第十参夜
……保安官との死闘を制したランボーは、トラウトマン大佐に説得され、投降したと伝えられております。
シェヘラザードの話は終わりました。シャフリヤール王はうなずいて、
「たいへん面白い話であった。して、次の話を話せ。」
シェヘラザードはうなずいて話を始めます。
※麻生議員、秋葉で大人気 この人気、長く続けばいいですね。シェラ姫は麻生議員を応援していいます。
※タイのクーデター、混乱なく収束 やっぱりどこの国でも国王の権威は絶大なのね。
※宮崎で竜巻発生 ガッチャマンの竜巻ファイタ−でなんとかならないかしら。
「ちょっと待て。」
シャフリヤール王は話をさえぎりました。
「まさかネタテキストが続かないのでニュースサイトに変身とか安易な考えなのではなかろうな。ニュースサイトはそんな甘い物ではないぞ。」
「恐れ多くも、聡明なる王様の目を逃れることはできません。まさしくそのとおり、ネタが尽きたのでございます。近代デジタルライブラリーには此処までのお話しかありません。書店に行ってはみたものの、児童向けのアラビアンナイトは話が少ないし、かといって岩波文庫版全11巻とかちくま文庫版全13巻を購入するのもちょっと……」
「そうか、では明日の朝、斬首ね。」
ああ、なんということでしょう。千壱夜に足りないたった拾参夜のお話では、人間不信に至った王の心を改心させることはできなかったのです。
シェヘラザードは言いました。
「おお、寛大なる王よ。願わくば、朝が来る前に今一度、庭の椿の花を摘んで、庭に流れる川に流してその景色を愛でたいと。」
「それくらいならよかろう。」
シェヘラザードは庭に咲く椿を両手一杯に摘み、宮廷の庭に流れる川に一つ一つ流していきました。最後の椿が宮廷の庭の塀の外に流れ出そうとした頃、塀の向こうからトキの声が上がりました。そうです、椿の花を流すのは宮廷の外に待ち構える反乱軍への一斉蜂起の合図だったのです。合図とともに一斉に宮廷に攻め込んだ反乱軍は、−−なにしろ近衛兵達も、王の残虐非道さに忠誠心を失っていたため−−あっという間に宮廷を制圧してしまいました。
王は捕らえられ、反乱軍の首領の前に引き出されました。
「アッラーの名において、お前を処刑する。何か言い残すことはあるか。」
「本当にいい刀は鞘に入っているものだ。」
「お前のセリフではなかろう。」
残虐非道の王はその生涯を終えました。
シェヘラザードがこの国から去るべく、川の土手を歩いていると待っていた人物がいました。
「お前は、王の第一の家臣だったタツー・ヤナカダイ。」
「このままでは俺の気がすまねえ。」
「どうしてもやるのか。」
「やる。」
「そうか。」
これからの二人の決闘はとても筆では書けない。
長く恐ろしい間があって、勝負は刀が ギラッと一ぺん光っただけで決まる。