103. 真っ黒と皆殺し(20071223)


 真っ黒な半殺しは、机の引き出しの奥に忘れていたものだった。

 ぼたもちが何故土地によってははんごろしと呼ばれているか、よく知らないが(知りたかったらググレよ)、書けるペンを探して机の引き出しの奥を探ってみると、ぼたもちが出てきた。大阪に遊びに行ったときに友人にカッパバシを案内されて、話の種にと食品サンプルを買って、かといって使い道も無いので引き出しに仕舞ったまま忘れていたものだった。その隣にはお餅のサンプルがあった。米の粒を全部つぶしてあるのがミナゴロシ。物騒なネーミングである。

 とりあえず使い道はないかと、ぼたもちの上に、これまたサンプルの白い金平糖を載せてみる。白黒反転おっぱい。名づけてネガおっぱい。

 ………もうしわけありませんでした。

 どうにも使い道が無いので、ゴミ捨て場まで捨てに行く。

 桃太郎さん 桃太郎さん お腰につけたおはぎ ひとつ私にくださいな。

 きみきみ、いろんなところが間違っているぞ。これはおはぎではなくぼたもちだし、ぼたもちも本物ではないから食べられないし、そもそも僕は桃太郎ではないし、君は君で鳥のようだが、キジではないみたいじゃないか。

 はい私は、偽物づくしのこのお話にふさわしく、キジではなくサギでございます。

 とっぴんぱらりのぷう。


第八回雑文祭 参加作品

■書き出し: ○○は、机の引出しの奥に忘れていたものだった。
■縛り: 金平糖を文章のどこかに入れる。
■結び: とっぴんぱらりのぷう。
■追加縛り:「真っ黒」「皆殺し」


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