一覧  トップ


134. 須臾ビルヂング 8F 渡り廊下 20130406


8F 渡り廊下

 他の階に比べて通路が狭いような気がする。心なしか天井も低い。直線の廊下は左の方も右の方も50mほど先で直角に曲がっていて、そこまでたどり着かないとその先はどうなっているのかわからない。床近くからの間接照明で照らされた白い壁は、これまでいくつかの角を曲がり進むたびに、壁の扉は少なくなっていて、しばらく前からずっと壁だけになった。目印もなくなったので自分が進んでいるのか壁と床が後退していってるのかわからなくなってくる。

 数百メートル先の壁の突き当りの白い壁には、光の加減か右にも左にも曲がる先がないように見える。行き止まりなら引き返さなければならないのか、いやだなあと思いつつ遠近法の収束点に向かって歩き続ける。もしくは収束点が近づくにのに合わせて足を動かす。進むにつれ自分が小さくなっていっているような気がしてくる。収束点にたどり着いた頃には大きさがなくなってしまうのではないか。更に収束点が近づくにのに合わせて足を動かす。曲がり角に到着したころには自分の体は芥子粒の大きさになっているが、渡り廊下の大きさも縮んでいるので実感がわかない。後ろは遠近法とは逆に渡り廊下が広がっているはずだが怖くて振り返ることができない。角を曲がったところの豆粒ほどの非常ドアを開けて中に入る。

 


     一覧  トップ