111. 冬の夢(20090114)


こんな夢を見た。という書き出しの話は面白くなりにくいというのは、下条さんの解説であるが、この雑文もその通りであるので、この話を読まんと欲する者は、一切の希望を捨て、心して読むように。

今朝方、こんな夢を見た。

電気製品がいきなり壊れると困る。
時期的になぜかボーナス時に壊れることが多い。
たまたまなのであろうか、今回は液晶テレビである。
留守の時に炎上しても困るので、コンセントは抜いておく。
ラッキーだったのは保証期間だったこと。
居間で写らないテレビを眺めていると、部屋が狭くなっていることに気がつく。
不意に明かりが消え、壁の計器が光りだす。

出窓だった場所はスクリーンとなっている。
時間間隔をおいて、無数の小さな点が点滅している。
タイミングとパターンを観察してみ
る。


フゲームだと閃く。

この壁のボタンを押して初期値を変更すれば、ライフゲームのパターンが変化してこの部屋から脱出できるはず。と、押しまくる。これかな? それともこれかな?
「はい、時間切れ〜!」
部屋に大阪芸人の声が響く。ドアが開き部屋の外にはカメラが待っている。時間内に部屋を脱出できなかったので罰ゲームを受けなければならないようだ。ドアの横には台の上にカゴがおいてあり、中にはスカートとエプロンが入っている。これに着替えて物真似をするというのが罰ゲームのようだ。料理評論家とかの真似をするのだろうか。
「ケント・デリカット!」
「ケント・デリカット!」
「ケント・デリカット!」
掛け声が聞こえる。どうやら女装して料理するケント・デリカットの物真似らしい。ええと、駄洒落を連発すればよいのだっけ。
「ここでコマ〜シャル」
パカラン パカラン パカラン パカラン パカラン パカラン ヒヒ〜〜ン
「暴れん坊将軍!」
これって、CMじゃなくて番組なんじゃないの?
罰ゲームが再開すると、いつの間にか、掛け声が変わっている。
「デリカットは声出さない!」
「デリカットは声出さない!」
「デリカットは声出さない!」
なぜか合唱になっている。女装して喋らないようにしてどうやって外国人の物真似をやるんだ。
と思っていると、緑色の蛙が差し出される。え?これを食べるのが女装してケント・デリカットの物真似なの? いくらなんでも、それってケント・デリカットが怒るんじゃないの?
「デリカット!」
「デリクット!」
「ドリトット!」
掛け声は止まない。
しょうがないので、エイと蛙を口に放り込む。噛む勇気はなかったのでしばらく口の中にいれて飲み込み、口を開けて中になにもないことを見せる。
「おー!」
「おー!」
「おー!」
歓声があがる。よし、ここで芸人魂の見せ所である。腰をぐるぐる回し、腹をポンと叩く。 「ほら!」
口から蛙を生きたまま取り出す。
「おお!」
「人間!」
「ポンプ!」
やあ、罰ゲームになった時はピンチだと思ったが、無事終了してよかった。
「でも、よく人間ポンプの芸を思いついたな。」
「なに、昔からよく言うではないか、『ピンチのあとにはポンプ有り』。」

眼が覚めたときには、綺麗にオチがついたなと感激したのだが、いま思うと全然オチていない。
一切は、ただ春の夜の夢の如し。

デジタルライフ雑文祭
■縛り:
・文頭を「こんな夢を見た」で始める。
・文中に「デジタル」「ライフ」を入れる。
・おもしろい文章にする、といいな。


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