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195. 独立行政法人 進化淘汰圧調整機構 20160608

独立行政法人 進化淘汰圧調整機構(Evolution selection pressure adjustment ajency : ESPAA)

未来のある時点で特定生物の進化による不具合が発生した場合に、過去にさかのぼり特定生物の進化に係る淘汰圧を調整することにより進化の方向性を変化させ不具合を解消する為に設立された。例えば知能を持った植物が発生し、人間を襲うような事象が発生した場合、過去にさかのぼり知能の萌芽が認められた段階で人間と共存することを説得するなど。 人間に対して適用するには難しい問題があるので更に高次の知性が担当するとされ、当該機構の業務範囲外である。

不具合が解消された時点で、遡って不具合を解消する必要性がなくなるため、当該機構が実施した作業はなかったことにされる。したがって当該機構の業績は評価されないが、当該機構を廃止した場合には大規模な有害事象が発生するということが経験的に知られているため廃止されることはない。廃止されても過去にさかのぼって存続が決定されている。 機構職員の業務は秘密とする必要性が高いが、上記の理由によって特段の秘匿行為はなされず部外者を巻き込んでおおっぴらに実施される。業務成功の際にはさかのぼってなかったことにされるためである。

まれにではあるが業務成功の際になかったことにされた後にもかかわらず作業の記憶を保持している部外者も認められる。これは機構担当者と生物進化の流れに組み込まれたためである。(平たく言うと機構担当者との間に将来的に子供をもうけることになるためである。)

第一話 将来的に知能を有するようになり人類を滅ぼすこととなる肉食セイタカアワダチソウ。第一段階のDNA変異が認められたセイタカアワダチソウを探し、空き地にて火炎放射器にて焼き払おうとするも主人公に見とがめられ、次善の策としてセイタカアワダチソウと話し合い、人間も捨てたものではないことを納得させる。セイタカアワダチソウは人類と共存する方向で進化を進める。

第二話 機構職員は主人公がセイタカアワダチソウ事件を記憶していることに驚愕する。仕方なく主人公を機構にリクルートする。機構の業務は問題解決の為の多忙な状況と、問題が発生しない暇な状況が重なりあって存在している。そのため近所の猫の寄合場所となっている。未来のある時点で猫が絶滅する。その原因となったDNA変異の猫を処分することになるが、機構に入り浸っていた猫であった。かわいがっていた猫を処分しなければいけないことに悩む機構職員であったが、シュレディンガーの猫として箱に入れることによりあやふやな状態で事件は解決した。

第三話 業務で競馬場に連れて行かれる。馬が関係するのかと思いきや、競馬で一儲け。未来からの競馬情報を得て馬券を買う不正だ。独立行政法人なので独立採算にて黒字になる必要があるのだ。競馬のシステムがよくわからない主人公は馬が走る様子を眺め、美しいなあと思う。

第四話 機構の業務が突然ストップし、現在の世界が最終戦争後の人類絶滅世界と重なりあってしまう。上位機構の業務失敗の余波である。人手不足の上位機構に応援を求められ東京タワーの展望台まで階段を昇ることとなる。展望台にて騒ぐ小学生を叱りいい子になるように話しかける機構職員。子供が素直になりエレベータで帰ると人類絶滅世界はきえてしまう。よかったなと振り返ると機構職員も消えている。

第五話 欠員の補充としてAIが機構職員として派遣される。AIの趣味は囲碁と将棋。戦術の分析が進んだあまり人間と勝負しても勝てないというくらい発達した人工知能である。野良犬を捕まえしばらく飼うことになる。放置しておくと将来この野良犬の子孫が知能を獲得し、ある数学的大発見をしてしまうため、機構が有しているタイムトラベルの根本原理が数学的に否定されてしまうことになるため。

第六話 地球の運命を左右するネズミが知能を有するようになる前に絶滅してしまった。絶滅の阻止作戦がことごとく失敗してしまったため、次善の策としてネズミの標本を盗み出しDNAを採取しクローンを作成することとなった。ネズミの標本を盗み出すためにコレクターの家に忍び込む主人公。ネズミは復活したが、中世に放たれたそのネズミはペスト大流行を引き起こしたと知り、機構に不信感を抱き始める。

第七話 セル画の作成が間に合わなくなったため総集編が放送される。機構職員との出会いから別れまでがダイジェストで放送される。しみじみとしていると、この放送はAIによる脳内侵入による幻覚であることがわかる。どこからが現実で、どこまでが厳格であるかわからなくなってきた主人公はAIと対決することを決意。熾烈な戦いの後、将棋盤を囲碁版を隠されたAIが己のアイデンティティを失い、自らのプログラムを消去してしまう。

第八話 一人となった主人公のもとに、東京タワーで消えた機構職員が何事もなかったかのように帰ってくる。信じられない主人公は彼女がクローンなのか時空間ホログラフィーなのかロボットなのか幻覚なのか一つ一つ可能性を検討していく。結局彼女が実在であるかどうかについては、自分自身が実在であるかどうかと同じくくらいの問題であると納得して追及をやめておく。

第九話 ほのぼのとした日常が描かれるが、突然太陽が超新星化し登場人物が全員消失する。視聴率が思ったほどとれなかったためである。資本原理の前には、人類の存続など大した問題ではなかったのである。


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