電車で隣に座った人が読んでいた文庫本の一節が目に入った。
「あなたは あなたのままでいて」
これがどういう状況であるか考えてみた。
あなたは、まず男性として誕生する必要がある。
Y染色体を後から追加した場合、遺伝子的に同一人物とみなされるのか疑問だからである。
話の都合上、あなたは年上の女性を好む性格である。
ある日突然現れた女性と恋に落ちる。
女性は出産し、男の子が生まれる。
女性と赤ん坊は姿を消し、男性は人生に絶望する。
男性は人体改造にのめりこみ整形手術を重ねる。
ついには性転換を行う。
女性となってまで忘れ去ろうとしたが、どうしても忘れることが出来ない。
世界中を妻の面影を求めてさまようが、見つけることが出来ない。
ある日タイムマシンと出会う。
過去の時間に戻って妻を見つけることを決心する。
タイムホールに飛び込んだ衝撃で記憶喪失となる。
見知らぬ世界をさまよう内に、若く魅力的な男性と出会い恋に落ちる。
子供を出産した頃、突然記憶が戻る。
全てに気がついた彼女は、赤ん坊を連れ過去に戻る。
タイムホールに飛び込んだ衝撃で彼女は死に、赤ん坊が取り残される。
赤ん坊は成長し、年上好きの青年に成長する。
元に戻る。
これで、あなたはあなたのママでいることが出来る。
似たような言葉に ありのままの自分でいて というのがある。
遺伝子改造で昆虫の卵を出産することが出来れば蟻のママとなることができる。
タイムマシンが不要なだけ、こちらが楽かもしれない。
と、特にオチもなく終わるが、これが私のままである私の、ありのままであるので致し方ない。