91. 「シンドウバットの冒険(中編)」(20060914)


第伍夜

シンドウバットの冒険

第四番目の航海

 今回のシンドウバットの冒険でございます。こりもせず、いつものように難破して辿り着いたところは人食い人種の村。これはいかんと隙をみて逃げ出して辿り着いた王国。その王国には鞍もヤブミもございませんでした。そこで商人のシンドウバット、馬具を売って大もうけ。王国の娘と結婚して幸せ。しかしながら、いかなるアッラーの思し召しでしょうか、幸せな日は長くは続かず、妻は流行り病で死んでしまいました。なんということでしょう、その国では配偶者に先立たれた連れ合いは一緒に埋められるしきたり。抵抗空しくご近所の人につかまって、深い竪穴に放り込まれ、入り口には大きな岩を載せられてしまう。ああ、生きたまま埋葬されたシンドウバットよ! その運命はいかに。

 地下洞窟に閉じ込められたシンドウバットはあてもなく彷徨い歩きました。そして最初に持たされた七日分の食料も尽き、このまま死ぬことを覚悟しました。
その時です。轟音とともに、洞窟の壁をまるで扉のように蹴破り勢いよく飛び込んできた一団がありました。壁の岩が砕かれた埃が舞い上がり、しかとは見えませんが、どうやら五人ほどの集団のようです。怪物が現れた! と彼らは叫ぶと前衛に位置していた参名がこちらに飛び掛ってきた! 死を覚悟したシンドウバットの…いつの間にか隣に忍び寄っていた象ほどの大きさの蜘蛛の化け物――きつとシンドウバットが死ぬのを待ってその体液を吸おうと待ち構えていたのに違いありません。先ほどの一団は蜘蛛に剣を振りかざし、驚いた事にその怪物を一瞬のうちに殺害してしまいました。先頭の男は大振りの剣を鞘に収めながらこちらに話かけます。
「ちょうどよかった。貴様は盗賊だな。このパーティには盗賊がいなくて困っていたんだ。さっそく宝箱を開けてくれ。」
 男が顎で指し示した先には、大蜘蛛の死体とともに宝箱がありました。なんだかわからないが、逆らって剣で斬られるのも真っ平ごめんです。大蜘蛛の宝箱の鍵を注意深く調べてみると、隠されたノッチが見つかりました。そのまま宝箱を開けるとこのノッチが作動して、なるほど。七つ道具の一つ針金で注意深くそこを押さえながらノブを


* お お っ と *



いしのなかにいる!


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