らなくなり大事な場面で押し出しさよならフォアボールで二軍落ち。やはり巨人の星が成り立たない。大リーグボール3号を開発。バントされっぱなしで通用せず。やはり巨人の星が成り立たない。一徹の息子も一試合のために腕の腱を切って選手生命を絶つのは馬鹿らしいと計算ぐらいできるのでいつまでたっても感動の最終回にならない。大リーグボール1号2号も時々投げれば効果的であるのは明白なので、いつしか巨人軍のエースとなるが、打線が繋がらないので結局巨人最下位。人気も出ず、TVのCMも発泡酒どまりでビールのCMには採用されない。ひょっとして巨人にいることが良くないのでは、と薄々気がついた彼は、フリーエージェント制度を利用して大リーガーになろうとするが、オーナーの罠にはまり飼い殺しにされる。と面白い、と私は思う。

15.ネス湖でマンボウを釣れ。死んでもやり遂げろ。 040429

(もたもた さま のお題です。どうもありがとうございました。)

何度ここに来ても緊張するものだ。警部は鉄格子の扉をくぐりながらそう思った。通路を進み、一番奥の鉄格子の前にたどり着く。窓の無い部屋の主人に声を掛ける。
「やあ、針井探偵、調子はどうだね。」
彼は、読んでいた本から目を上げずに答えた。
「調子は変わりようもないね。警部、また僕を騙しにきたのかね。」
「まあ、そういうなよ。ちょっとまた御意見を拝聴できないかなと思ってね。まあ、これをちょっと見てくれないか。」
そういって、警部は写真を独房の中へ慎重に差し込む。写真にはメモ紙が写っており、そのメモにはこう書かれている。

「ネス湖でマンボウを釣れ。死んでもやり遂げろ。」

針井探偵は写真を拾い上げ、ちらと見るとこういった。
「で、その編集長の身柄は既に確保しているんだろうな。」
「どうしてそれを。まだ何も説明していないのに。」
「当然の論理の帰結だよ。」本を読みながら彼は喋り始めた。
「まず、写真に写ったメモ紙ということでこれが何かの証拠物件だということがわかる。私に相談にくるくらいだから重大事件。おそらく殺人事件だろう。メモ紙の端に、かすかに黒い染みが付着しているのは多分血痕だな。このメモの内容だが、後半の『死んでもやり遂げろ。』という言葉から、理不尽な上司から部下への指示であるということがわかる。いつも思うのだが、こういう理屈に合わない指示を出す方の頭の中はどうなっているんだろうねえ。死んだらやり遂げられないではないか。このような理不尽な指示を出すということは、体育会系の気質が残る職場ということが推定される。」
なるほど。
「更にこの指示を受けたのは新人であることがわかる。なぜなら、指示をメモに書き取るということは普通だが、その場合用件だけ書き取ればよい。死んでもうんぬん、と言われたことは残らずメモするというのはこの時期の新人だけだよ。」
なるほど。
「さて、最初の指示だが、3つの要素に分解される。即ちネス湖に行く必要があること。この指示を受けた新人は、強い指示を受けた為あせる。あせっていたため、よく考えずに、イギリス行きの航空チケットをとる。そして成田イクスプレスの中ではっと気がつくのだ。」
何に気がつくのかね。
「警部、ちょっとは自分で考えてみたまえ。ネス湖は淡水湖で、マンボウは海にすむ魚だよ。逆立ちしたって釣れるわけが無い。」
「なるほど」
「そのかわいそうな新人さんは、成田行きの列車のなかで釣竿を抱えながら途方にくれる。そのうち、まずいリズムで鐘もなる。」
なんだそりゃ。
「編集部へ引き返そうとする新人君は、はたと気がつく。このマンボウというのは魚ではなく」
魚ではなく。
「北杜夫ではないのか、と。そうするとこのメモの指示は、こう読める。最近小説を書かなくなって久しい北杜夫(ドクトルマンボウ)にネス湖旅行を餌に、原稿を書かせろ。」
なるほど。
「つまり、これは、二重に意味が読み取れるように、そして時間差で解読されるように巧妙に計算された指示だったのだ。そしてこれを見たまえ。」
針井探偵は今まで読んでいた雑誌をこちらに放り投げた。
「週刊 日本の殺人鬼 今週号だ。こんな雑誌は通常ここへは持ち込みが許可されないのだが、見たまえ、僕が載っている。それで特別に許可されたのだ。この週刊誌を出している出版社はさまざまな趣向の週刊誌を出しているが、巻末の雑誌紹介を見たまえ。沢山あるが最後の方に、週刊世界の未確認生物、そして週刊日本の作家、というのがある。私が取材されたときに聞いたのだが、この出版社の編集部は人手不足で体育会系で複数の週刊誌の担当を掛け持ちしているそうだ。マンボウと聞いて魚→作家と連想するのに、これほど適した状況はあるかい? 
そしてこの指示をだしたことにより発生する成田エクスプレスの往復時間。これをなんらかのアリバイトリックに使ったのだろう。そしてこの新人さんに強い指示を出せる立場で、新人さんがこのような勘違いをしてこのような行動をするというところまで把握している人間、それは編集長しかありえない。以上だ。」
あ、しかしそれでは…と、更に声をかけたが、針井探偵はもう既にこの話から興味を失ったようで返事は決して返ってこなかった。

14.「鍾馗」「おすそわけ」「コンサイス独露辞典」の三題話 040429

(下条さま のお題です。どうもありがとうございました。)

みなさん入学おめでとうございます。

あなたが、週刊「日本の浪人生活」(デアゴスティー二・ジャパン)の定期購読の申し込みを行ったことに伴い、自動的に本予備校の学生となりました。おめでとうございます。本校は広き門とはいえ、優秀な教師陣と優れた教材を準備しておりますので、来年の春の桜が咲くことは、太鼓判が押されたのも同然であります。あとは、あなたの才能と努力だけが問題となりますので、来年も失敗したからといってPL法で本校を訴えないようお願いする次第であります。

我が校の教材の素晴らしさを紹介いたしましょう。大学入試に必須の国数英理社はもちろんのこと、我が校では受験生を健康な状態に保つということが大事であるという本校創立者デアゴ・ステニの信念にのっとり、「健康の為の料理」も必修コースとしております。お手元の教材46ページをお開きください。例えば、「覚えておけば料理に役立つババアの知恵袋」の項ですが、料理に使用する調味料の順番は「さしすせそ」=砂糖、塩、酢、扇風機、ソングブック。はい皆さん御唱和ください。さ・し・す・せ・そ。次の項は急に夫が客を連れて帰ってきても、これだけあればさっとお惣菜が出来る。「おすそわけ」=お酢・ソース・わけぎ、ですね。ぱっと開いただけでもこれだけ有用な情報が得られる教材はそうそうありません。

また、どんな試験科目にも対応できるよう第二週目の教材として、コンサイス独露辞典を添付致しました。髑髏のマークが目印です。コンサイス独(りで)露(出狂)辞典です。

さて、皆さんはこれから一年間明るい青春時代の貴重な時期を暗黒面と戦いながら過ごすのですが、一つお話をしましょう。それは鍾馗(しょうき)様のお話です。

昔の中国、唐の時代玄宗皇帝が熱でうなされた時のお話です。夢の中に子鬼が出てきて宝物を盗み出そうとしました。帝が人を呼ぶとそこに髭面の大男が出現し、あっというまに子鬼を退治してしまいました。名を問うと「私は錘馗と申します。武挙の試験に合格したのですが、人相が悪かった為に採用されませんでした。私は絶望し自死いたしましたが、かたじけなく帝に手厚く葬られたその御恩に報いるべくここに現れました。」帝は己の思慮の浅さを反省し、錘馗を神として定め、祀ることにしました。

このお話の要旨を二十字以内でまとめなさい、という問題が出たとします。正解は「試験で落ちても自殺すれば神様扱いされる。」です。この話を深く心に刻みつつ勉学に励んでいただけるよう強く望みつつ本予備校の入学式の挨拶に代えさせていただきます。

13.持病の癪が

(Adelie さまのお題です。どうもありがとうございました。)

お女中どうなされた。あ、お侍さま、持病の癪が……。おお、それは難儀なことであるな。そこへなおれ、打ち首にいたす。そんな御無体な。ゴムタイヤ?拙者が南蛮の秘密結社ミシュランの手の者と見破るとは、貴様、さては、くのいちであるな。ますます放ってはおけぬ。我が刀の錆にしてくれようぞ。ちょっとお侍さん、小娘相手に大人気ない。ここはあっしの顔に免じて許してやってはくれませんか。あ、貴方様はムックとガチャピン。いや、変装なさっていてもすぐにわかります。これはポンキッキの皆様の前とは露知らず失礼つかまつった。カリキュラマシーン侍、しからばごめん。

(ああ、もう自分でも何を書いているのかさっぱり)

番外編 文中に「湯たんぽ」「カン切りを忘れていた」「エリッククラプトソ」の3つのキーワードを入れて、その上、宣伝の文意を変えないこと

(おきかげさまのお題です。勝手に使わさせていただきます。どうもすみませんです。話が見えない人ごめんなさい。)

もう夏?
最近すごい暑いよね…
どうしてだと思う?
それは、私が湯たんぽを抱いているから。てへ。

何か暑くなってきちゃうと…
外でしたい、って思っちゃうのは私だけかな…?
ハイキングとかピクニックとかワンダーフォーゲルとか☆
でも、お昼ごはんのお弁当代わりに持っていった缶詰☆
カン切りを忘れていたので餓死しちゃった。私ってドジね…

でもすぐに生き返っちゃうの。

結構外でするのって楽しくない?
エリッククラプトソのギターの弾き真似…
もちろんほうきでね!
開放的な感じだし、すっごい興奮しちゃうんだ☆
でも一緒にしてくれる相手が今いないんだよね…。
やっぱりこういうコト考えてると「変態」って
思われちゃうのかな?
そうだったらちょっと嫌かも(笑)

一度もした事ないヒトもしてみようよ♪やみつきになっちゃうから(笑)

もししてくれるヒトいたら
↓まできて連絡くださいっ☆
(URL省略)

日記 0404128

さあ、どんどん煮詰まってまいりました。なんかさっきから胃が痛いのは気のせいでしょうか。あ、新しいお題だ。えーと、「鍾馗」……よ、読めないっ!

12.照り焼き西瓜と味噌煮込み饂飩 0404128

(サイキ さまのお題です。どうもありがとうございました。)

もうすぐ春が終わり夏が来る。気温が上がる。おまけに季節の変わり目の天候が不安定でいきなり大雨。湿度も上がる。暑い暑い。おまけにテーブルの上には卓上コンロが押入れより引っ張り出され設置され、カセット式のプタンガスボンベがセットされ点火。たいてい一度目は点火しない。ああ、火がつけられた。あついあつい。これは何かの嫌がらせ?(半疑問形)

あまりにも暑くてそして火のつけられたコンロの炎にあぶられ、とうとう私は私は錯乱し、コンロの周りで踊りまくり、そのあげく、関西の方には分かりにくくて恐縮だが、JR東日本の非接触式プリペイドカードを卓上コンロの炎の中に落としてしまう。あっという間にカードが焦げてしまった。照り焼きSUIKAの出来上がりである。ああ、三か月分の定期代とチャージ金額がああぁ、と正気に戻り、急いで拾い上げてみるのだがプラスチックの表面が焦げてゆがんでしまっている。カードって無料で交換できたんだっけ。

そして運ばれてくる味噌煮込み饂飩四つ。ここで食べ物の好き嫌いの話をします。好きな人には申し訳ないと思うのですが、味噌味というものがよくわからない。味噌汁は好きだし、味噌田楽、もろきゅうなど味噌の味自体は好きなのだが、味噌味の麺類が食べられない。味噌ラーメンが駄目である。九州出身なので、ラーメンといえば豚骨。しょうゆ味はパンチが足りない。さらに味噌を足す。もう意味が分からない。ラーメンは好きだが、味噌ラーメンを食べるくらいなら、ラーメンと味噌汁を食う。そしてライスも食う。何故人は混ぜ合わさずにいられないか。悲しいけどこれが現実なのね。

うどんは関西風。九州出身だから蕎麦よりはうどん。でも四国出身ではないからうどんと言えばコシのない麺。讃岐うどんは非常にうまいと思うが、おふくろの味といえばコシのないうどん。うっ、どーん。うっ、どーん。はがくれの天ぷらうっ、どーん。と非常に地方限定のCMの思い出を語りつつ、煮込みウドンも駄目である。あの黒く煮しまった有色の麺はいったい全体。ああ、もうだめ。意味がわからない。もうさっぱり。さらに味噌を投入。ほんと、申し訳ない。これは生者の赴く食べものではありませぬ。放っておけば必ず死にます。

というくらい味噌味の麺類が駄目です。

あと、熱いお茶が一杯こわい。

11.煮干し語録。 0404128

(ねこい さまのお題です。どうもありがとうございました。)

例えば目の前にある煮干。日本の食の基本であるダシをとるために必須。煮干とは…水揚げした魚を釜入りし干したもの。それが煮干。究極の煮干を求めて、日本中を放浪する。崇高なる食への追求。それは食の追及と言うよりは、単に食い意地が張っているだけではないのか。それは図星である。お前はもう死んでいる。それはあぼしである。丸ゆずをくりぬき味噌、砂糖、米粉などを詰め、、蒸した後、1〜3ヵ月寒風干しする。それはゆぼしである。八犬伝のさもしい浪人。それはあぼしさもじろう(網乾左文二郎)である。電気くらげに刺されると非常に痛くミミズ腫れになる。それはカツオノエボシである。良薬。それは口にニガシである。見つけにくいものですか鞄の中も机の中も。それはサガシものである。振り子のような涙を流しながら疑問を呈する地方出身の偉い人。ドボシてドボシてである。成田で記者会見するハリウッドスター。それはニボンノ ニナシマ コンニチハである。

以上が煮干に関する語録である。三十であるそれは五六である。1984年ゴジラの作曲家。それは小六禮次郎である。なりなり〜。それはコロ助である。秀吉の家臣。それは蜂須賀小六である。あと13で上がり。それは双六である。駄洒落の夜は長い。夜はまだ続く。

10.みなさん。ご起立お願いします。 0404128

(龍備さまのお題です。どうもありがとうございました。)

…これが被害現場に飾られていた『四不象』の銅像です。皆さん既にご存知のように「四不象」とは角は鹿に、ひずめは牛に、尾はロバに、首はラクダに似ていながら、どれにも似ていない想像上の動物です。そして鹿、牛、ロバ、らくだと順番に、この四不象に見立てた今回の連続殺人事件。その犯人はこの中にいます。」
拘束衣を着て、両脇を看護婦と警察官に抑えられた針井探偵は、部屋の中を見回してこう言った。
「みなさん。ご起立お願いします。」
その眼光の異様な迫力に気圧されて、部屋の中の関係者が椅子から一斉に立ち上がった。
「さて、今立っていただけなかった、いや立てなかった方が一人いらっしゃいます。」
皆の目が一斉に椅子に座ったままの人物。この屋敷の主人の叔父である貞彦であった。
「な、何を言うんです。言いがかりは止めたまえ。そんな証拠がどこにあるんだ。」
貞彦は顔に脂汗を浮かべながらそう言った。
「だいたい、名探偵だかなんだか知らないが、聞くところによると君は連続殺人犯人でしかも精神病院に収監中だという話ではないか。こんな奴のいう事など信用できるか。」
「まあまあ」
と警部補が割って入る。
「針井探偵については、私がお願いして私の責任で話をさせています。最後までお付き合いお願い願います。」
針井探偵が口を開いた。
「この屋敷において発生した連続殺人事件はすべて密室殺人でした。そのトリックは先ほど説明したよう平べったい特殊な金具を使ったと仮定すればすべて説明がつきます。最初の殺人事件において、犯人は密室を作り上げたあと、その金具を巧妙に隠しました。」
「徹三爺は、その時、現場でこうつぶやきました。『これはいったい誰のさしがねだ?』。」
私はその時に気がつかなければならなかったのです。プロのヒットマンの仕業のように見せかけたその殺人に関して、『誰が指示してやらせたのだ?』という発言だと聞き流していました。しかし、それは、そのトリックに使用した金具を指し示していたのです。さあ、立ちなさい。」
両脇の人に抱きかかえられて貞彦は立たせられ、それと同時にびりびりと音を立て、貞彦のパンツが破れ中から大工道具が転がり落ちた。
「そう、トリックに使用された道具は、その大工さんが使用する差金(さしがね)だったのです。
いまさっき発生した殺人では、その道具を隠すための時間が充分になかったのですね。そこで慌てた貞彦氏は急いで椅子に座り、曲げた膝に沿わせて差金を隠した。だから立ち上がることができなかったのです。」
「うう、あいつが悪いのだ。あいつが…」
貞彦は連行されていった。
「さあ、警部補。約束どおり私を病院から解放するように指示したまえ。」
「針井君、君は何回だまされても懲りない奴だなあ。市民の安全を第一に考えるべきである警察官が、君のような超危険人物を市中へ放つわけないではないか。きみは拘束衣が良く似合っているよ。さあ、看護婦の皆さん、かれをさっさと檻の中に戻してください。」
「あぁ、また騙された。」
四不象の像をめぐる殺人事件、銅像と思われたその象を分析した技師の不用意な一言。「これは中身は黄金かもしれませんね。」それがこの連続殺人事件の発端だった。
拘束衣のまま部屋から連れ出されようとする針井探偵に向かって私は問いかけた。
「この連続殺人を記録するに当たって、タイトルはなんとつければよいだろうか。」
背中を向いたまま針井探偵は答えた。
「四不象をめぐる技師の談話がこの事件の発端であったことを考えれば、それと時節柄」
「時節柄?」
「『針井(他)と四不象の技師(談)」が適当だろう。」
彼は部屋から運び出され、扉が閉められた。扉の向こうから看護婦の悲鳴が響き渡った。だが、それはまた別の話である。

9.天翔るプリンター 0404128

(瑠架さまのお題です。どうもありがとうございました。)

やった、すごい装置を発明したぞ。それは、この印刷機。通常、印刷しようとする場合、手元の装置に印刷結果が出てくる。この装置は発想を転換し、印刷結果が自分ではなく、読んでもらいたい人の手元にでてくるのだ。まさに印刷が天翔るプリンターと言えよう。
使い方はこうだ。まずこの装置を自分のところと送りたい相手のところに設置する。そして個々が肝心なところだが電話線を接続し…
「博士、それでは天翔るプリンターと言うまでもなく、ファックスというものでは?」
助手よ、なんだそのあからさまに下品な名前は。品位を疑われるぞ。
では、次の画期的な発明だ。スタートレックなどSF作品に良く出てくる通信機だが、これを実現しようとすると強力な通信信号とそれを使用するための強力なバッテリーが必要となり、必然的に機械が大きくなり実用的ではない。ここで発想を転換して、通信のための中継基地を各地に配置して、通信機器に要求される電気消費量を低く抑え、装置の小型化に成功した。この装置をスタートレックにちなんでコミュニケーターと名づけよう。
「博士、それはコミュニケーターというよりはケータイでは?」
なんだそのケータイというのは、白金カイロではないのだから。それでは次の発明だが…
時代遅れの博士の画期的発明の夜はまだ続く。

8.タイトル:「ある朝突然に」
書き出し:「そういう場面に出くわすとは、考えたことさえ無かった。」
結び:「あまり考えたくはない話である。」
お題:「小さな貧血大きなお世話 0404128

(hata さまのお題です。どうもありがとうございました。)

「ある朝突然に」

そういう場面に出くわすとは、考えたことさえ無かった。 ある朝いつものように妻にいってきますのキスをして玄関の扉をあけると、そこはあるはずの通路ではなく我が家の玄関で、私と妻がいってきますのキスをしていた。

「わわ、なんだこりゃ。」急いでドアを閉めるとドアの向こうから「わわ、なんだったんだ今のは。」と聞こえてくる。おそるおそるドアを開いて向こう側を覗いてみると、向こうからも私が覗き返していた。「はじめまして。というのも変な感じですが。」同時に向こうも「はじめまして。というのも変な感じですが。」実際にはユニゾンである。「ははじじめめままししてて。とといいううののもも変変なな感感じじでですすがが。」ドアを開けた玄関の向こうにはちょうど玄関を対照に廊下とその向こう側にリビングとカーテンを閉めた窓と妻がいる。いったいどういうことなのだ。向こう側の妻がリビングのカーテンを開けようとしている。「きゃー!」と妻の悲鳴がこれまたユニゾンで響き渡る。「ききゃゃーー!!」カーテンを開けた窓の向こうにはベランダではなくこっちがわとそっくりなリビングがあり、妻にそっくりな妻がカーテンを開けて悲鳴を上げている。妻と妻にそっくりな妻は貧血を起こし座り込む。私は玄関からリビングに走り、妻に駆け寄る。「大大丈丈夫夫かか。。」おい、なんでユニゾンなんだ。玄関で鉢合わせした私そっくりの私が、私の妻に駆け寄っている。おいおい君の妻は玄関の向こう側の私の妻にそっくりの君の妻の方だろう。「いや、こっちの妻のほうが綺麗な気がする。」小さな貧血大きなお世話である。さっさと自分の妻の方に戻りなさい。

窓の向こうには、リビングがあって、妻そっくりの妻を私そっくりの私と私そっくりな私そっくりな私が二人がかりで介抱していて、その向こうには廊下でさらに向こうには玄関があって、その向こうには廊下がさらにリビングがと延々と遥か彼方まで続いているのが見える。どうやら、理由はよくわからないがこのマンションの部屋が合わせ鏡状態になっているようだ。

延々と続く一直線の部屋の連続。調べてみるとどういう仕組みになっているのか水道ガス電気はちゃんと使えるようになっているらしい。電話で会社に説明しようとしたが、どうも理解されそうもなかったので体の具合が悪いのでしばらく休みますということにした。TVをつけてみたが、通常の番組が普通に放送されていて、世間一般は正常であるらしい。この無数の私と無数の私の妻とで、万里の長城状態のマンションの部屋で生活しなければいけないのか。どうにかして元にもどらないものか。「うむ、これは時空連続体の局所的な捩れによるものであろう。」と私の耳元で私がしゃべる。わ、お前はいいから自分の妻のところに戻れよ。「これは自然に元に戻るのを待つしかない。それがどれくらいかかるか、すぐなのか、それとも永遠にこのままなのか。われわれには予測も出来ないし、どうしようもない。」いいから自分の妻のところに戻れよ。水道が生きているから水は確保されているのだが、問題は食料である。冷蔵庫内の食料を食べつくしても、部屋が元に戻らなかったら悲惨なことになる。なるべく食料は節約して食べなければいけないだろう。「うむ、これから食料の配分を良く考えて食事をする必要があるなあ。」いいから、君は自分の妻のところにかえりなさい。と、名残惜しそうな私の背中を押して、むりやり追い返し、玄関の扉を閉めた。

しかし一体全体…。と考えていると、玄関のドアチャイムが鳴りインターフォンから「NHKの集金です。」と聞こえてきた。玄関を開けるとそこは玄関ではなく、通路でNHKの集金人が立っていた。私と妻は抱き合って喜び、歓喜の声を挙げ喜んで受信料を支払った。時空連続体の捩れはNHK集金人の強固な集金の意志をきっかけにして、解きほぐされ元に戻ったようだ。NHK集金人ありがとう。「あの。お願いなんですが、受信料を振り込みにしてもらえませんか。」いや、それだけは勘弁してくれ。NHK集金人が集金に来なかったら、きっといまでも時空連続体は捩れたままで、長い部屋の中に閉じ込められた状態のままであったろう。それは、あまり考えたくはない話である。

今、気がついた

わ、第一回雑文祭の縛りだ。プ、プレッシャーが……

日記 0404127

ちょっと一息。お題が届いたらあまり考えずにすぐに書き始めるという自転車操業(ちょっと意味が違うか)でやっているので、今のところ、なんとかあまりお題を溜めずにいられている状況ですが大丈夫か>自分。

とりあえずあまり凝ったこともしてないし、実を言うと書いてから読み返しもしていないので雑文の出来の方にちょっと不安があるのですが、まあお祭りだからいいか。いつもの雑文がホームラン狙いのフルスイングだとしたら、内野安打狙いの走塁で得点を狙う感じであります。

実をいうと次のhataさまのお題は、頭が痛い。オーソドックスな雑文祭の縛り形式ですが、実を言うと雑文祭の場合、私は2週間くらい時間を掛けたりするのですが。うーん。今から風呂に入ってどう書くか考えてみましょう。

7.らーめんのだしがてくびだったら。トイレの便座にはまって動けなくなったら。 0404127

(ケイイチ さまのお題です。どうもありがとうございました。勝手ながらお題をひらがなに開かせていただきました。)

学生時代に軽音サークルに入ったことがある。ことがあると言っても卒業まで退会しなかったのだから入ったままなのであるが、なにしろメンバーが集まらない。キーボードは子供の頃からピアノをやっている奴で初見でバリバリひきこなす。ベースはさらに輪をかけてうまく、楽器メーカー主催のベース教室でフュージョンのプロのベーシストが講師で来てくれたのだが、「僕よりうまい」と言われたほどの腕前。何が問題だったのかよくわからないが、これ以外のメンバーがよりつかない。ベースの奴にむりやり引き込まれて素人の私がむりやり太鼓を叩かせられた。この腕前が超アンバランスバンドは、なぜかだらだらと解散することもなく、かといって特に練習に明け暮れるわけでもなく、年に一度の学園祭で数曲演奏するのが唯一のスケジュールということになっていた。ギターレスのトリオで演奏する曲がチェッカーズというのだからこれはまふざけているのであるが、私には音楽的発言権はなかったので二人の決定に黙って従うのみであった。今考えるとド下手な私のレベルに合わせてドラムパターンが単純なチェッカーズの曲を選曲してくれたのかあと思う。

ベースの名前は野田といい、楽器の腕前はともかく妙なやつであった。外見は天然パーマを伸ばし放題にしていたため、当然の如くラーメン野田というニックネームとなった。彼はどうも思い込みが激しいきらいがあって、ピアノのメンバーのストーカーであった。彼女はラーメン野田の人間性が嫌いだったのだが友人として付き合うが、表面的にはきっぱりと交際を断っていた。それなら一緒にバンドやらないほうがいいのになあと思ったのだが、まあそれは彼女の自由なので放っておいた。なんどもなんども断られているのにラーメン野田は不屈の精神でストーキングをやめようとはしなかった。

どうして彼女はラーメン野田から距離を置こうとしなかったのか、僕にはよくわからない。ベースの才能を認めていたからだろうか。もし野田のテクニックがAランクではなくBランクだったら僕達三人のバンドはあっという間に崩壊していたのだろうか。ラーメン野田氏がテクBだったら。

ある日、僕はキーボードの彼女に呼び出され愛を告白された。僕は手に持ったスティックのささくれを眺め、残念だけど、と答えた。

ぼくたち三人の関係はいったいどんなものだったのだろう。相手に対する報われない愛と友情と演奏テクニックに対する尊敬と三つが離れがたく絡まってそして絡まったまま固まってしまってみじんも動かしようの無い関係。あるときラーメン野田はぽつりとつぶやいた。「トイレの便座にはまって動けなくなったら、それは便座を壊して抜け出すしかない。そしてその壊れた便座は二度と元に戻らない。」あのつぶやきは僕達三人のことを指していたのだ、今ぼくはそう思う。この絡んだ関係は卒業まで続き、そして三人はそれから会うことも無かった。卒業して数ヵ月後、彼女は心臓の病気であっけなく死んだと聞いた。あの時ぼくがあの申し出を受け入れていたらどうなっていただろう。思い出して考えるときがある。でもそれは永遠に失われた僕達のチャンスでもあり思い出を壊さずに過ごせるかどうかのピンチでもあったのだ。僕はそう思う。彼女にもう一度会ってそれを確かめたい気持ちもあるが、それもまた出来ないことである。

6.(1)三葉虫(2)クラインのつぼ(3)ケンカの下手な奴 0404127

(ろずまりん さまからのお題です。どうもありがとうございました。)

三葉虫、俺の肩を抱きしめてくれ。三葉虫は、カンブリア紀に現れて古生代に絶滅した節足動物である。縦に三つに分かれているので三葉虫。また、頭胸部、胴部、尾部というようにも分かれている。三×三で九葉虫とならなかったのは三葉虫七不思議の一つである。

三葉虫は炭酸カルシウムの非常に硬い殻で体を覆っていたと考えられる。特に鋭い爪や牙を持っていなかったため防御のためであったと考えられる。専守防衛。ケンカの下手な奴であったと思われる。三葉虫は古生代終期に突如姿を消す。絶滅したと考えられているが、その理由は不明である。カンブリア爆発に便乗して三葉虫なりの爆発進化を試してみて、結局淘汰された可能性もある。三葉虫の口は下側についており、平面的な体を地面につけて泥を食べていたのではないかと言われている。消化管は単純に一本の管である。泥を食べていたと考えられている。古代生物であることもあり、三葉虫の消化効率はあまりよくない。消化管も単純なまっすぐな管であるので、充分に消化・吸収して排泄しているとはいえない。実際のところ糞中にはまだまだ栄養が残っている。ここで消化効率を上げることが三葉虫の更なる繁栄にとって必要である。通常の生物はここで消化管を長くする進化を選択するのだが、ある仮説によれば彼らは別の道を選択した。消化管の形状を一本の単純な管からクラインのつぼ形状に進化したのだ。

クラインのつぼ:裏表のある閉曲面を一部切り開いて,ひねりを導入してくっつけると裏と表がつながった曲面ができる。三次元版メビウスの帯である。

このような消化管形状をとることにより(消化管の表をたどっていくといつのまにか裏にたどり着いている)単純に消化管の表面積が二倍となり、さらに一度取り込んだ食物が裏表をぐるぐると循環することから究極的に消化することが可能となる。この進化を遂げた三葉虫は他の生物を圧倒し、古代地球の王者になることも可能であったろう。しかし、このクラインのつぼ方式にはまだ改善の余地がある。兵曲面の一部を切り裂いてひねりを導入してくっつける方式を、三次元においてではなく四次元で行うように進化したと仮定したら……。彼らは究極の消化効率を得ることが出来たはずだ。すなわち消化管における食物の循環が物質のレベルで行うのではなく、時間のレベルで食物の循環を行うことが出来るはずだ。彼らがもしその進化を選び取ったのならば、同時に彼らは食物のみならず、彼ら自身の体を時間移動できる能力を会得したはずである。この仮説に従えば、古生代において姿を消したのは絶滅したのではなく、よりよい未来へ(あるいは過去へ)移動していったからに他ならない。地球を覆いつくすほど繁栄した三葉虫たち。もしかしたら時間を移動し、我々と出会う日もくるのかもしれない。

5.ネコがごろにゃん。 0404127

(にゃおん さまのお題です。ありがとうございました。)

ねこがごろにゃん

学生の頃のお話。飲み会で遅くなったので、先輩の部屋に泊まることになった。一応後輩なので遠慮して部屋の隅で毛布にくるまって寝る。

息苦しい。喉に何かが乗っているようだ。どこからかグルルルゥルルルと地面を揺らすような音が響いてくる。生暖かい獣の臭いがする。わぁと飛び起きると猫が喉から飛び降りて部屋の隅に走っていった。どうやら暖かさを求めた結果、私の喉の上が暖かいことを発見し載ってきたらしい。ああ驚いた。なんか禍々しい邪神に呪われたのかと思ったよ。猫はそ知らぬ顔で部屋の隅で毛づくろいなどしている。流しで水を一杯飲んでまた寝る。

なにかひんやりとした小さな丸いものが顔にピタピタと当たる。毛皮がさわさらと頬に当たったかと思うとまた息苦しくなる。なんか重い。うぅーーーーううがあぁ! 息苦しさでまた飛び起きる。ゼイゼイゼイ。ああ、なんか呪い殺されかけてるのかと思ったよ。まいったなあ。よっぽど私の喉元が気に入ったらしい。あたりを見回すと部屋の隅で猫がごろにゃん。猫は嫌いではないのだが睡眠を邪魔するのはちょっと勘弁してくれ。あたりを見回してクッションが見つかったので喉と胸を覆うように抱きかかえる。これならもう乗っかってこないだろう。そのままの格好で寝る。

さっきよりもさらに生臭い獣の臭いが漂ってくる。湿った柔らかいもので頬を舐められている。ああ、寝相が悪いからきっと抱きかかえたクッションが何処かへ行ってしまったんだな。と半分以上寝ている頭で考える。眉間に爪が食い込む。いたたたたた。あまりの痛さに顔を横にそむける。ちょっと勘弁してくれ。と目を開けた私の目に入ってきたのは壁際で毛づくろいしている猫の姿。あれ、今顔に乗っているのは猫じゃない。払いのけようとするが圧倒的な重量と、顔に食い込んだ強靭な爪でピクリとも動かない。あ、ちょっとまって、そんな。あれれ、なんでこんなところに。禍々しい燐光をはなつ瞳がじっと僕の目を覗き込む。その毛だらけの顔の口からは鋭い牙と、三又に別れた舌がありえないような長さで飛び出し舌なめずりしている。命ばかりはお助けを。

4.あからさまなひよこ 0404127

(お題ありがとうございました。)

いらっしゃいませ。ご注文をお願いいたします。
「ハンバーガーとホットコーヒー」
ありがとうございます。ご一緒にポテトはいかがですか。
「結構です。」
承知いたしました。ご一緒にチキンはいかがですか。
「結構です。」
承知いたしました。ではご一緒にボイルドエッグはいかがですか。
「結構です。」
承知いたしました、では中間をとりましてご一緒にひよこはいかがですか。
「いらないよ。なんだいそのひよこというのは。」
鶏の雛でございます。
「知ってるよ。どうしてハンバーガー屋でひよこを売るんだ。」
今ならサービスで青赤黄紫お好きな色で着色しております。ぴよぴよ鳴いて可愛いですよ。
「いらないってば。」
承知いたしました。ハンバーガー・ワン、ホット・ワンお願いします。
お待たせいたしました。ハンバーガーとホットコーヒーになっております。ただいまサービス期間中ですので紫色のヒヨコが無料でサービスとなっております。
とうとうヒヨコを押し付けられてしまった。テーブルについてトレイの中でヒヨヒヨ鳴くヒヨコを眺めながらハンバーガーを食べる。見れば見るほどあからさまにひよこである。ハンバーガーからレタスを抜き出して置いてみるとチッチチッチと口ばしで突付いて食べている。しかしなあ、ひよこもらってもなあ。これすぐ鶏になっちゃうぞ。そこらへんに捨てるわけにもいかないしなあ。道で離すときっとあっという間に野良猫にやられるだろうしなあ。ねえ、このハンバーグ屋ではこのひよこ引き取ってはくれないの?
「ひよこ引き取り料は3000円となっております。」
めちゃめちゃ暴利ではないか。でもぴよぴよと無心で鳴くひよこを見ていると、放り出すのも可愛そうで、でもうちでは飼えないしなあ。しょうがない、これ引き取ってください。
「ありがとうございました。」

3.「(爆)」「修学旅行の夜」 0404127

(PATさまのお題。どうもありがとうございました。)

中学は全寮制の男子校だったので、毎日が修学旅行の夜のようなものだった。建前上は進学校ということになっていたので夜は自習時間と称して机に向かわされた。その時に何もしないで時間をやり過ごす方法を習得したのであった。学校が創立して間もなかったので、寮の建設が間に合わず、学校の敷地内に建てられた寮に入寮できない生徒のために、離れた場所の廃業した旅館が借り上げられ寮として使われていた。

金が無い学生の休日の午後は手持ち無沙汰でしょうがない。僕たち四人はどこにも出かけず暇をもてあましていた。一人が、そういえばこの寮の裏庭には行ったことがないということに気がついた。もともと廃業した旅館であるこの古い建物は崖に喰い込むように建てられている。古い旅館の常として建て増し建て増しで迷路のような構造になっていた。東の廊下から二階に上って離れに渡る廊下の途中にあるトイレの左から二番目の個室の窓は板で打ち付けられていて外は見えないが、その板を思い切り横に寄せてわずかに開いた隙間からのぞけるのはきっと裏庭に違いない。と、一人が言い出した。しかし、行く道がわからない。寮の建物の右側も左側も背後の崖が迫っていて建物の裏に回りこむことが出来ない。見えるからにはたどり着く経路があるに違いない。

そこで皆で協力して寮の見取り図を書いてみた。どうやら調理室の裏に妙な空間がありそうだ。調理室は火は危ないからとか、不衛生になるからとかさまざまな理由で寮生は立ち入り禁止となっている。休日の昼は食事が出ないので寮母さんも寮監もいないはずである。調理室の奥に高さ1mほどの扉があった。どういうわけか二つの南京錠と鉄の鎖とで厳重に封印されている。これじゃ行けないな。と諦めの早い僕たちは別の遊びを探そうとそこから立ち去ろうとした。僕は南京錠に触ってみた。カチリと音を立てて二つの南京錠は外れた。まるで最初から鍵などかかっていなかったように。その古い木戸を開けると、中から埃の混じった風がどおぉと噴きだしてきた。風がおさまって屈んで中を覗き込んでみると、真っ黒な通路の向こうに明るい光が見える。おい、ちょっと行ってみようよ。そう言って振り返ると友人たちは既にどこかへ行ってしまっていた。しょうがないので、その木戸が風で閉じてしまわないようにそこにあった鍋を置いて木戸をくぐってみた。この通路の天井が低いので上体を曲げて進む。そういえばどうしてこんな通路があるんだろうな。と思った時、前方の明かりが消えた。風で扉が閉じたのだろうか。後ろを振り返ると調理場の扉もいつの間にか閉まっている。ちくしょう、あいつらだな。怖がって大声を出すのもしゃくだったので、そのまま裏庭(多分)に向かって進む。真っ暗闇の中、手探りで歩く。おかしい、そろそろ着いてもいいころだけど。そう思いはじめた瞬間。闇の中から声が聞こえてきた。

それはが射している時はその身を隠し、
  (火共)火と共に姿を現し、
    すましよりも匂いが甘い。

なんだそれ?どこからか聞こえてくるナゾナゾの声に焦りながら僕は必死に前に進んでいた。

(落ちはありません。)

2.電信柱が低かったら 0404126

(あらのはんじーさま のお題。どうもありがとうございました。)

「最近は活きの良い電信柱を入手するのも難しくなってきてなあ。」NTT東日本電信柱捕獲係の奈良林豪さん(48歳)はこう語る。最近は養殖の電信柱が市場に出回っているが、あれはいかん。電話線のノリがよくないし、日光にあたるとすぐ油が抜けて裂けてしまう。やはり電信柱は天然物が一番だ。奈良林さんの朝は電信柱狩の準備からはじまる。なんと言っても風向きと天候に左右されるからなあ。電信柱が生息するのは人里離れた杉林の中。素人目には杉も電信柱も見分けがつかないが、この道一筋30年の奈良林さんには一目瞭然。電信柱を一目見ればわかるさ。枝が、こう、なんというか銅線を持ちたがっているのさ。野生の電信柱の嗅覚は鋭い。風下から回り込まなければあっという間に山奥に逃げ込んでしまう。奈良林さんは電信柱の足跡をみつけた。大物だ。この獣道をまた奴はやってくる。そう確信した奈良林さんは岩陰に身を潜める。

何時間経っただろうか。向こうから電信柱がやってくる。これは久しぶりの大物だ。奈良林さんは興奮を抑え慎重に銃の狙いをつける。今だ! 奈良林さんは猟犬をけしかける。猟犬はバウバウバウと吠えながら一目散に電信柱へと走っていく。猟犬に気がついた電信柱はガオと一声あげると猟犬に襲い掛かろうとする。−− 一触即発 −−そう思われた直後、猟犬が電信柱の根本で片足を上げ小便を始めた。するとどうだろう。いままであれほど強暴だった電信柱がおとなしくなっているではないか。先祖より代々受け継がれてきた長年の条件反射で、電信柱は犬に小便をかけられると反射的にじっとして動けなくなってしまうのだ。さて、大物がとれたぞ。奈良林さんがワイヤ−を手に近づくと……そこには高さ1mほどの低い電信柱が、固まって動けない電信柱を心配そうに見上げながら周りをうろうろと回っていた。……子連れだったか……。奈良林さんは短く口笛を吹くと猟犬に引き上げる合図をした。今日のところは子供に免じて見逃してやる。だが、今度合ったとき、それが貴様の最後だと思え。奈良林さんは後ろを振り返りもせず山を降りていった。

次回の仕事場訪問は墓石養殖所の予定です。

1.右まがりの肉まん 0404126

(くま公さまのお題。どうもありがとうございました。)

「ところでホームズ君。我々はハドソン婦人が経営する下宿を間借りして共同生活しているわけだが。」
「いきなりどうしたんだワトソン君。その説明的なセリフは。」
「先週から隣の部屋に下宿するようになったあの男なのだが、どうも怪しい。」
「ワトソン君、ぼくはその男を見てないが、その発言はいただけないねえ。根拠もなしに人を非難するものではないよ。」
「いや、みるからに怪しい。丸顔であるのは生まれつきだからしょうがないが、あれはちょっと太りすぎではないかね。物事には遠慮というものが必要だ。」
「体重に遠慮もなにもないだろう。」
「いや、丸顔でふっくらしているのは良いとして、いつも渋面なのは考え物だ。いつもすっぱい表情をしているから顔中皺になってしまって、まるで歩く肉まんではないか。」
ホームズはパイプをふかしながら、しばらく考え込んだ。
「ワトソン君、我々の右隣の部屋を借りている肉まんだが、彼は何故いつもすっぱい顔をしているのだと思うのかね。」
「地顔だろう、きっと。それか、世の中への不平不満が顔に出ているのかな。」
「そんなことだから愚か者よばわりされるのだ、ワトソン君。」
「そんなこと言ったってねえ。曲がりなりにも私は一応は医者なのだから、私を愚か者よばわりするのはホームズ君、君だけだよ。コカインの吸いすぎなんじゃないのか。」
「その右間借りの肉まんだが。」
「都合の悪いことは聞こえないようだな。」
「何故、顔を歪めているか。その表情があまりにも強烈なため、それを見た人は顔の造作が記憶に残らない。」
「見事な推理だ、ホームズ君。顔を隠すなら顔の中というわけか。」
「そして、何故あの肉まんは我々に顔を隠す必要があるのか。それは彼が我々が良く知っている人物だからだ。」
「ホームズ君。まさか、彼は……」
「そう、彼こそが滝壷に落ちて死んだと思われたモリアティ教授に違いない。彼は我々に生きていることを知らせた。彼の私への挑戦状だよ。」
急いで我々は隣の部屋を尋ねたが、そこはもうもぬけの殻であった。
これがモリアティー教授とホームズとの壮絶な死闘の再開の幕開けであった。

0404126

お題募集の儀

ふと気がつくと9万ヒット。このサイトを見ていただいている方に感謝。皆様にどうか幸福が訪れますように。悪意をもってウオッチしている人はボンゴレスパゲッティを食べて貝殻の破片を奥歯でガリッと噛んで、なんというかもうキィーーーィとなりますように。

この前から、さてそろそろ9万ヒットだし、なんかやったほうがいいのかなあと思っておりましたら時は無常にも私に何の断りも無く流れ去り流れ去りあーあー川の流れのやうに、どんぶらこどんぶらこと、ただ一切は過ぎ去っていきます。ちょっと目を離しているとあっという間にレッカー移動されるものです。まさしく拘引矢の如し。とまあ、キリ番だからと言っても、いつも何もやらないのですが、たまにはババンと番場蛮と番忠太とイベントやろうかと思いまして、だれも書けない様な凶悪な縛りで雑文祭でもやろうかとも思いましたが、雑文祭のとりまとめは面倒くさいしなあ。それに雑文書きを甘く見てはいけない。どんな凶悪な縛りであってもきっと書く人が出てくる。なにしろ三千年前の蓮の種から花が咲いたというじゃないか。だれも書けまいと油断していた私は書けずに七転八倒するはめになるのが目に見えている。ところで七回転んで八回倒れるということであれば合計十三回寝転ぶということであるか。不吉な数である。アンチクリストの陰謀ではあるまいか。似た様な言い回しに七転び八起きがあるが、七回転んで八回起き上がるということであれば、起きる回数が1回余計なのではないか。ここから得られる結論はこの人は最初は寝転んでいたということになる、ワトソン君。つまり達磨さんを設置する場合は、横に倒して設置するのが正しい。

今ここに新しいトリビアが生まれた。

ということで、最近書くことがなくて困っておりますので9万ヒットを記念いたしましてといいますか口実にいたしまして皆様からお題を頂戴いたしまして、それを元に半茶が雑文を書きまして皆様のご機嫌を伺おうという趣向でへへへ。どうかお手柔らかに。

9万ヒット記念無謀企画 式次第

1.こういうので半茶が書けばよかろうと思われるお題を左のカラムのメールフォームにて送る。
2.寄せられたお題に従い半茶が書けばよろしかろう。
3.砂糖多目のミルクティーを入れる。
4.くつろぎながら半茶がアップロードしたものを大きな気持ちで各自読む。
5.読み終わったら無言のままパソコンにミルクティーを注ぐ。
6.我々はなにか取り返しのつかないことをしてしまったのかもしれない、と悔やんでみる。
7.僕たちがやるべきだったのは闘うことではなく、愛し合うことだったのだ。
8.こんなこともあろうかと空間磁力メッキを準備しておいてよかった。
9.地球か、何もかも皆懐かしい。

とりあえずお題は今日から一週間ほど募集させていただきます
(平成16年4月26日―平成16年5月2日)
私の能力的な問題で、お題をいただいても何も書けないというケースも容易に想像できますが、そういう場合はご容赦お願いいたします。

では、どなたさまもお気軽にどうぞ。

0404125

そしてモンモレンシーは、後ろ足で窓際に立って夜の闇を眺めながら短く吠え、僕達の乾杯に唱和したのだった。

ということで翻訳するのも大変なので中公文庫の「ボートの三人男」を探し回って入手。これは相当面白い。とても100年前の小説とは思えない。なにしろ凄いのは語り手が一貫して真面目な顔で話をしているところ。ユーモア小説の古典と言われるだけのことはあるわ。

0404122

「航路」で有名なコニー・ウィリスさんの新刊「犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」の装丁が良かったので思わず買おうかとしたら帯に「ボートの三人男」へのオマージュ(うろ覚え)と書いてあったので、先に読んでおこうと中公文庫の棚に行ったらなくて困ってしまったので検索してみたらプロジェクト・グーテンベルグにあったので読み始めましたが、なにしろ英語で小説を読んだ経験が一度も無いので全然進まない。

四人(というのはジョージとウイリアム サミュエル ハリスと僕とモントモレンシイ)の内三人は部屋でタバコを吸いながら、どんなに悪いかという話題でだべっていた。−悪いというのは医学的な見地からだよ、もちろん。
僕達は気が滅入って、さらにナーバスになっていくところだった。ハリスは、まったくもって眩暈がひどくて自分が何をしているかわからなくなることがあると嘆いていた。ジョージも眩暈がひどくて自分が何をしているかわからなくなることがあると嘆いていた。僕は肝臓に疾患を抱えていた。何故肝臓の病気だと判明したかというと、僕がちょうどその時、パテント有りの肝臓薬の広告を読んでいたから。肝臓疾患の症状が事細かに書かれていたんだけどさ。なにしろ全部が僕に当てはまっているし。

これで半日。コニー・ウィリスの本にたどり着くまでどれだけかかることやら。

0404121

昨日はちょっとだけいいことがあって、気分がよくなりまして目の前の灰色の幕がぱあっと払いのけられて、ああ憂鬱な気分ではないということはこんなにも世界が輝いて見えるものなのか生きていて良かったなどと涙目で生きとし生ける物全てに感謝の意を表明したのですが、いわんこっちゃない、その反動で今日は一段と灰色の世界にどっぷりとつかり我が体躯の中にあるものは内臓にあらずなにやらチョコレート色のどろらどろらと蠢いている得体のしれない半固体のもので今にも口から飛び出そうと、それが無理なら半分腐りかけた脳髄へ腐った毒液を吹きかけて眩暈を起こさせようとする悪意の塊が巣食っておりました。と毒鬱日記を書いてもしょうがないので、書店へ参りまして今まで読んでいなかったけれどもいつか読もうと決意したままそのままになっている本を買おうと書棚の間をぐるぐると回ってみましたが、「さむけ」も「アメリカ」も見当たりませんでした。「求む、有能でない人」 G.K.チェスタトン ブラウン神父で有名なチェスタトンのコラム?集は論理が曲がりくねっていて読者の置き去り度を換算すると山本夏彦五人分くらいでしょうか。夏彦翁は物事の裏表を同時に語る人であったが、チェスタトンは上下左右前後を同時に語ろうとしている。解読するのに時間がかかるが面白い。「フェッセンデンの宇宙」エドモンド・ハミルトン 今から読みます。エドモンド・ハミルトンを読むのは久しぶり。「さすらいのスターウルフ」早川SF文庫1初版本帯付きが実家にあるはずだが、多分捨てられているだろうなあ。

0404120

うろおぼえ八犬伝

室町時代の安房国領主里見義実の娘、伏姫は犬の八房と夫婦になり山で暮らす。玉梓の怨霊の呪いである。言うまでも無く怨霊の玉梓は既に死んでいる。伏姫は身に覚えがないのに犬畜生の子をはらみ自害。その時、伏姫が持っていた数珠の八つの玉が散り散りになり遠く飛び去る。伏姫の許婚であった金碗大輔は出家し八つの玉を探す旅に出るがいずれ死ぬ。やがて、文字の浮きでる玉を持つ八人の若者が生まれる。これが八犬士である。まあ、彼らもいつか死ぬ。彼らの活躍等によりいろいろあるが結局最後は皆死ぬ。八つの玉にはそれぞれ仁義礼知忠信孝悌の字が浮かび上がっているが、さらに良く見ると玉の中には星が光っているのが見える。更によく見るとその星の周りには惑星が回っており、更に観察するとその惑星には生命体が発生し文明が発達していることが観察されるだろう。南総里見フェッセンデン。

と書いてみて、どれくらいの人がわかるのだろうかとふと不安になる春の宵。

040419

とは言え、ある意味人生というものは長すぎるし、生きている間中笑えるわけでもないし、日々過ごす生活にはひねりもオチもないし、人であるこいうことに新しい試みがあるわけでもない。だから書くテキストには、すべからく適度な長さで笑えるものでひねりや落ちがあって新しい試みがあってしかるべしとも思えない。人生の如くそこにあってもいいではないか。

040418

「黄色い線の内側までお下がりください」

JR東日本の駅のアナウンス。「黄色い線の内側」が意味するものとは、ホームから見れば「ホームの中央側」であるし、電車から見れば「線路側」である。どちらであるか明確ではない。アナウンスが指し示している「黄色い線」が意味するものは、いわゆる点字ブロックであり通常は線であるとみなすことが困難であるほどの太さである。すると黄色い線の内側というのは点字ブロックからはみ出さないように立つということか。

ここで点字ブロックという言葉についてよく考えると、ブロックというからには直方体もしくは立方体、即ち立体であることがわかる。「黄色い線の内側」という指示は即ち「点字ブロックの内側」であり更に「黄色い立方体の内側」を指し示している可能性がある。この場合、ホームに埋め込まれている黄色の立方体の内側に体を埋め込むことが求められる。

このように様々な解釈が可能であることを鑑みると、この「黄色い線の内側までお下がりください」と聴こえているアナウンスは、実はわれわれの聞き間違いである可能性がある。以前も言及した記憶があるが、例えば「黄色い線の牛側までお下がりください」。気をつけてホームを探してみれば、ホームの中央に牛が繋がれていないだろうか。これならば黄色い線のどちらがわに立てばよいのか明確であり、さまざまな可能性を列挙する必要もない。オッカムの剃刀である。

しかし、通常我々はホームで牛を見かけることは少ない。では、これはどうだろう。「黄色い線の虫側までお下がりください」。注意深く観察すると、ホームの中央に昆虫が展示されていないだろうか。但し、夏場に蚊、蝿、蚋、蜂、蛾、ガガンボ等が大量発生した場合には、やはりどちら側に立つべきか迷うところである。

聞き間違いである可能性について更に追求してみよう。「キイロイセンノ」と聞こえているのは、実は「黄色い線路 内側」の聞き間違いである可能性もある。ある日ホームから眺めてみると、線路が黄色く塗られている。その日がくる。その日にはこのアナウンスがあり次第、二本の黄色い線路の間に飛び込まなくてはならない。

040416

「譲席」

通勤電車で座れることは滅多に無い。だから座れた時にはなるべく席を譲りたくない。もちろん例外はある。目の前に曾孫がいそうな老人、赤ん坊を連れた母親、むやみに意味不明な叫びをあげる人、刃物を振り回す人、サリンが入った袋をどこに置こうか考えている人、電車の運転手等には席を譲ることにやぶさかではない。

たまたま昨日の帰りに座れたのだが、ふと気がつくと腹の大きい若い女性が立っている。さあ困った。この妊婦に見える女性は、本当に妊婦なのであろうか。単に局部的肥満で腹が出ている人だったら、席を譲るのは非常に失礼に当たるのではないだろうか。マタニティドレスを着ているように見えるが、単にそういうファッションが大好きな人なのかもしれない。化粧をしていないように見えるが、妊娠のせいではなくナチュラル志向なのかもしれない。お腹だけ出ていて手足顔はほっそりしているが、手足顔だけダイエットに成功したのかもしれない。いや、妊婦に見えるが、実は男性かもしれない。

よくわからないままだと話が進まないので妊婦ということにしよう。以前、妊娠なされた方に席を譲ろうとしたところ「座ると振動がお腹に悪いので、立ってます。」と断られたことがあった。一般的にどうなんだろう。無知は罪である。まあ、一般的に妊婦さんは体がきついので座りたい、と聞いた事があるので席を譲ることに決めた。

一般的に妊婦に席を譲ることはいいことであるとされている。いいことを電車の中という衆人環視の中で堂々と行うことは恥ずかしい。なるべくさりげなく「座りますか?」と小声でささやき、返事が返ってくる前に開いている扉からホームに出る。もちろん目的の駅ではないので、改札に向かう振りをして隣の車両に移る。ちょっとだけいいことをした中年サラリーマンに席を譲ってくれる人がいるはずもないので立ったまま揺られて家まで帰る。

次の朝、出勤の電車で滅多に無いことだがたまたま座ることが出来た。 ほっとしてふと前を見るとお腹の大きい女性がマタニティドレスを着て立っている。

040411

文学賞メッタ斬り! 大森望 豊崎由美 個々の文学賞の評価はさておき、お勧め本ガイドとして結構参考になりました。

040407

今日は会社をサボって昼寝。サボるという言葉の語源からすると、木靴を履いて蹴りまくることが求められている。ような気がする。

タイトルに十牛図とつけると、真面目な人が検索で迷い込んでくると申し訳ないのでひらがなに変えました。

040405

帝都高速度営団
第一条 帝都高速度営団は東京都の区の存する区域及其の附近に於ける速度の整備拡充を図る為高速度事業を営むことを目的とする公法上の法人とす

東京レトロ
第壱條 東京懷古趣味株式會社は、東京都の特別區の存する區域及び其の附近の主(あるじ)として地下に於いて、明治大正昭和及びこれに附帶する懷古趣味を普及する事を目的とする株式會社とす

040404

薬のおかげか、金魚の調子がよくなってきているようなので砂利を洗って水替えしてみる。

耳栓を買ってきて穴を開け、KOSS The Plugのイヤーパッドと付け替えてみる。ずいぶんフィット感がよくなった。音自体は変わらないようだけれど。

040328の連続更新に若干付け加えて61.十牛図として独立させました。

040403

世の中には二種類の人間がいる。
開いている奴と閉じている奴。と、考えている奴とそうではないと考えている奴。と、思っている奴とそうではないと思っている奴。と、開きかけている奴と閉じかけている奴。と、感じている奴とそうでもない奴。と開いたり閉じたりしてる奴と閉じたり開いたりしてる奴。と、確信している奴と疑念を挟む奴。と開いていることを決して人に開示しない奴と閉じていることを積極的に開示している奴。ととうじまとうじととんとんとんまの天狗さんと。というようなことにこだわる奴とどうでもいい奴。

俺は、平井輝(46歳)。そして俺は、戸地テイル(24歳ハーフ)。

040402

ヨドバシカメラの近くに寄ったついでに通勤用のイヤホンとしてKOSS The Plugを買ってみる。2千円だし。低音が凄い(というか低音のみ)で驚く。いかにも断線しそうな細いコード。いまどきY字型の短いコード。耳栓を耳の中に突っ込むタイプで周りの雑音が聞こえないので、いままで聴こえなかった音が聞こえるのは良いけれど、歩くと足音が頭の中に響くのが困った。クッションの材質も良くないし、いかにもアメリカンな製品ですね。エージング必須だそうなので、しばらく試してみよう。

海外CDの輸入が禁止になるそうで。国内盤がなかなか出ないアーティストのファンは密輸入するしかないのでしょうか。なんか不公平な気がするので、この際思い切って海外盤のCDだけではなく国内盤のCDの流通も禁止してみたらどうでしょうか。

040401

遠慮して世界の片隅で愛を叫べ

040330

金魚の死
また金魚が一匹死亡。病気のような気もするのでとりあえず水槽に薬を入れておく。

極短小説 スティーブ・モス/ジョン・M・ダニエル編 新潮文庫 55語以内(日本語で二百字程度)という制限での小説コンテスト。収録された百五十七編読んで10ヒット(内1二塁打)。……打率ずいぶん低くないか?

040329

あんれまあ四月からまた上司が増えるだよなどとボヤキながらサイトを巡回してみるとこれはまた徳田氏からコメントが読んでみたところくだらない私のネタに反応してくださっているではないかしらありがとうございまするというものの真面目にいうと文章が与える効果についての考察はなかなか的確であるなあと感服しているところではあるのですがまあその短長の問題はリズムの話なので私の手に余るところで御座いまする上に下手にこの問題に深く首を突っ込みますればきっとどうやって足を順番に動かしているんだいと問われてしまいには歩けなくなってしまった百足のようになってしまいかねないと恐れますので深入りは御遠慮させていただきとうなどとお茶を濁しつつ濁り茶のペットボトルを購入し飲んでみましたがなんとも他のお茶ともそれほど変わるとも思えぬかと愚考する次第でございますがふと考えると平安の昔から日本の文は句点も読点もなく山吹の尾のしだり尾の如くながながしくだらだらと続くのが伝統でございますゆえこの流れのグルーヴといいますかノングルーヴも手法としては在りかと思われますが自分で書いてみますとなるほど印象の弱い文でございますねえ。

040327 - 040328

加筆の上 61.十牛図へ移動。


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半茶_日記_4月