101. 「ワンサ君は白犬」(20070924)


 ハチ公というと私の世代ではアニメ「ワンサくん」で、犬がミュージカル仕立てでハチ公ハチ公かわいいハチ公と歌って踊っていたのが思い出されます。例のごとく、アニメの筋自体は全然覚えていません。母親を探す話だったかな。ワンサくんに”Sun of the bitch!”と言うとどういう反応を示すだろうか。いや、そのとおりだし。

 その次にハチ公に出会ったのは渋谷駅前でした。待ち合わせで行ってみると、いたずら防止のためか、結構な高さに設置されていたのが思い出されます。アレに跨ると、危険があぶない。ロデオマシンで練習してから挑戦したほうがいいかもしれない。

 ところがいつの間にかハチ公の銅像は移動されていて、ハチ公前出口というのが以前ハチ公の銅像があった場所か、今ハチ公の銅像がある場所なのか分からなくなってしまいました。私だけかもしれないけど、調べる気にもならない。もともと方向音痴なので、モヤイ像前と指定されても行き着くことが出来ず、駅の周りを1周半ほどしてしまいます。移動しないモヤイ像ですらそうなのですから、移動するハチ公像の前ならなおさら辿り着けません。

 さて、休みだし、上野動物園にハチ公の剥製を見に行って感想を述べようかと思いましたが、ググッてみると、どうやら動物園には展示していないらしい。多分上野博物館に行けば見られるのではないかと思う。しかしながらお題であるからこれは屏風の虎を捕まえる如く、はしをわたらずに橋を渡るが如く、上野動物園のハチ公の感想を述べよという意図であろう。ひょっとしたら上野動物園の中に上野博物館があるのかもしれない。まさか、上野動物園の(位置的に)上の博物館なのだろうか。さすがに動物園の下の上野博物館ということはあるまい。なにしろ田舎者なので、都内の施設の位置関係がよくわからない。ご了承願いたい。

 推測だが、上野動物園には多分、犬の剥製が複数展示されている。いろんな犬の種類の剥製があるが、どの犬もハチという名前である。生前は飼い主がつけた名前で呼ばれるのであるが、人が死ねば戒名がつけられるように、犬は死ねばどの犬でもハチという戒名がつけられることになっている。皆、死後ハチである。

 ハチは生前の毛の色は赤であったが、剥製になって白い毛になってしまったそうだ。こうなると、新本格派としては被疑者の入れ替わりを疑わないわけにはいかない。ハチは何らかの事情で自ら死んだことにして姿をくらましたのであろう。何らかの事情といえば、タロ・ジロであろう。南極から無事生還したタロ・ジロ。極寒の南極の冬を、普通の犬が生き延びることが出来るはずがない。もちろん彼らは遊星からの物体Xに憑依されていたのだ。全犬類の運命をかけて対決するタロ・ジロ対ハチ。二対一の元から勝ち目の無い戦い。瀕死の重傷を負ったハチは、口にくわえた焼き鳥の串を投げつける。顔が四つに裂けた大口に突き刺さる。ジロはものともせず、ヤキトリを串ごと食う。そこでジロに異変が生じる。遊星からの物体Xはその本能として、生物に接触すると憑依しようとする。竹串と焼き鳥。もともと生きていた有機物質に触れたジロは、その本能で竹と死んだ鳥に憑依してしまう。ジロの体は動きを停止し、竹と焼き鳥が彼の口からポロリと落ちる。その瞬間をのがさず、口に含んだ焼酎を吹きかけ、酔客がポイ捨てした火がついたタバコを投げつける。かつてジロに憑依していたモノは焼けて死んでしまった。形勢不利とみたタロはこの場から去る。重症を負ったハチは自分は死んだことにして行方をくらました。上野に飾られている剥製は、そういうわけで本当はジロの体なのである。

なお、この戦いは今も決着がついていない。全犬類の命運を掛けた戦いが、いままさに始まろうとしているのだ。

という話を考えましたが、だれか映画化しませんか。

   


大ハチ公雑文祭 参加作品

 ・テーマ:忠犬ハチに関する話題
 ・縛り「ヤキトリを串ごと食う」をどこかに入れる
 ・上野動物園の剥製(たしかもう公開復活されてるはず)を見た感想を述べる
 ・「みなしごハチ」という駄洒落がベタだと思う人は入れなくてもいい


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