90. 「空飛ぶ絨毯とマハーリムン−ドラハ王子」(20060913)


第四夜

空飛ぶ絨毯とマハーリムン−ドラハ王子

 昔々、印度に「フーセイン」、「アリ」、「アーメッド」の三人の王子がおりました。
 ある時、王様はとても困りました。王子たちが三人ともが
 「いとこのヌーロニハルと結婚したいのです」
と、言い出したのです。でも、三人と結婚するわけにはいきません。
 王様は、考えた末に言いました。
「では、この世で一番珍しい物を見つけてきた者に、姫との結婚を許すとしよう」
 そこで王子達は、珍しい物を探すためにべつべつに旅に出て、帰りに宿屋でおちあいました。
「ほら、僕の珍しい物は此れだぞ」
 三人は得意になって、手に入れた物を見せ合いました。
 フーセインは、自由に空をとべる絨毯、アリは、どんな遠いところでも見える望遠鏡、アーメッドは、匂いをかぐと病気がなおる林檎、石作皇子は仏の御石の鉢、車持皇子は蓬莱の玉の枝、右大臣阿倍御主人は火鼠の裘、大納言大伴御行は龍の首の珠、中納言石上麻呂は燕の子安貝でした。

 王さまは大喜びの後、大変困りました。
 皆の持ってきた品はどれも甲乙つけ難い物だったからです。
 考えなおした王さまは、いいました。
「無差別大量破壊兵器を一ばん遠くまで飛ばしたものを、姫の婿に決めるとしよう」
 そこで王子たちはならんで、無差別破壊兵器をはなちました。
 アーメッドの無差別大量破壊兵器が一番飛んだのですが、飛びすぎてどこかへいって見つかりません。大統領は怒りました。
「無差別大量破壊兵器が見つからないなんてことがあるものか! 何処かに隠しているに違いない。」
大統領はがまんできずに、無差別大量破壊兵器を探しにどんどん侵攻していきました。
 それでも無差別大量破壊兵器は、見つかりませんでした。
フーセインは空飛ぶ絨毯で侵攻軍に対して絨毯爆撃です。
侵攻軍は負けずに侵攻を進めますが、無差別大量破壊兵器もアルカイダとの関係を示す証拠も見つかりませんでした。

戦争が終了して、灰燼と化した王国から命からがら生き延びた中納言石上麻呂は、いつの間にか宝物である燕の子安貝をなくしてしまっていました。それから、大変な思いをしても結果が出ないことを甲斐がないと言うようになったと言い伝えられております。


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